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fallen  作者: 流転
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魔族のみんなから食料や水をしっかりと持たされて洞窟を発つ。結局当初の予定通りにはいかず、ラティムさんとは出会えなかったし、次期魔王のリフィーアさんは僕のことを警戒していた。中々思い通りにはいかないけど、魔族のみんなとは少し仲良くなれたと思う。


「仲良く、か・・・」


誰もいない森の中で一人言を漏らす。ライザとの関係も魔族との関係も、人間社会から見たらどう映るのだろうか。果たして魔族排斥運動が大きくなった時、ライザや魔族の皆は無事に乗り越えられるのだろうか。いや、そもそも魔物であるライザと人間である僕が一緒にいるところを、周辺の調査をしている騎士団や冒険者に見つかったら、どうなるのだろうか。


そんなことを考えながら王都に帰ってくる。行きと違い帰りははやく安全に帰ってこれた。パテンさんの宿屋に戻る途中、白ローブの集団がまた演説をしているのが目に入る。でも今回はそれを無視する。僕が観衆の中一人怒りに燃えたところで、何も意味はないのだから。パテンさんの宿屋に帰ってくると、すぐさま裏庭でライザから教えてもらった剣術の練習を行う。


丸太に向けて剣を振るう。丸太にかつて戦ったガルを当てはめて、剣を振るう。ライザにはやみくもに剣を振るっても構わないと言われた。ただし相手のことを考えたりしてはいけない。権を握る以上相手を殺す気で振るえ、殺気さえこもっていれば相手を飲めると言われた。そうだ僕は強さが欲しい。魔族排斥という理不尽を撥ね退けれる強さが。リフィーアさんに言った、汚れ役でも買って出るというのは比喩ではない。僕は生きるためにイスファ=リアの牙を魔物に突き刺し、自分にとって大切なモノを守るために剣を振り下ろすと誓ったのだ。


殺意を込めて丸太に切りかかる。何度も、何度も。息は上がるが、尚も切り続ける。人間が使う剣術の様な美しさもなければ、スマートさもない。これがライザに教わった剣術だ。伊達にランニングで体力を鍛えていない。限界などという言葉は人生に余裕のある人間からしか出てこない。人生に余裕のない僕は、限界だからといって練習を終わらせるわけにはいかない。


「おうリュー!頑張ってるなぁ!飯、ここに置いとくぞ」

「ありがとう、ございます」

「頑張れよぉ、ガッハッハ!」


息を整えながらパテンさんにお礼を言う。パテンさんはおじいちゃんとイスファ=リアを失ってからの僕を最初に支えてくれた人だ。パテンさんにもいつか改まってお礼を言いたい。僕はいろんな人に支えられて生きている。僕の人生を彩る周りの人たち、一人も失いたくない。


「理不尽なんてこの手で打ち砕いてやる。そのためにも強く、なって見せる・・・」


何もせずに魔族が消えていくのをただ見守るだけだなんて絶対に嫌だ。自分にできることは全力でやる、英雄ルークも言っていたじゃないか。汗だくになりながら僕は剣の練習を再開する。

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