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「パテンさん、金を稼ぐにはどうすればいいですかね?」
「あー、リューお前なんか特技あるか?料理が得意とか、物を売ったことがあるとか」
「そういう特技はないですね。ほら僕片手ですし。片手でも雇ってくれるところってありますかね?」
「そりゃ厳しい相談だな。片手のやつより五体満足のやつを雇いたいって思うのが普通だろうからな。それなら冒険者登録をしてみるのはどうだ。目指せルークに並ぶ英雄にってな。ガハハッ」
「わかりました、冒険者登録をしてみます」
「あ?おいおい本当に冒険者登録をするのか?魔物相手にするんだ、危ない仕事だぞ」
「分かってます、でもおじいちゃんもイスファ=リアもワイバーンに殺されました。大厄災を引き起こす魔王には同情しているので憎しみはわかないんですけど、魔物は殺さないと。誰かの平穏を守るために」
「・・・あー、まぁ決意が固いってのはいいことだな。早々にくたばるんじゃねぇぞ。死んだカカにまだ早いって追い返されるだろうからな」
その後僕は冒険者登録をして、色々と仕組みを教えてもらったけどその仕組みは昔本で読んだことと変わらない内容だった。人々の安全を守るために依頼が来たら魔物を駆除して、依頼がなくても魔物を間引く職業。特に問題はなかったので今度は武器や防具を見繕う。あのワイバーン戦から体力もつけたのでショートソードなら片手でも振るえる。あとは革の防具を買って・・・。あ、そうだ。
「すいませーん」
「おうなんだい?」
店と工房を兼任しているのだろう。奥からは鉄を打つ音が聞こえてくる。僕は店主にあるお願いをした。
「このハラウルの牙を僕の左手に取り付けて欲しいんです。小型のナイフみたいな感じで」
「あぁ、いいぞ。籠手の先につけて固定するようにしようか」
僕の要望はあっさり通った。代金を払い武器と防具を受け取る。これで僕の装備は右手にショートソード、左手にイスファ=リアの牙、そして革の防具だ。とりあえず体力はつけてるけど剣なんて振ったことはないし、そもそも実践は前のワイバーンが初めてだ。
「簡単な依頼ないかなー」
そんな風に言って初めてでも安全そうな依頼を探す。すると報酬の少ない依頼を見つけた。
「すいません、これお願いします」
「はい・・・、ガルの討伐ですね。この依頼は最近王都周辺にガルという魔物が出現しているという事で、行商人を襲う前に退治してほしいという国からの依頼です。報告を受けたガルは大した数ではなく、そもそも一体一体が弱いのでリュー様でも難なく倒せると思われます。依頼を受けられますか?」
「え?国からの依頼って皆受けないものなんですか?この依頼残ってたんですけど」
「他の冒険者の方々はいつ大厄災が起きるのか分からないので、大半が国の騎士団と共に王都の周辺の調査に出かけています。ですのでこの依頼は残されていたわけです」
なるほど、周辺の調査をして大厄災の前兆とみられる魔物を駆除したら後顧の憂いを断つと同時に臨時の収入にもなって一石二鳥というわけだ。でも誰かがこの依頼を受けないと皆の不安が残ると思う。
「分かりました。この依頼を受けます」
「ありがとうございます。依頼人は城の文官ですのでこの版木を持っていて依頼を受けた旨を伝えて、依頼の詳細を聞いてください。どうか貴方に最高神ガダーディス様の加護がありますように」
神の名前が出てきて嫌な気分になる。この王都では神は崇められているようだ。とりあえず今は仕事だ。気持ちを切り替えて城に向かう。




