表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

序章:新たな第三勢力の登場で混迷する世界

最初から始めるよりも描きたいところから始める主義で書いている物語です。

聖王暦1492年 10月11日 一つの艦隊が地平線の彼方から姿を現した。その艦隊は大洋を超えて新たな陸地を求めて本国から出港して来た艦隊であった。


コロンブスと名乗る男が『大樹林と自分達が呼ぶ大陸』で自分の主人を説得して大規模な艦隊を編成して新大陸を探す計画を実行させたことに驚きを隠せない


コロンブスと言えば地球からの転生組からすれば勿論誰もが知る有名人である。この男は自分がコロンビア出身の転生者であることを理由に自ら偉人の名前を名乗ったことは正直凄いと思うのである。


我が主人も足利尊氏だの朱元璋だのとホラ吹いたりしているので……偉人の名前を名乗ること自体はコノ世界の住人であれば別に珍しく無いが……コロンビア人でコロンブスを名乗るというのが妙な感じがするのは私だけなのだろうか? いや、そもそも彼は分かっていてワザとコロンブスと名乗っているのでは無いだろうか……こいつはコロンブスと名乗るだけあって人望が薄く、略奪をしたいと欲して止まない俗物の雰囲気が抜けない人物なのは間違いない


タカムラと呼ばれているコロンブスの副官は考えていた。タカムラが主人と仰ぐ王も世間から見れば俗物の一人であることに変わらない。しかしワザワザ転生してまでして社畜人生を望む人間は少ない、タカムラのように昔の武士に憧れて一途に一人の主人に仕えようと考える人間ケモノの方が少ないのでは無いだろうかとも言える。


コロンブス「生まれた時から!俺は成功したいと思っている」


何度目かの口癖を吐くコロンブスにタカムラは辟易する。この男、転生する前から碌な人生を歩んでいない雰囲気がする。というよりも道中何度か聞いた武勇伝から察するに転生前から既に何でも屋と言わんばかりに儲かると聞けば世界中のドコえでも飛んでハゲタカのように富を奪わんとする人生だったということが分かって猶更コロンブスという男の如何わしさに嫌悪感を抱く


タカムラ「本当に新大陸はあるのでしょうか?」


コロンブス「北アメリカとアフリカに似た大陸がある以上はヨーロッパに似た大陸があったとしても可笑しくない!それを我々が見つけ出すのだ!!」


『大樹林と我々が呼ぶ大陸』があって南東にビースト大陸と呼ばれるアフリカらしき大陸がある。我々が獣人なのだから隣の大陸をビースト大陸呼ばわりしなくても良いと思うのだが……大樹林では人化戦争と呼ばれる戦争が起きて以来と言うもの人化に抵抗した者達が逃げた大陸と言うことで差別的な意味合いでビースト大陸と呼んでいるのである。要するにビースト(獣化)大陸という訳である。


タカムラ「北アメリカらしき大陸と言いますが……実際に確認した者は数少ないと聞きますので信憑性があるのか疑問ではありますな……」


コロンブス「いわゆる氷エリアと呼ばれるエリアは魚人の勢力が強いせいもあって我々はマトモに大陸に近づけないせいだが……位置的には北アメリカ大陸がある場所に大陸らしき物があると言われているからそうだということだ。」


正確には南である。いや今は北か……我々が大樹林から出港してからは磁石では南下していることになっていた。しかし、この世界というか惑星?は『地磁気逆転現象』が起きていて我々の科学者達は数々の自然現象から推察した結果としてコノ世界は『地磁気逆転現象』が複数の個所で起きており、プレートの進行速度が以前の世界つまり転生前よりも速いと結論付けている。要するに転生前にはあり得なかった獣人だの魔法だの以前に自然現象自体が全く転生前の世界とは異なると科学者達は主張しているのである。


