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fallen  作者: 流転
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「ダハウィは帰ったのか。帰るべき場所があるってのは良いよな。っつーかよ、パグ、オメェ金はいいのかよ?ダハウィを取り逃がしちまったんだろ?」

「もう俺は金に執着するのをやめようと思ってな。俺には再生の魔法の素質があるようだし、リャシャを俺の手で救ってやりたいと思ったんだ。例えそれが茨の道でも、な」

「あのう、私は王国の隊長を殺してしまったのですが、彼に操られていた兵士たちはどうしますか?直に精神干渉の魔法も切れて、目を覚まし始めると思うんですが」

「うーん、というか何でここにライザとミーシャちゃんがいるのかな?」

「ミーシャは王国の危機に駆け付けただけであります!何故ならミーシャは英雄ルークの血を受け継いでいるのでありますから!」

「ワレはリューのチのニオイがシタから、タスケにキタのだ」

「・・・ちょっとお前ら一旦黙れ、突っ込みどころが多すぎるがまず整理させてほしい」


隊長が持っていた魔力のストックを使ってパグさんがライザを治療した後、僕らは起きたことを振り返り始めた。僕らがわいのわいの言っていると収拾がつかなくなり、パグさんがこめかみをおさえながら話を纏める。横ではリクさんが頷きながら、パグさんの肩を持っている。


「まず戦局だが、帝国の切り札のダハウィは帰るべき場所に帰っていった。正直賭けでもあったが、リューの意見を尊重して結果的には正解だったな。今意識を失っている兵士たちは起きたら、俺たちの事を国家への反逆者に仕立て上げてくるだろう。ぶっちゃけ俺は今のうちに兵士を殺したいんだが、反対するやつもいるだろう」

「ああ俺様は反対だぜ。あいつ等は魔物には立ち向かえないくせに、裏切り者と決めつけたやつには平然と立ち向かうクソどもだったが、それでも人間であることに変わりはねぇ。説得じゃなくて脅しで行く、もし無理ならその場合は殺すしかない。そん時は仕方ねぇが、試すだけはさせてくれ」

「まぁ分かった。そしてそこにいるガルだが、なんで喋ってるんだという突っ込みはとりあえず置いておいて、だ。お前はリューの知り合いなのか?」

「ソウダ、ワレはリューとシリアイだな」

「何言ってんだ、さっきは友って言ってたじゃねぇか。知り合いなんて仲じゃねぇだろ」

「えっ?」

「コラッ、キサマ・・・」

「友、友ねぇ。まさかライザの方から友と言ってくれるなんて予想外だったなぁ、でも素直にうれしいや。僕も友って呼んでいいかな?」

「・・・スキにシロ」

「こんなに感情豊かな魔物は初めて見ましたね・・・。ダハウィも素直に帰っていったようですし、魔物という一括りで見ることは出来ないですね」


ライザが僕の事を友と呼んでくれたなんて、ライザの心境の変化もあったのだろうか?僕の血の匂いを嗅ぎつけて助けに来てくれるなんて、本当にライザが魔物から人間に移り変わっていっているかのような感覚に陥る。いや、もしかしたらもう十分人間らしいのかもしれない。ミーシャもライザも、それぞれ守るものは違えでもこの戦場に自らはせ参じてくれた。そのおかげで僕は自分の手を汚さずに、今を生きることが出来ている。ミーシャちゃんは英雄について何か悩んでいるようだけど、僕はもう一人気になっている人に話しかける。


「リグウェルさんは大丈夫ですか?その、初めて人を殺したと思うんですが・・・」

「あぁ、大丈夫ですよ。不思議と震えはすぐに止まったんです。パグさんの再生の魔法の光を浴びてから、何か勇気がもらえた気がして・・・そこからは無我夢中でしたね」

「あぁ、パグ、オメェは才能があるぜ。何よりあの光は暖かかった。おそらくダハウィの荒んだ心も、あれで落ち着いたんだろう。ったく、何が命は資源だよ。オメェはそっちの方が似合ってるぜ」

