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fallen  作者: 流転
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五十嵐刑事と源さんが険しい表情で被害者の夫の話を聞いている。追加の調査は必要だろうが、今のところ被害者は恨みを買うような人間ではなかったとみられる。平田さんのケースと一緒だ。五十嵐刑事と源さんは、今回も強盗殺人として捜査を進めるという見解で一致した。


「八代、俺らは聞き込みをするぞ」

「わかりました。それにしても、もし前回と今回が同一犯の仕業なら犯人は相当犯罪慣れしてますよね」

「ん?」

「凶器を持ち去って手がかりも残さないようにするなんて、少なくとも衝動的な殺人じゃないなぁって」

「言われてみればな。普通は金目的の強盗なら家に忍び込む前に、事前調査をするもんなんだよ」

「犯罪者が事前調査ですか?」

「そう不思議な話でもないだろ。人間誰だって、例え犯罪者でも出来れば殺人なんて犯したくない。罪が増えるだけだからな。そのためにも忍び込む家の家主が出かける時間とかを調べとくんだよ」

「じゃあ調べもせずに強盗を強行しようとした犯人は、他人の命なんてどうでもいいと考えているのか、それとも捕まらない自信があるかですね」

「あぁ、そうだな・・・。どっちにしろもう好き勝手させねぇがな。さぁ張り切って聞き込みだ」


その後事件を終わらせるという熱意に燃える源さんと俺は必死で聞き込み調査をした。最初の方はめぼしい情報はなかったが、諦めずに聞き込みを続けると犯行時間の少し前に怪しい人物を見かけたという情報を得た。それから先はそれまでの苦労はなかったかのように、トントン拍子に事件が解明されていった。犯人はフリーターの男で、金欲しさに犯行に及んだと供述した。また、前回の平田さんの犯行も認めた。ほんの少しの情報から犯人特定に漕ぎつけた警察の能力の高さに驚きながら、俺は犯人の自供に不信感を抱いていた。


「源さん、犯人は金欲しさって言ってましたけど、それなら殺人を犯すリスクはないですよね?」

「あぁ、俺もそこが引っ掛かる」

「まさか犯人は快楽殺人者、とかじゃないですか?」

「・・・あり得る話だな。精神鑑定を受けさせた方がいいかもしれない。だがもし犯人の精神状態が異常だと出れば、犯人の罪は軽減される」

「え?それって・・・」

「八代、平田さんは復讐を望んでいたよな?確かに大事な人をある日突然奪われる痛みっていうのは、他人には想像できないもんだ。本来ならこんな犯人には死刑がお似合いなのかもしれないし、ただ本当に金欲しさが理由のクズ野郎かもしれねぇ」

「・・・」

「それでもあの犯人に精神鑑定を受けさせたいって考える俺は探偵失格かもなぁ」

「・・・探偵失格と言われても、俺には源さんが立派な人間に見えますよ。どんな人間でも、相手の事を知らないと理解なんて出来ませんから。理解しようとしないことこそ、探偵失格じゃなくても人として失格だと思います」

「おぉ、言うようになったな」

「じゃあ依頼人にその旨を報告しに行きましょうか」

「お、おう・・・」


嫌がる源さんを急かして平田さんに電話をかけさせる。今夜平田さんが探偵事務所に来れるらしいので、その時間で話し合いの約束を取り付ける。さて、ここからが正念場だ。

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