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fallen  作者: 流転
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(ティビは今日も可愛いなぁ、ピィーも僕のことを警戒しなくなったみたいだし、順調だなぁ)


口に出すと驚かれるので、心の内を口に出すことなくティビ達に餌をあげる。最初は僕のことを警戒していたけど、今では友達、だと思う。そのあどけなさで体よく利用されているだけかもしれないけど。イスファ=リアのとこまで行き、今日も声をかける。


「おはよう、いい朝だね」


イスファ=リアは何も言わないけど、僕だって魔力というものが分かるようになったのだ。イスファ=リアは僕の左手を食らったので、イスファ=リアが保持する魔力のもとを辿れば僕と同じになる。測定の魔法を使うと、僕と同じ水色の魔力が見える。


「僕はもう測定の魔法を使えるようになったよ。君はまだ?」


なんだかイスファ=リアに勝てた気がして嬉しくなる。まぁ、魔物の魔力補充方法は魔力持ちの血を食らうしかないから、僕みたいに魔法の練習に割くほどの魔力は持っていないと思うけど。そんなことを考えていたら、お客さんが来た。


「やぁやぁ、そこの君。カカさんをご存じないかな?」


中年の男の人だ。だが、一つだけ気になる点がある。それは彼の頭部に角が生えていることだ。でもそれ以外はなんら人間と変わりない。僕は特に気にすることなく会話を続ける。


「おじいちゃんなら家にいますよ。案内します」

「なになに、おじいちゃんだと?カカさんめ、いつの間に孫を・・・」


後ろについてきている男の人がブツブツとなにやら呟いているが、気にしない。この人について、僕よりおじいちゃんの方が親しい関係だろうし、そこで僕についてはおじいちゃんから説明してくれるだろう。


「おじいちゃん、なんかおじいちゃんにあいたいって人を連れてきたよ」

「私に客人だと、珍しいな・・・。なんだ、ラティムか。」

「おいおい、なんだとは失礼じゃないか。私とカカさんの仲だろう?」

「私のところに来る余裕があるのか?」

「違うよ、今だからこそカカさんに会いたかったんだ。」

「・・・」


そこで重い空気が場を支配する。何が何やら分かってないが、とりあえずおじいちゃんに尋ねる。


「えっと、おじいちゃん。この人は?」

「こいつは今代の魔王だ」

「えっ」


この人が今代の魔王?想像よりだいぶ若い。それに魔族は人間に追い出されたと言われているが、人間との違いなんて頭部に角が生えているかいないか位ではないか。でもおじいちゃんが嘘を言う必要がないし、この人は本物の魔王なのだろう。そして同時に理解する。おじいちゃんと知り合いのこの人がなぜここに来たのか、そして場の空気が重くなったのか。ラティムさんが口を開く。


「死ぬ前にカカさんに会いたかったんだよ。色々とお世話になったから」

「・・・大厄災はいつだ?」

「もう世界各地で大厄災の予兆の魔物の増加が起きている。ラスティ王国の預言者によればまだはっきりとは分からないが、5年以内には起きるとのことさ。全く、帝国も王国を見習って預言者の育成をしてほしいよね。まぁそんなわけで、いつ死ぬか分からないから早いうちに挨拶回りをしているんだ」

「そうか、せめて大厄災が起きるのは5年後がいいな」

「うん、そうだね」


再び場の空気が重くなり、僕はその場にいるだけで息苦しくなる。本で読むだけでは分からない、魔族の叫ぶような悲鳴が聞こえてくるようだ。


「酒を出そう」

「おぉ、いいねぇ」


でもラティムさんは努めて明るく振舞っていて、おじいちゃんもそれに合わせている。僕はその間に入ることも出来ず、ただ古くからの知り合いの様な二人が楽しそうに昔話に花を咲かしているのを、複雑な表情で眺めることしか出来なかった。

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