「ミーシャが分からない話をするなです!一体何の話でありますか!?」

「まだミーシャちゃんには難しい・・・いや、話を逸らすのはやめよっか。胸に決意を抱いている人の輝きは、周りを照らし出すんだよ。ミーシャちゃんはやる気はあるけど、周りに目をやったことはあるかい?戦場は危険なんだ、今回は運よく生き延びれたけど、いつ死ぬかなんてわからないし、今回もギリギリだった。確かにミーシャちゃんのやる気で今回は助けられたけど、今度からは周りにも目を向けて見たらいいと思うよ、身近なおばちゃん達やシスター達とか、ね」

「分かったです!」


返事が速すぎて本当にわかっているのか不安になるけど、これで良かったはずだ。確かにミーシャは僕の英雄だ。ライザももう、自称ガルの英雄なんて言えない。ミーシャもライザも、僕にとっては英雄であることに変わりはない。ただ英雄というのは自信を顧みないもので、危険をはらむものでもある。リクさんやパグさん、そしてリグウェルさんは人間らしさが溢れていて、危険意識も持っている。そこまで考えてふと疑問に思う。僕はどっちにいるのだろうか。誰かを守りたいと我武者羅に突っ走るけど力は足りず、結局は誰かに助けられる。僕が一番危なっかしいのかもしれないな。戦場では英雄の勇気が勝るのか、それとも冒険者の逃げ腰が勝るのか、そんなのは詰まるところ状況次第としか言いようがない。危なっかしくても生き延びれたことを喜ぶべきだ。


「さて、それじゃ兵士たちの脅しタイムだ。リュー、兵士たちに打消しの魔法を頼む。お前ら、一応戦闘態勢を」


パグさんのその一言で気を引き締める。まだ終わっていないのだ。気を緩めるわけにはいかない。最後の最後まで緊張の糸を張り巡らす、それが戦場だ。


「いきます、打消しの魔法」

「・・・ん?俺は今まで何を」

「隊長に何か魔法をかけられた気が・・・おい、隊長はどこだ?」

「隊長が死んでいるぞ!あいつらだ、裏切りものの冒険者どもがっ!隊長の仇を討つぞ!」


案の定、兵士たちは僕たちを標的にし始める。あまりにも予想通りの反応だ。それに対してリクさんが大声を張り上げる。


「オメェら、黙れ!いいか、そこに転がっている隊長をぶっ殺したのは俺様の横にいるコイツだ」

「・・・え?リクさん?」

「だがな、よく聞け。隊長はオメェらの事を駒としか見ていなかった。オメェらに精神干渉の魔法をかけて無理矢理戦わせたんだ。だがオメェらはまだ生きている、俺様がオメェらを殺さないように防御に徹したんだよ」

「なんだって?」

「隊長が我々を捨て駒に・・・?」

「いいかオメェら!これから先も王国の駒として生きたい奴はこの中にいるか?いねぇだろ!人間としての感情が残っているのならこの仕打ちに怒れ。そして王都でオメェらの帰りを待っている人に、無事な姿を見せてやれ。もし俺らを殺そうとするのなら、俺らも容赦はしねぇからな?」

「・・・隊長はあの魔物に、ダハウィに殺されたのだ」

「そうだ、名誉の戦死、そうだな・・・」


兵士たちは隊長の死因をダハウィという事にして、僕らと敵対することは避けるようだ。ダハウィとは戦わずに、隊長には操られて、しまいには責任を全てダハウィに押し付ける。あまりにも自分勝手に見えるけど、ふと見覚えのある一人の兵士が僕たちに頭を下げているのを見て、人助けというのも悪くないと思う。誰かに手を差し伸べれば、往々にして相手はそれを覚えているものなのだ。人と人との繋がり、それは人間の醜い感情をすっ飛ばして本音を表す、嘘偽りのないモノ。兵士たちは逃げるように王都に帰っていって、残された僕たちは思わず苦笑する。


