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「すいませんライザ遅れました・・・。あぁ、お邪魔しちゃいましたかね」
「イヤ、イマオワッタ」
僕がライザとの待ち合わせに少し遅れると、そこには墓に祈っているライザがいた。それだけで、自然と笑みが零れる。ライザも日々変わろうとしている証拠なのだ。
「それでライザどうしたんですか?こんなに早い時間から話したいって」
「アァ、ソレはダナ。コレからシバラクはアエナクナルとイウハナシだ」
「え?なんでいきなり・・・」
「ニンゲンタチがカエッテクルソウダカラな」
「あー、騎士団と冒険者の遠征がそろそろ終わるという話を最近よく聞きます。確かにそうなったら、僕とライザが秘密裏に会うのは難しくなりますね。そうですね、また騎士団と冒険者がどこかに行ったら会いましょう」
「アァ、シバシのワカレだ」
・・・大丈夫だ。騎士団と冒険者も遠征終わりで暫くは殺気立っているだろうが、それが永遠に続く訳ではない。落ち着いたら、またライザとも会えるだろう。ちょっと寂しくはあるけど、ライザにとってもいい機会となるだろう。
「じゃあこの機会に部族の皆との仲を深めてください」
「イワレナクトモ。ワレをダレダトオモッテイル」
「自称ガルの英雄、でしょ?」
「・・・チガイナイ」
そんな他愛のない会話を交わして、ライザと別れる。暫くしてこの王都は騎士団と冒険者が帰ってきたという話題で持ち切りになった。遠征組の表情は努めて笑顔だ。
「大量だぜ、大量」
「魔物を沢山討伐したぞ!これで一安心だ」
そんな風に騎士団と冒険者が口を揃えて言う。それらに歓喜する群衆を見て、この前の国王の演説と同じ空気が漂っている気がして怖くなる。誰も突っかかることもなく、全員がその流れに身を任せるのだ。しかし、今回は前回とは違った。
「はっ!そんなに魔物を討伐したのを自慢したいのかよ。騎士団も冒険者も、何も魔物を討伐することだけが仕事じゃねぇだろうがよ」
「なんだリク、手柄をたてられたなったことが不満なのか?そう拗ねるなよ」
リクさんがこの流れに一石を投じている。周りが茶化すが、リクさんは素知らぬ風を装い、さらに嫌味を垂れ流す。
「オメェらが手柄に執着し過ぎているだけだろ。そもそも魔物を倒して大厄災が収まるなら文句はねぇが、こんなもの焼け石に水だろ。騒ぎすぎなんだよ」
「な、なんだと・・・」
「騒ぎたいなら騒いどけ。俺様は好きに生きるぜ」
それだけ言い残しリクさんは群衆の群れから外れる。残った群衆がリクさんの陰口を言っていたが、僕には群れることなく自分の行きたい道を生きようとしているリクさんの姿だけが鮮明に記憶に残った。おじいちゃんの件もきっとそうだったのだろう。リクさんは良くも悪くも、自分に正直者なのだ。そんなリクさんだからこそ、この王都ではリクさんははみ出し者なのだ、そう知った。