監視兵「陸地みたいなのが見えるぞ!」


その一言で突然船にいた人間ケモノ達が騒然とし始めた。


「どれどれ」

「わーい!陸地だー」

「新大陸発見だー」


無邪気に喜ぶ兵士達とは裏腹に私を含めた幹部連中は緊張を高めた。


タカムラ「強大な敵だった場合はどうしますか?」


コロンブス「……とりあえず……上陸してみないことには……」


当然のことだが……我々が技術的に優位とは限らない!というのは十分にあり得る話であった。隔絶された世界同士が出会う以上は言うまでも無くリスクを伴わっていた。


タカムラ「そもそも言葉が通じるのでしょうか……」


コロンブス「転生前の言葉が使われていれば何かしら通じるとは思うが……」


大樹林と呼ばれる我々の世界でも言語は複数存在する。私にとって幸運だったのは大樹林では意外なほど日本語が通じるということであった。ニケアスという偉大な支配者が日本人だったことに加えてアジア系が大樹林は非常に多く、漢字文化が発達しており、ローマ字も普及していることもあって言語の壁は薄かった。英語は存在するような気がするが……どちらかと言うとアルファベット圏という感じである。むしろ転生前の世界では死滅したと言われる古典のラテン語とギリシャ語が大樹林ではバリバリ現役であり、むしろこちらが英語よりも有力な言語となっている。


コロンブス「上陸を準備を開始しろ!」



同時刻 


島側では一人の男が牢屋に囚われていた。この男、日本から転生して来ていた。転生した時は男は「なろうのような世界」に興奮して喜んだが……コノ世界の転生者の数は非常い多く、転生者が得られるアドバンテージは言うほど大きくは無かった。いや大きいものの「なろう」のように大きく出世するには非常に大きなハードルを幾つか越えなければならないことに気付いた時点で心がポッキリ折れたのである。


そこで男は神官になって適当に働いていた。そんな折にコノ島で働き口が募集されていたので暖かくて南国気分のリゾート地で平和に暮らせると思って募集に応じてコノ島にやって来たのである。


「こんなつもりじゃなかったのに……」


島にやって来た後、神官としての仕事に励んでいたつもりだった。仕事をしながら出会ったケモノの尻尾と耳を付けてる女性と仲良くなったので一緒に遊んでいたら突然彼女と一緒に捕まえられて牢屋に入れられたのである。『不純異性交遊』だという訳である。


「なんだ文句でもあるのか!」


廊下を挟んで向かい側にある牢屋にいるケモミミ娘が男を睨んで文句を言ってきた。


「キミと付き合っただけで捕まえられるなんてあんまりだと思って……」


「そ、そうだな……」


男の言葉を聞いてケモミミ娘はシュンとなって大人しくなった。「こんなつもり」を『半獣なんかと付き合ったから』『牢屋に入れられただと』男が言っていると思っていたから怒っただけだったようである。しかし、男は彼女と付き合ったこと自体は後悔しているどころかラッキーだと思っていたので後悔などしているはずも無かった。


もともとコノ島では半獣に対する差別は強く無かった。現にコノ島には半獣が大勢暮らしていることからも差別意識が低い島なのは間違いない。しかし、近年というか近頃は北にある大きな島や大陸では北方の半獣+ファーリー達の集団がヴァイキングと称して襲い掛かって来ていることが影響して島民と半獣の関係が悪くなり始めてきていた。辺境の島で実際にはヴァイキングに襲われたことが無いコノ島ですらココまで両者の関係が悪くなり始めているということは大きな島の連中の感情は相当悪くなっているに違いないと確信している。


「ケモノ要素があるばかりに差別されて困る!私は人間だと何度言えば済むのか……人間に成りたい!!」


「ケモノ要素があるから良いんだよ!」


「……」


「個性は大事だよ!」


「お前変態だったんだな……」


彼女に白い目で見られていしまった。こういうやり取りをしている間にも外が騒がしくなってきた。


「外で何かあったのかな……」


「知らん」


コロンブス陣営


上陸作戦はすぐさま行われた。揚陸艇に乗った兵士達が島へと上陸せんと出発して行く中でコロンブス達も島へと向かう為の小型艇に乗って上陸作戦を指揮した。


島への上陸はアッサリ成功したので、このまま何事も無く集落を制圧出来ると思われた。しかしながら素直に制圧されるほど島側もバカでは無かった。当然のように島を守る守備隊がコロンブス軍の前に姿を現した。


