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fallen  作者: 流転
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ラティムさんから受け取ったメモを片手にひたすら王都から離れていく。ヒエラ草をとった森に分け入り、最短距離を突き進んでいく。森の奥深く、僕以外にこんなところに用事のある人間などいないだろう。それにしても、思ったより王都との距離が近いな、と思う。勿論こんな森の奥深くを探す人間などいないだろうが、今は人間の中に魔族排斥を叫ぶ集団がいる。


(まぁそれまでは人間と協定を結んでいたみたいだし、王都に近いのは納得か)


そう一人で結論づける。そんなことを考えてながら藪漕ぎ進みゆくと、目の前に大きな山がそびえたっていた。そしてその山にぽっかりとあいている穴。穴の入り口には魔族が立っている。どうやら目的地に着いたようだ。僕は迷わず話しかける。ついでの様に魔族の住処に来たのだが、何の準備もしていない状態で森の中を歩き続けたのは失敗だった。当初の見込みでは一日で着くとみていたが、王都を出てからもう2日経っている。おじいちゃんの家から持ってきた食料を着火の魔法で調理しながら、何とかここまで来たけどもう限界だ。


「み、水を・・・」

「に、人間だ!」

「どうやってこの場所を突き止めた!」

「た、助け、て・・・」

「・・・なんかこいつ死にかけじゃないか?」

「演技では・・・無さそうだな。手負いのガルみたいな顔をしている」


魔族の見張りの誤解もとけたみたいで、僕は洞窟の中に入れてもらえた。そこでご飯を食べさせてもらい、落ち着いたところで僕はラティムさんのことを話した。僕はどうにも無鉄砲なところと、先走る癖があるみたいだ。


「実は僕はラティムさんの知り合いのカカさんという人のもとで育ちまして・・・。ラティムさんからメモを受け取ってここに辿り着いたんです」

「へぇ、ってことは君がリュー君かい。ラティムさんから話は聞いているよ。我々魔族を見ても気味悪がらないって。でも今ラティムさんは忙しくてね。なんでも騎士団と冒険者が近くを魔物狩りをしていてね、騎士団と冒険者をこの近くに寄せ付けないように陽動しているんだ」

「あれ?ラティムさん忙しいんですか・・・。すいませんこんな時に来ちゃって。邪魔でしたかね?」

「いやそんなことはないよ。それに今はリフィーアもいるし、よければ話し相手になってくれないか」

「リフィーア?」

「あぁ、ラティムさんの娘さんだよ。次期魔王に立候補してくれてとても勇気がある娘だけど、勇猛ってのは儚さと隣り合わせだからさ」

「本当にその通りだと思います」


勇気があるのは凄いことだ。ワイバーンを前に震えるしか出来なかった僕と違っておじいちゃんとイスファ=リアは立ち向かっていった。でも結局立ち向かったものは息絶え、僕だけが生かされた。冒険者になっても僕は肉を断つ感触が怖くて剣を使わずにイスファ=リアの牙を使ったり、薬草採集にいそしんだりしていた。でもそれでも僕は今生きている。


(無理をする必要はないんだ。僕は僕のできることをすればいい・・・)


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