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漫才シリーズ

漫才「天地無用」

作者: まさかす

ボ=ボケ

ツ=ツッコミ

二人「みなさんこんにちはー」


ボ「早速ですが」

ツ「何でしょう?」

ボ「この前実家で納戸を整理するというので手伝いに行ったんですよ」

ツ「ほうほう、親孝行ですね。良いじゃないですか」

ボ「そしたら古い段ボールが沢山ありましてね」

ツ「人は溜めこめる場所があるとついつい溜めこんでしまいますからね」

ボ「その中で『天地無用』ってシールが貼られた段ボール箱があったんですよ」

ツ「そういえば以前はそんなシールが貼られていた物をよく見た気がするけど、最近は余り見ないですね。最初にそれを見た時は『上にしても下にしても良いですよ、どちらに向けても大丈夫だよ』って意味かと思ってましたけど、実は『上下をひっくり返しては駄目』という反対の意味だと後になって知って、何か日本語って難しいなぁと思った次第です」

ボ「その『天地無用』って文字、恰好良くないですか?」

ツ「ああ、確かに格好良い気がしますね」


ボ「でね、整理が終わった帰りにガソリンスタンドに寄ったんですよ」

ツ「はいはい」

ボ「そしたらそこで『火気厳禁』っていう文字がやたらと目に付きましてね」

ツ「天地無用の事があって漢字が目に付くようになったとかですかね」

ボ「はい、そんな感じです。で、思ったんですが『火気厳禁』って文字も恰好良くないですか?」

ツ「火気厳禁ですか? 安全第一とかとセットでよく見る気がしますが、格好良いと思った事はないですねぇ」


ボ「そうですか……厳禁って文字は恰好いいと思うんだけどなぁ」

ツ「文字としてギュッと凝縮されている気がするだけで、それ以外は何とも」

ボ「音としてはどうですか?」

ツ「ゲンキンが?」

ボ「ゲンキンがです」

ツ「普通じゃない? 音だけで言えば他に良いのは沢山ありそうですし」


ボ「火器現金だとどうですか?」

ツ「火気厳禁と同じ音だけど、それだと武器商人って感じですかね。つうか文字変えて意味あるの?」


ボ「開放厳禁、折曲厳禁、開封厳禁、遅刻厳禁とかは?」

ツ「よくありますね。でも格好良いですかね?」


ボ「下積厳禁、上積厳禁、横積厳禁、立積厳禁」

ツ「それはあまり聞かないですね。というか連続して聞くと人の名前に聞こえますね」


ボ「恋愛厳禁」

ツ「アイドルの方ですか? まあ、擬似的に恋させる商売と言う気もするから、可哀そうだけどしょうが無いかなぁ。というか恋愛禁止って言い方のが多いかな? でも厳禁って書くと絶対にダメって気がしますね」


ボ「恋愛現金」

ツ「何か犯罪の匂いがする! 大丈夫ですか!?」


ボ「家事現金」

ツ「お手伝いさんの事かな? それとも奥さんからの申し出かな? だとしたら何か寂しいなぁ……。朝起きたらテーブルの上にそんな事が書いてある紙があったら泣き崩れちゃいそうだなぁ。洗濯1回500円とか、布団干し1枚200円とか、子作り1回幾らとか……」


ボ「土足厳禁」

ツ「建築途中の家とかで見ますね。そういうヤンキー車も昔ありましたね。今でもあるのかな?」


ボ「怒速(どそく)厳禁」

ツ「『直ぐに怒るなよ』みたいな意味ですか? 直ぐにキレる人に向けた言葉ですか?」


ボ「私語厳禁」

ツ「テスト会場とかですかね? 私そういう場所は苦手なんですよね」


ボ「死後厳禁」

ツ「『生きているならしてもいいけど死んだ後は駄目よ』みたいな事ですかね? 遺された人達向けなのか、はたまたその人に向けた物なのかで色々と意味が変わってきますね。あの世でもそれなりにルールがあるんだよとか。そう考えると世知辛い……」


ボ「死後現金」

ツ「これまた犯罪の匂いがするんですが?!」


ボ「カッコよさが伝わりませんか?」

ツ「残念ですが私には難しいですね。むしろ天地無用の方がカッコいいですね。何か必殺技っぽいというか、必殺技を繰り出した後の一言っぽいというか」

ボ「なるほど」

ツ「それよりもですね」

ボ「はい」

ツ「納戸にあったという天地無用の段ボール箱」

ボ「はいはい」

ツ「そこには何が入っていたんですか?」

ボ「そんなの知りたいんですか?」

ツ「いや、『天地無用』の物って何だろうなぁって少し気になりました。整理したと言う事は棄てたんですか?」

ボ「いいえ」

ツ「じゃあ何が入ってたんですか?」

ボ「亡き祖父の人生です」

ツ「うわっ! 重っ!」

ボ「いえ、実は祖父のエロ本です」

ツ「なら、人生と言っても過言では無い……かな?」

ボ「はい」

ツ「じゃあこの場合の『天地無用』とは『中身をひっくり返すな』と、つまりはそういった個人の嗜好を暴く様な事はするなよという意味の天地無用なのかな?」

ボ「そうかもしれませんねぇ」

ツ「天地無用の使い方としては合って無い気がするけど、言い得て妙って感じもしなくもないですかね。お爺さんだって男ですもんね。ある意味、君にとっては祖父の形見ですかね」

ボ「……」

ツ「どうかしました?」

ボ「いえ、それら全ては私が祖父にプレゼントした物で、その箱に詰めたのもシールを貼ったのも私だった事を今思い出しました」

ツ「今直ぐ処分してやれよ!」


2021年08月01日 2版 誤字訂正

2020年08月09日 初版


「第2回GETUP!GETLIVE!漫才・コント大賞」投稿作品


途中で気付いたが、これは文字が見えないと分かりづらいネタだなぁ。

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