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fallen  作者: 流転
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「それにしてもライザさんは凄いですね。言葉を喋る魔物は初めて見ました。僕のことを生かしてくれるというのなら、代わりにライザさんが求めている人間の心を学ぶ手助けをさせていただきます。互いに利用しあいましょう」

「フム、ソレデコソニンゲンダな。ワレもキサマをリヨウサセテモラウ」


緊張感から解放されたら今度はガルに要求をしている自分に、随分図太くなったなと驚きを覚える。まぁでもこのガルの甘さを利用しない手はない。ガルがまだ復讐心という感情を持っていなくて助かったというべきか・・・。とにかく命があることに越したことはないのだ。


「まず人間には感情や気持ちというものがあります。ライザさんがこんな王都の近くに単独で来れるのも、貴方の強さから来る自信が原因です。恐らく貴方は自分は強いと意識しているのではないですか?」

「ワレはツヨイぞ。ブゾクをマトメ、サラにガルのエイユウダカラな」

「そうですね、貴方が強いのは間違いありません。そして貴方が僕を殺さなかったのは貴方に慢心があったから。生かすことで利用しようとしたから。これらの感情は理解できていると思います。貴方が先ほど言っていた人間とは本来傲慢な生き物ですから」

「ソウダナ」

「では僕から見てライザさんに欠けているもの、人間なら持っている感情を教えます。それは他者を気に掛ける気持ちです。貴方から見て僕は弱い生き物です。それならその弱きものにどう接すればいいと思いますか?」

「ム・・・。コウゲキをシナイ、カ?」

「それもありますけど大切なのは慈愛の心です。その弱きものに手を差し伸べる勇気も人間の本質なのです」


・・・嘘だ。人間とは本来傲慢な生き物、それ以上でもそれ以下でもない。勿論僕も傲慢な生き物だ。ここでこのガルに慈愛の心が大事と刷り込むことで今後の僕の安全を確保する目的がある。間違っても復讐心というのは教えてはならない。仲間という存在を認知させてはいけない。ガルは賢くはあるが、それはいかに効率よく狩りをするかという賢さだ。部族という単語が出てきたが恐らくそれにも仲間意識はなく、単に生存確率を高めるためだけのものだろう。


(利用させてもらうよ、その優しさ・・・。そうだまだ僕は死ぬわけにはいかないんだ)


絶望から一筋光が差し込んだのなら、その光がどれほど細くともそれに縋る。生き残ってやるのだこの世界で。神の実験場で醜く生き延びてやる。


「ライザには魔力があります。綺麗な緑色の魔力です。魔物というのは魔力持ちを無差別に食らうのでこんなに綺麗な緑色の魔力というのは珍しいですよ。そこで折角なので僕が魔法を教えます。魔力は使わないと損ですよ。その代わり僕に剣術を教えて欲しいのです」

「フム、イイダロウ。マホウにキョウミがアル。アシタカラはコノジカンにココにクルとシヨウ」

「ありがとうございます。それでは魔法と人間の心を少しずつ教えていきますね」


ここまで思い通りに事が運ぶとガルに申し訳ないという気持ちが浮かびそうになる。僕はこのガルとどう接すればいいのだろう。イスファ=リアの時みたいに成長していく魔物を見て、喜べばいいのか・・・。いや愛情が湧いてしまうと離れた時の辛さが増えることになる。そうだこの世界は簡単に命が消える世界なのだ。結局胸のモヤモヤは晴れないまま協会に帰った。

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