表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
fallen  作者: 流転
26/178

26

「よっこらしょ、っと」


片手で井戸水をくみ上げる。やっぱり片手だから軽々とはいかない。魔法の練習以外にも体を鍛えた方がいいかもしれない。


「おはよう今日もいい天気だね」


それが終わったらティビとピィー、そしてイスファ=リアに今日も挨拶する。ピィーは渡り鳥だ。もう少ししたら春が終わる。そうしたらピィーは海の向こうの帝国に渡っていく。この日常ももう少ししたら変わるのだ。あ、そうだ。もう一つ挨拶する人がいた。


「今日も見守っていてください。名も知らぬおばあちゃん」


その後はおじいちゃんと魔法の練習。おじいちゃんの魔法はいつ見ても綺麗だ。赤い魔力が体から溢れ出て、温かい空気が僕を包み込む。でも今日は魔法の練習はそこそこで切り上げる。おじいちゃんとの約束があるから。


「じゃあ王都に行こうか」

「うん」


ラスティ王国の王都。いつもはおじいちゃんが一人で食材の買い出しに行っていたけど、今日は僕も一緒についていく。


「王都かぁ、楽しみだなぁ」

「まぁいろんな人がいるし新しい発見もあるだろう」


だが、とおじいちゃんが続ける。


「いろんな人がいるという事は当然リューに合わない人もいるだろう」


王都には魔族を皆殺しにしたいと考えている者もいれば、生物実験を肯定している者もいる。それはおじいちゃんの話を聞いて嫌というほど理解していた。勝っちゃんがよく言っていた。リューは考える力はあるし自分の信念も持っているが、一度決意を固めると周りが見えなくなり、一人で突っ走る癖があると。おそらくおじいちゃんも僕の癖を知っているだろう。


「だからリューを王都に連れていく。買い物を一人でするという以外にも、学ぶことも多いだろう」


だっておじいちゃんとは長い付き合いだから。そして僕もおじいちゃんのことは知っているつもりだ。


「うん、おじいちゃんも王都の知り合いに挨拶しないといけないもんね」

「ははっ、そうだな」


挨拶回り。ラティムさんもしていたけど、おじいちゃんにもお世話になった人たちがいるんだ。


「時代は変わるのだからな」


おじいちゃんがポツリと独り言を呟く。

僕はそれが聞こえていたけど何も言わない。二人で王都まで歩いていく。馬車は使わず、少しでも二人だけの空間を長く保つために。おじいちゃんと会話していれば王都まであっという間だ。時間の流れははやいのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