「随分と都合のいい連中だな」

「まぁ恨み節の一つも言いたくなりますけどね。冒険者を前で戦わせて自分たちはクラーク砦に引きこもっていて、そのくせあれですからね」

「クソどもが・・・。あ、おいオメェ。そこの魔術師、オメェだよ。一つ聞かせろ。なぜ魔法を連発できた?」

「それは人体実験のお陰です。魔法強化の紋様以外にも、魔物から魔法器官を抜き取って人体に移植する実験が成功しまして、お陰で魔力の蓄積が可能になったんです」

「・・・なんだと?オメェはテメェの体を弄られて不快感はねぇのかよ?」

「不快感で王都を守れますか?」

「ハッ、よく言うぜ!オメェは王都を守るためじゃなくて軍の規律を守るために、王都の民を殺そうとした癖によぉ」

「どうとでもどうぞ。私はこの国のために死ねるのならそれで満足です。この国の規則も、それに慣れてしまえば何とも思わなくなる。・・・ただ時々自由に生きる冒険者が羨ましくも感じますがね。結局のところあの国は国民がお互いを監視しあって生きていて、特に兵士なんかになると上からの命令に逆らえなくなる。いましたよ肉体強化の紋様を拒んだ兵士も。ただ彼は輪を乱したという理由でもうウルルカンクにいきましたがね」

「・・・いかれてやがるぜ」

「百も承知です。もう国に尽くす以外の理由なんて失ってしまったんですから」


リクさんが苛立ちを募らせる。しかし魔法使いはそのまま去っていく。本当にいろんな人がいるのだ。思わず皆を眺める。ボロボロではあるが確かにそこに生きている。地獄の様な戦場を生き抜いた強者達。手が小さすぎて届かないと嘆いたこともあったが、多くの命を救えたのだ。誰かを助けて、忘れたころに誰かに助けられる。


「皆、本当にありがとうございました。生きてくれてよかったです」


その言葉にそれぞれいろんな返答を返す。そっけない返事もあれば、噛みしめるような表情をしながら返答を返すものもいた。前を向く者も悩む者もいた。僕らは戦場を後にする。十人十色とは言うが、誰しもが自分の道を疑うことなく突き進むのだ。

_______

ミーシャは英雄の血を受け継いでいるです!魔物を殺すだけじゃないというリューの判断は良く分からないです!それにリューが最後に言っていた周りを見ろという言葉もよく分からないです!何か想像していた未来図とは違う現実が広がっている感覚です。王都の皆を守ることが出来たから結果的に良かったのではないですか?


「ミーシャちゃん、大丈夫!?ケガはない?」

「よかったわ、無事みたい・・・」

「ミーシャは無事です、町も守ることが出来ました。やっぱりミーシャは英雄に相応しいです!」

「・・・ミーシャちゃん、あんまり私たちをハラハラさせないでおくれ」

「そうそう、町を守るっていう決意もいいけど、蛮勇は己を殺すのよ」

「その二人の言う通りです、ミーシャ、勝手に出歩いてはいけません。戦場は危険な場所です」

「シスター。でも、ミーシャは必要とされました!ありがとうとお礼を言われました!」

「そうですか・・・、でも私たちにとってもミーシャは大切な宝物なんですよ?それだけは分かってください」


そう言われて、おばちゃん達と、シスター、そしてシスティアに抱き着かれます。苦しいです。何故皆はミーシャの事をこれほどまでに大事にしてくれるのですか?孤児のミーシャに寄り添ってくれるのですか?まだ分からない事だらけですが、いつかリューに追いついてやるのです!

