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fallen  作者: 流転
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老人と過ごす日々は楽しかった。本を読んで文字を覚えながらこの世界について少しずつ知識をつける。老人の名前も最近知った。カカさんというらしい。まだ会話は無理だけど、名前を書いてもらって知ることだ出来た。僕も自分の名前をカカさんに教えた。この世界で僕はリューとして生きていく。紙に字を書きながらカカさんと触れ合う日も楽しかったが、やはり会話をしたいと思った。そんな生活から月日は流れ、ようやく僕も会話が出来るようになった。


「カカさん、僕喋れてる?」

「あぁ、喋れてるよリュー。よく頑張ったね」

「やった!」

「あとリュー。私のことはカカと呼ばないでくれと言ったよね」

「ごめん、おじいちゃん」

「ははは、構わないよ。さてと、今日はリューと初めて会話しためでたい日だ。お祝いをしなくちゃな」

「うん、おじいちゃん!」

「さてと、本当はもっと豪華なご飯を用意してやりたかったが、リューの希望だしな」


そう言っておじいちゃんはテーブルに料理を並べ始めた。僕がこの世界に来てから最初に食べた料理。はじめて老人の優しさを感じた思い出の料理だ。肉と野菜を焼いただけの料理と、硬そうなパン。肉と野菜を焼いただけの料理はバステル焼きというそうだ。最初は訳の分からい内に化け物に左手を持っていかれて、心が荒んでいた。そんな時おじいちゃんに助けてもらった。おじいちゃんが作ってくれたバステル焼きは素朴ながらも、荒んだ心を潤してくれた記憶がある。


「では頂くとしようか」

「うん!」


あぁ、やっぱりおじいちゃんのバステル焼きは美味しい。数か月前と変わらぬ味に、涙が出た。

英雄の軌跡2

「帝国兵士から村を守り抜いたことで、ルークは皆から感謝されると思っていた。しかし現実は甘くはなかった。帝国兵士に襲われて生き残っていたのは自分一人だけだった。周りを見回したところで、倒壊した家屋と人質にされて結局助けられなかった命が映るのみ。帝国兵士はルークへの対抗手段として、村人を人質に取ったのだ。ルークは何とかして助けようと思ったが、先ほど剣を初めて握ったルークには帝国兵士だけを殺すという高度な技術は身につけていなかった。それに、人質の人たちの口が動いていたのだ。

-殺してくれ-

と。ルークはがむしゃらに剣を振るう事しかできなかった。武器を持って抵抗していた他の村人も、ルークが駆け付けた時には既に遅かった。自分以外に生きている人間がいない村の中で、ルークは自分の弱さを嘆くしかなかった。」

                               ルークの伝記

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