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命の輝きが失われたガル達を見下ろして討伐証明のために体の一部を切り取る。伝説の命照らす大樹イスファ=リア、その下ではすべての命が笑っていた、か・・・。ガルの返り血で汚れた牙を見て、夢幻だなと感じる。
「ガル3匹の退治お疲れ様です。いくら弱いとはいえ魔物は魔物ですからね。他に魔物を見かけませんでしたか?」
「僕が見たのはこの3匹のガルだけです」
「そうですか。討ち漏らしもなくて安心しました。ガルは知性がありますからね。討ち漏らすと後々厄介なんですよ」
「それは彼らも生きていますからね」
僕が討伐証明を示して文官さんが報酬を渡してくる。それで依頼が終わりなので、文官さんに別れを告げて城を出る。途中で城の使用人たちの会話が聞こえてくる。
「陛下は最近やつれておられますよね」
「そりゃあねぇ。王女様は魔物に襲われて亡くなられて、預言者様は大厄災の日時を示す前に亡くなられたしねぇ。不幸続きだよ」
そんな他愛ない会話。残念ながら白いローブの集団の話は出てこなかった。あいつらは国の研究機関で生体実験をしていたとおじいちゃんが言っていたけど、今のところ城の中では見つけられていない。城の他の場所にいるのだろうか?それにこの国の王様はその生体実験を黙認していたのだろう。預言者が死んだと聞いていつ大厄災が来ても大丈夫なように王都の防御を固めるのではなく、先に危険な芽を摘もうと騎士団や冒険者を派遣して周辺の調査を行っているほどだし。そう、つまりは・・・
(王様は魔物を単なる脅威と捉えているわけか・・・。そりゃ魔物も生きているっていう考えを抱くとおじいちゃんに珍しいって言われたわけだ)
そんなことを考えながらパテンさんの宿屋に戻る。依頼をこなしたおかげで今日も美味しいご飯を食べれるし、屋根の下で寝ることが出来る。嬉しいことだ、そのはずなのに目の前のバステル焼きを眺めてあのガル達のやせ細った姿がフラッシュバックする。
「・・・」
「どうしたリュー食わねぇのか?冷めないうちに食った方がいいぞ」
「・・・パテンさん、僕って恵まれてますね」
「どうした急にそんな当たり前のことを。カカや俺が周りにいて、恵まれていないとでも思っていたのか?ガッハッハ」
「いえ、単なる確認です。今までおじいちゃんの家から持ってきた金で武器や防具を揃えられてましたけど、今日初めて自分でお金を稼いで改めて思っただけなんです」
「そうか、まぁ自覚があるってことはいいことだな」
そんな他愛のない会話をして時間が過ぎていく。夜は長いようだ。




