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「刑事さん、リューが失踪ってどういう・・・」
突然刑事から友人が失踪したと聞いた時は頭が真っ白になった。何言ってんだこの人、とさえ思ったくらいだ。
「混乱しないで聞いてほしいんですが、学生が何の連絡もなく大学に来ておらず、さらに電話にも応じないと大学から連絡が来まして。神木龍之介君が住んでいるマンションの大家さんに頼んで部屋の中を見たがもぬけの空でした。そこで、いくつか質問に答えてくれませんか?」
勿論任意ですよと刑事は付け加えたが、俺が捜査に協力しない理由がない。むしろ俺の情報でリューが見つかる確率が上がるなら喜んで情報を提供する。
「え、えぇ。分かりました」
「神木君と最後に会ったのはいつでしたか?」
「えっと、4/16の18:00ですかね。リューと一緒に5限目の授業が終わった後、あいつは日の入りを見たいって言って学校に残って・・・」
「次の日は会ってないんですか?」
「次の日から学校に来なかったんです。あいつが休むなんて珍しいなって思ってました」
「ふむ。では次の質問ですが、彼は周囲から恨まれたりは・・・」
その後刑事に色々と質問されたが刑事の顔は晴れることなく、どうやら重要な手掛かりは得られなかったようだ。
「質問は以上です。ご協力ありがとうございました」
そう言って刑事は質問を切り上げた。だが最後に聞きたいことが一つだけあった。
「待ってください、刑事さん!」
「はい、何でしょう?」
「リューは・・・龍之介は帰ってきますよね?絶対に見つかりますよね?」
そう聞いた時刑事の顔は一層曇った。だが、すぐに先ほどの顔に戻る。いやむしろ先ほどより笑顔が見られる。
「・・・もちろんですよ、お任せください」
月並みな言葉ではあるが、その言葉にいくらか気持ちが軽くなった気がする。警察が動いてくれるなら一般人の俺には何もすることはない。今まで通り大学に通い、授業を受けるだけだ。そう、失踪事件なんて警察がすぐに解決してくれるさ。そう思い、重たい足を引きずり教室に入っていった。
保存の魔法
「この保存の魔法を対象物にかけることで、対象物はその鮮度を維持することが可能となり、腐ることがなくなる。ずーっと保存の魔法をかけ続けるのは無理なので、一般的には保存の紋様を容器に施し保存する。であるからして、保存の魔法の呪文を覚えている人は少ないであろう。ちなみにこの魔法で美肌を維持するのは無理なので、読者諸君はきっぱりと諦めるよーに」
カカの魔法辞典改訂版