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fallen  作者: 流転
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「えっと、ガル退治の依頼を受けたリューと言います。よろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いします。いやぁ、騎士団が出払っていたので助かりますよ。出始めたのも最近なのでね」


依頼主さんは優しそうな顔をしていた。僕の質問にスラスラと答えてくれる。


「最近出始めたって言うのはやっぱり大厄災の前兆ですかね?」

「おそらくは・・・。大厄災が近づくと魔物の出現頻度も変わりますからね。神の試練なんかじゃない、明確に人が死ぬ災いですよ。預言者様も亡くなられていつ大厄災が起きるかもわからないので国中がピリピリしていますし・・・。あぁすいません、愚痴が出てしまいました」

「それは大変ですね。心中お察しします」

「まぁそういうわけでガルを討伐して人々の不安を少しでも消していただきたいと言うわけです。頼りにしていますよ」

「わかりました。早速討伐に向かいます。確認された3体を仕留めていい報告が出来るように頑張ります」


その後王都の外に出る。そのまま街道に面している森の方へ足を運ぶ。草原とはまた違った安心感。柔らかな風が木々の匂いをまとい僕の横を通り抜ける。ついでに獣の匂いも。風下で良かった、敵の接近に匂いで気づくことが出来たから。そして現れるガル達。その姿を見て僕は嫌な顔をする。


(最悪だ・・・。見るからにやせ細っている)


本で読んだことがあるのでガルについては既に知っている。見た目は犬をそのまま二足歩行にした様な外見で、武器や防具を手作りしたり、時には群れを作るほどの知性もある。獣の習慣として強い物には従い礼儀を重んじる様な行動もとるが、それでいて魔物としての本質も兼ね合わせている。義理堅く賢く、人間を襲う。でも目の前のガル達はやせ細っているのだ。碌な食べ物にありつけていないのか、その目にあるのは生き物としての生存本能と、僕に何かを求める様な縋り付く視線。そして・・・


「人型の上に血の色まで赤なんて・・・」


僕は襲い掛かってきたガルの先頭に向かって剣を振るう。そのひと振りでガルは致命傷を負い前線から離脱する。明らかに精彩さを欠いたその動きと切った時の感触に何とも言えない表情を浮かべる。そうだ、これがお金を稼ぐという事。冒険者として生きていくという事だ。地球で平穏に生きてきた僕にとって、この生存本能がぶつかり合う世界は厳しいのかもしれない。そこまで考えたところで目の前に残りのガルが、手作りの先のとがった木の棒を持って迫っていた。


「うわっ!」


慌てて左手の籠手を前に突き出す。イスファ=リアの牙はガルを容易く貫くが、その感触は先ほどのショートソードを振るったときとは違う感触。手に握っているかいないかの違いだろうが、その感触が軽い事に僕は救われる。


「これなら戦える。ガル達ごめんよ。僕が明日生きるための犠牲になってくれ」


仲間をやられて激昂している最後のガルにイスファ=リアの牙を突き刺し、最初の致命傷を負っていたガルにとどめを刺す。初めての戦闘は僕に命を奪うという事の重大さを教えてくれた気がする。それと同時に僕は一人じゃ生きていけないんだなと改めて実感する。


「あのワイバーン戦がなかったら最初にガルと出会っただけで怖気づいたし、イスファ=リアの牙がなかったらガルを切ることに耐えられなかっただろうな・・・。イスファ=リアありがとうね。これから先もお世話になるけど、よろしくね」


やっぱりお守りって凄いやと思いながらイスファ=リアの牙と赤いブレスレットを眺める。僕の生きる原動力はここにあるのだ。

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