______

森の中を一匹のガルが突き進む。口元に少し笑みを浮かべているのは、何か嬉しい事でもあったのだろうか。彼は帰るべき場所に急ぎ足で向かう。早くこの喜びを分かち合いたいのであろうか、尻尾が左右に揺れている。厳かなガルの英雄は、随分と表情豊かになったように見える。しかし暫くしてガルの英雄の眉間が険しくなる。彼は足をはやめる。乱れた呼吸を整える暇もなく、村の門を潜り抜けるとそこには予想外の光景が広がっていた。

______

ミーシャとライザが帰るべき場所に帰り、残された僕らは少し話し合いをする。リグウェルさんもいるのは、もう戦いが終わったからだろう、今は王国兵の姿は確認できない。


「リュー、オメェがこの世界に呼び出された時周りには誰もいなかっただろ?オメェは神の気まぐれでこの世界に召喚されたはずだ。だがなんだその魔力量は。今改めて真実の魔法でオメェの魔力を見たが、戦争が始まる前と比べて少ししか減ってねぇ。回復力がおかしいんだ、オメェいったい何者だ?」

「僕は本当に神によって呼び出された筈です、周りにはイスファ=リアしかいなかったですし・・・」

「イスファ=リア?命照らす大樹の事か?」

「いえ、僕が勝手に名付けたんですけど、元はハラウルなんです。ただ王国の実験体にされて魔法強化の紋様を刻まれていました。とても賢くて僕の言葉を分かってるみたいで、最初は僕の事を攻撃してきたんですけど、僕が話しかけていくうちに攻撃してこなくなったんです」

「ほぉ?興味深いな。あのガルも知能があったのか普通に話していたし、そのハラウルにも会ってみたい」

「いえ、もうイスファ=リアはこの世にいないので・・・。突如現れたワイバーンに殺されました。イスファ=リアは僕の見様見真似で着火の魔法を使って抵抗したんですけど・・・。そのワイバーンとの戦いでおじいちゃんも死にました」


ふぅむ、とリクさんは僕の話を聞いて考え込む。確かに僕自身も謎ではあった。リグウェルさんを守った時に防御の魔法を使ったにもかかわらず、リクさんが唱えた打消しの魔法を魔力量でごり押しして精神干渉の魔法をかけることが出来たのだから。明らかに普通ではない。しかし神の悪戯で呼び出されたのなら力もなしに放り出されるはず。少なくともリクさんは飛びぬけた力はないのだから。


「もしかしたら神が呼び出したんじゃなくて、そのハラウルが呼び出したのかもな。ハラウルは着火の魔法を使ったのだろう?不可能ではあるまい」

「何言ってんだパグ、魔力量的に不可能だし、そもそもいくらそのハラウルが賢いと言っても、呼び寄せの魔法を目の前で見せられないと魔法は使えねぇぞ」

「・・・いえ、その可能性はあるのではないでしょうか?王国軍の実験体にされていたのなら、王国兵の魔法も実際に見たはずです。王国の魔法使いは攻撃重視、今回の戦争でも着火の魔法を連発していました。そして来る大厄災に備えるために呼び寄せの魔法のデモンストレーションをしていたとしたら、ハラウルが呼び寄せの魔法を覚えることも出来ます」

「なるほどな。そして王国のやつら人体実験までしてやがった。魔物が持っている魔法器官を人間に取り入れて無尽蔵の魔力人間、だと?狂ってやがるぜ、長い年月を経て生物が環境に適応するために進化することはあれど、自分たちで体をいじくろうなんて恐怖を感じる。神にでもなったつもりかよ」

「だがそう考えれば辻褄は会うな。王国のやつらはハラウルを使って実験をしたんだ。魔力持ちの血をハラウルに与えて、どれくらいの量を魔法器官に蓄えることが出来るのかを、な。そして連中は自分たちの尻拭いをすることなく、あろうことか実験体のハラウルを野に放った。連中は魔法器官を取り入れた人間兵器を作り出して満足だろうが、ハラウルは過激な実験を生き延びた、と」


