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fallen  作者: 流転
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木々のざわめき、壮大なりてとあるガルの部落を包み込む。ここは王都から離れた人の手も入っていない森の中。絢爛さもなければ豪華でもなくただただ質実剛健という言葉が似あうその村に、忘れたころに帰ってきた英雄の風貌は正しくその村にピタリと当てはまるものではあるが、その英雄を出迎える声は村からはあがらず、ただ静寂が場を支配するのみ。しかしてその静寂を打破するのは英雄ではあるが、口から零れるのはただの鳴き声、つまりは言葉にあらず。それに応えるかのようにガル達も獣の鳴き声を響かせる。その光景は人間が見れば面妖であるだろうが、その村にとってはいつもと何ら変わらぬ風景であった。いや、普段通りとは言うまい。一つだけではあるが、確かに普段の光景とは違う部分があるのだ。


英雄が村のガル達に対して首を垂れる。その動作に多少のぎこちなさを残しながら、しっかりと。英雄が首を垂れたことがよほど意外だったのか、村のガル達はしばし押し黙る。村の静謐さと木々のざわめきがせめぎあう。どれほどその状況が続いただろうか、やがてガル達は英雄の心からの誠意を受けて遠吠えをする。最後に英雄が大きく遠吠えをするとガルの村中、いや周囲の森にまで遠吠えが響き渡る。英雄はもう一度ガル達をゆったりと眺める。先程の剣呑とした空気はどこへやら、今度はガル達は穏やかな視線を送り返す。本来ならば強さを求める魔物である以上群れを成すこと自体が珍しいのであろう。魔物を知っているリュミが生きていればこのガルの部族を見れば驚きを隠せなかっただろうが、今やこのガルの部族は村と呼ぶにふさわしいほどの纏まりを持っているように見える。その後英雄とガル達はひと時の団欒を楽しむ。それはまるで人間の様で、喜怒哀楽の感情が詰まったものである。ガル達は感情というものが最初分からなかったようだが、徐々にではあるがしっかりと英雄からの手ほどきを受けて、次第に話が弾んでいく。


ここはとあるガルの村。雄大な自然に守られながら質素に暮らし互いを支えあうガル達は魔物と呼ぶべきか、はたまた人と呼ぶべきか。他人からの評価など本当はどうでもいいのかもしれない。そう思わせてしまうほどその村で語り合う彼らは楽しそうに話をしていた。季節は夏か秋か、寒いのか暑いのか。ただ秋霜烈日とした英雄の顔立ちが少し変わったような気がするので、季節の変わり目なのかもしれない。

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