コロンブス「装備はソコソコのようだな!」


望遠鏡を覗きながらコロンブスは敵を見て安堵したのが露骨に分かってタカムラは吐き気がした。コロンブスは突然アイベックに騎乗したまま我が軍の前へと出て敵に近づくと敵に向けて口上を述べ始めた。ご丁寧に日本語で話たのである。


コロンブス「やあやあ我こそは大樹林の住人、クリストファー・コロンブスなり!主人の命により交易するために参った!!」


敵方に通じたとは思えなかった……当然のように敵方はコロンブスめがけて弓を放って来たのでコロンブスは弓の一つにワザとらしく当たって見せてから踵を返してきて私の元へ帰ってきた。


コロンブス「私は正々堂々と名乗りを挙げて挨拶したと言うのに!敵は私の口上を無視て攻撃してきたぞ!!」


コロンブス迫真の演技に白けそうになる私であったが!コロンブスは一応は主人から遠征艦隊司令官に任命された人物なので……その要人を攻撃されたとあっては許すわけにはいかなかった。


タカムラ「主に命じられて遠征艦隊司令官となったコロンブス殿を攻撃する不届き者どもを許すわけにはいかない!正義は我らにあり!!全隊前進を開始せよ、」


私の命令と共に法螺貝が吹かれて戦の開始が告げられた。


「ドンドンドン!ドンドンドン!」


という音が後方に置かれた拡声器から流れ始めると共にラッパーのように拡声器を持った兵士が声張り上げてドンドンドン!を身振り手振りを使いながら叫び出した。


バカバカしいと思うかも知れないが!実に有効的な戦術だと私は思う、もともとは対獣人用に編み出された戦術であり、対人間用では無いということは断っておくものの……獣人以上に人間に対しては獣人以上に利くのでは無いかと思うほど恐ろしい戦術である。


獣人は耳が良いので音に弱いと思われるかも知れないが!我々獣人は基本的に幾つもの音を同時に聞き分けることが可能であり、複数の音が混ざり合っていても命令者の声を聞き逃すことは無い。強い音が敏感な者や相手が同じ戦術を使ってきた場合に備えて全兵士に耳栓が配られており、耳栓をすることで本来持っている聴力を抑制することで兵士達の集中力を高める効果も同時に期待出来た。


ドンドンドン!と言う音で行進しているように見せかけて実は各隊の兵士は各隊の隊長に合わせて移動しているし、各隊の隊長は隊長同士で行進スピードを合わせるなど高度な連携が行われていたりするという裏が存在している。これもまた敵に対するブラフであり、敵が音を逆手にとってコチラの動きを推測するのは逆にコチラにとっては術中にハマったも同然であった。また各隊に対する命令者の言葉を敵方に聞こえさせ難くするというステルス効果も望めるなど大音響はむしろ好都合な部分が多かった。


タカムラ「全隊止まれ!」


我が隊が進軍中に突然止まると敵方が騒然となっていた。予想するに弓の射程である100メートル圏内に我が隊が入ってから弓と魔法で攻撃するつもりだったに違いない。しかし、我々が人間の有効攻撃射程に入るなどあり得ない話である。いやそもそも本来ここまで近づく必要すら無いとすら思う、現に兵士達の表情に焦りが見られた。普段というか普通はココまで至近距離になりまで何もしないで前進するというのは起こらないので兵士達は慣れないことに緊張しているようであった。


タカムラ「ここまで接近するのを許すとは……舐められたものですな!」


獣人のパワーを持ってすれば平均で300メートル以上は余裕で投げ槍を投擲するのは簡単である。素でソノ距離まで飛ぶので魔力を使った場合はお察しの飛距離を出すことが出来る。


それは人間側も同じはずであり……私としては敵方がどのくらいまで近づいたら攻撃して来るのか気になっていたから接近してみたのだが……ここまで近づいても逃げずにいられるというのは逆に怖いとすら思った。