3人が各々考えていることを無造作に吐き出していくうちに、バラバラに分かれていたはずのピースが繋がり、一つの真実を形どった気がした。だとすれば、僕は・・・


「僕は、イスファ=リアの餌として召喚されたんですか?」

「・・・まぁ、今の話ならそうだな。呼び寄せの魔法で召喚された人間には神が直々に神の奇跡を与えるという話を王国の連中がしていて、さらにその会話をそのハラウルが理解していたのなら猶更その可能性は高くなるな」

「パグ、前から思ってたけどオメェは躊躇なさすぎだろ。ちっとはリューの気持ちってもんを考えてやることは出来ねぇのか?」

「お前に説教されるとは、明日は空からバステルが降ってくるんじゃないか?」


また2人がいがみ合う。でも僕はそのおかげで少し気持ちの整理がついた。イスファ=リアとは結局友達になれたと思っているし、襲われたのも最初っきりだ。イスファ=リアが本当に僕の事を餌として見ていたのなら、僕の魔力が回復したころにもう一回襲って魔力を補充したはずだ。何故なら僕は神の祝福を受けて魔力の回復速度が速いのだから。この戦争の間でも魔力が回復しているのがその証拠だ。そこまで考えを馳せたところで血の気が引く感覚に襲われる。何か見たくない真実を見てしまった様だ。


「待てよ、魔力回復速度が速いのなら、僕はあの時取り返しのつかないことをしたんじゃ・・・」

「あ?どうしたリュー。顔色がわりぃぞ?」

「僕は再生の魔法を使えたはずだ、でも自分で自分の魔力量を見ることは出来ない・・・。あの時僕がおじいちゃんを助けていたら、今頃ティビやピィーと仲良く・・・いやそれどころかイスファ=リアまでも助けられたかも」

「・・・何かに対して後悔しているんですか?その気持ちは痛いほどわかりますよ、私も徴兵された時に勇気があれば助けられた命があったのかもしれないと苛まれる時があるんです。ですが、もう過ぎ去ったことはどうしようもならない。忘れろとは言いません。私は貴方に命令する権利もないですしね」

「リグウェルの言う通りだな、人間なんざ弱い生き物だ。そしていつかは死ぬ生き物だ。絶望を乗り越えるために必死に生きる道を探したところで、やってくる明日が今日を越える絶望を与えてきたらどうすんだ?俺様はジジイにこんなくそったれな戦場を見せたくはねぇぜ?ジジイが必死になって大厄災から守った人々が今度は人間同士で殺しあってるなんざ見せられたもんじゃねぇ。ジジイが死んだのはオメェのせいじゃねぇ」


リグウェルさんとリクさんが僕に対して、過去のお前は間違っていないと言ってくれる。思考の海に気を取られて帰り道を見失っていた僕に、現実はこっちだと手を伸ばしてくれるのだ。そうだ過ぎ去った過去はどうしようもない。でも後悔だけは強く残って・・・


「そのブレスレット、ジジイの魔力の色だ。俺様にはわかる」

「もう1つはリューの魔力の色だな、さっきダハウィに打消しの魔法を使ったときに確認できたが、綺麗な青色だな」

「よく見ればその牙はハラウルのですね。形見を持っているんですか」

「・・・僕が救えなかった命たちです」

「それはちげぇよ、オメェが忘れまいとする証だろ」

「・・・」


言葉が出てこない、様々な感情がないまぜになって気持ちの整理がつかない。もうおじいちゃんとイスファ=リアが死んだときに涙は枯れたはずだったのに、意識するとまた瞼が熱くなる。だがこれは救えなかった命に対して流す涙ではない。僕を取り囲む人の輪が変わった、その実感から来る涙なのだ。


数多の命が潰えた戦場の跡地で、僕は静かに涙を流す。空は憎らしいほど晴れ渡っていて、しまいには太陽が沈み始めて長かった1日がようやく終わった。

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