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fallen  作者: 流転
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「八代、過去の失踪事件について調べていたのか?」

「はい、世界各地で失踪事件が起きてるんですね。思ってたより多かったです」


俺は今過去の事件について調べている。研究室の論文を書くためというのもあるが、犯罪者の心理や失踪事件の手口を調べてリューを見つけ出す手がかりを探すため、というのもある。


「でも古い事件は未解決ばかりですね」

「そうだな、昔は犯人の手がかりを探すだけでも一苦労だった。だが今は技術が進歩したからな。警察という組織も頑張っている」

「警察、ですか・・・」


警察と聞いて思い出すのは、事件を割がいいかどうかで区分していたあの警官のこと。それに技術が進歩したからと言って、情報が集まりやすくなったと言って、人間の本質までは変わらない。あの事件のように。前の俺ならばそこで怒りが再燃していたところだろう。でも、俺は心理学を学んだ。母さんと話して、人の心理が何となくわかってきている気がする。おそらく助かった女性にとっては俺や警察こそがヒーローにうつっていたのだろう。


「警察は社会の正義だ。悪を裁く正義。国民にはそういう象徴こそが大事になる。一人が警察に抱く考えよりも、国民からの信頼こそが全て。それが社会というものだ」


先生が饒舌になる。


「警察が憎いか?親友の失踪事件の捜査を諦めた警察に諦観を覚えるか?一人の失踪事件よりも世間の平和を全うしようとする警察に嫌悪すら抱くか?」


俺は何も言えない。それを先生はわかっている。


「何も言えないようだな。それはお前がまだ自分の気持ちを制御しきれていないからだ。いいか、親友を助けたいと思ったなら他のことには意識を向けるな。お前ひとりが警察に一石投じたところで波紋すらうまれない。そんなことする暇があったら親友を探す手がかりを一つでも多く探すんだな。」

「違う!俺は親友を探すのも大事だがそれ以上に・・・!」

「心理学を学んで他人の気持ちを慮る大事さも知ったってか?」


先生が俺の考えていることの先を言う。そうだ。心のどこかで、あの事件のことを完全に納得しきっていない自分がいた。あの刃物男の濁った目が頭から離れないのだ。太陽は一つだけ。どこかに光が差して輝けば、どこかに影が落ちて暗がる。その影に目を背けて生きていくなんて俺には出来ないんだ!


「先生、俺まだまだ未熟でした。色々と教えてくれてありがとうございました」

「・・・先走るなよ」


俺が母さんに感謝の気持ちを伝えた時、先生は俺の笑顔が戻ったと言っていた。それなら今の俺はどんな顔をしているのだろう。この先は茨の道があるというのに・・・


「随分目つきが変わったな。少し獰猛そうだぞ」


嗤っているのだろうか。

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