もちろん我々としても確実に敵を叩き潰すのには接近すればするほど有利なのは間違い無いのでココまで接近出来たことはむしろ僥倖というものでは無いだろうかと思う


タカムラ「攻撃用意!放てー」


士官達「放てえええええ!!」


命令と共に放たれた投げ槍達が次々と敵陣に降り注いだ。


それは恐ろしい光景だった。飛んできた投げ槍に敵兵士達は次々と串刺しになった。中には何人かの兵士を貫通したり、数人を串刺しにする槍もあった……


コロンブス「惨いな」


タカムラ「まさかココまでとは……」


装備はソコソコのように見えた我が方の攻撃に対して敵は恐ろしく無知で無防備だった。一部の士官や魔法使いと思われる兵士が魔法で我々の攻撃を防ぐが……我が方の兵士が対魔法兵用の焙烙槍を投げ込むと敵の魔法兵は呆気無くシールドを貫通されて串刺しにされていった。いやそもそも焙烙槍が必要だったのだろうか……敵の張ったシールドに対して我が方の兵士がピンポイントで狙い撃ちしただけでシールドを貫通される魔法兵もいるなど……敵の魔法兵の質はお世辞にも高いとは言えなかった。


「うわあああああ」という叫び声と共に逃げ出してしまう兵士が敵方に出るのは当然の成り行きであった。しかし彼らに待っていたのは動くものに対して敏感な獣人達による猛攻だった。代表的なのがネコ族である……彼らは嬉々として動くものを優先的に狙って攻撃したので逃げ出した兵士から順番に殺された。敵は逃げ出すことも出来ずに壊滅した。


僅かに生き残った敵兵を捕虜にすると我々は敵の集落へと向かった。ここでも敵側は門を閉めて抵抗の動きをしたので我々の猛攻を受ける羽目になった。投げ槍の攻撃の前には城壁の上にいた敵兵は呆気無く全滅した。そして固く締められた門は焙烙玉によって爆破されて意図も簡単に我々に突破されるだけに終わった。


聖王暦1492年 10月11日 


コロンブスによって島の形からセント・リーフと名付けられた島で起きた戦闘によって島の守備隊は壊滅し、島の主要な拠点は制圧された。


街中に入ったあたりから大勢の人間を見て我が方の兵士達が騒ぎ出した。


「尻尾無しだー」

「尻尾無しがいっぱいいるぞ!」

「大変だー」


そもそも大方の兵士達は『言われて付いて来ただけ』の連中なので見るもの全てが新鮮と言わんばかりに驚いていた。これが可愛いだけならマシで……


「尻尾無し怖い!」

「尻尾無し気持ち悪い!」

「尻尾無しは悪魔だ!!」


などと騒ぎだす者まで出始めてしまうのである。尻尾にそこまでアイデンティティーを持っているのに驚くかも知れないがネコなどは尻尾を切られただけで死んでしまうものをいるので分かる通りケモノ系獣人にとっての尻尾は重要なモノなので尻尾が無いというのは万死に値するものに見えるのである。もっとも大樹林でも虫人を始めとして結構な数の尻尾無しが存在しているのだから耐性くらいは持ってるのでは?と言いたくはなるが……一兵卒のしかも今回の遠征に参加するような兵士達の感覚などとうのは……悲しいが、この程度なのである。


タカムラ「略奪は最小限に抑えて欲しいものですな……」


コロンブス「民家を破壊せずに人も殺さずにはやる、しかし民家の中に武器を隠してるかも知れないし、何か今後の手掛かりになるような文章や資料があるかもしれないから一軒一軒調べる必要がある」


コロンブスの真の目的は略奪以外には無いことなど明らかだった。一軒一軒調べろと言うが……興奮状態の兵士達に調べさせたらどうなるか分かったものでは無い


タカムラ「人と言う人を広場に集めろ!一人も殺すなよ!!」


何とか住民達を広場に集めることに成功した。抵抗しようとする者もいて小競り合いが起きたりしたものの圧倒的に有利な立場の我々に対して人間達は無力であり、細やかな抵抗は無意味に終わった。


コロンブス「大量の資料も発見したし、地図らしきものを見つけたぞ!」


資料や地図は重要なモノである。今回の遠征はあくまで偵察なので目的は新大陸の発見と現地調査をすることである。手に入れた資料の文字は本国で解読してもらうことになるだろう


兵士「牢屋に囚われている人間達がいます!」

重要人物以外は姿を詳細には描写しない主義です。


この人物は、この動物が良い!とかの感想は受け付けていますので感想貰えると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