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fallen  作者: 流転
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「あ、そうだ。おじいちゃんの話で気になったことがもう一個あるんだった」


いけない、イスファ=リアと仮初ではあるが友達になれた気がして忘れていた。一つの物事に意識を沈めると、考え込みすぎて他のことが見えなくなるのが僕の欠点だって、勝っちゃんが昔言ってた。


「なんだい?」

「僕を呼び寄せたのが神ってどういうこと?」

「あぁ、それか。実はな、本来呼び寄せの魔法というのは、魔法を唱えた人の目の前にその対象物が呼び寄せられるんだ。でもリューの場合は隣にハラウル・・・」

「イスファ=リア」


何か大事なことの様に急いで訂正する。そんな僕を見ておじいちゃんはいつもの優しい眼差しを向けて、怒ることなく訂正してくれる。


「イスファ=リアがいただけだろう?明らかに魔法とかけ離れたモノ、それは神の奇跡と呼ばれている」

「神の、奇跡?」

「あぁ、国の神官たちの受け売りだがな。やつらに神の奇跡をその身で受けたと言えば羨ましがられるぞ」

「でも、僕はガダードの世界に呼び寄せてくれと願ってなかったんだけど」

「あぁ、そうだろうね。そこは神の都合さ」


神は身勝手なんだねという僕の呟きにたいしておじいちゃんは何も答えなかった。少し重くなった空気を軽くするために、無理矢理話を変える。


「それにしてもおじいちゃんって何でも知ってるね」

「あぁ、知り合いにな、神の理不尽に巻き込まれたやつがいるからな」

「あー、それってリクさんのこと?」


空気を軽くしようとしたらかえって重くなった。


「いや、リク自身はこの世界を結構気に入ってると思うぞ。実際に一人旅までしたんだからな」

「それじゃ神の理不尽に巻き込まれた人っていうのは?」

「リューよ、その前に大厄災については知っているな?」

「うん、本で読んだくらいだけど」


人間に追い出された魔族という種族の中の長である魔王が、神に力を与えられたときに同時にうまれた副産物。それはある一定期間ごとにこの星に厄災を引き起こすという、呪いのようなもの。かつておじいちゃんが魔物の群れから王都を守ったのも、元をたどれば大厄災が原因だ。さらにその呪いは魔王に代々受け継がれる、消えない代物らしい。僕なら力を与える代わりに人間から狙われるなんて絶対にごめんだけど。本を読んだときは単に魔族が不憫だと思っていたけど、同じく人間から見捨てられたイスファ=リアを目の前にすると、何とも言えない気持ちになる。


・・・あれ?


「ねぇ、まさかその知り合いって・・・」

「リューは察しがいいな。そうだ、私の言う知り合いとは今代の魔王のことだ」


この世界について知ろうとすればするほど新しい発見に驚かされるけど、おじいちゃんには驚かされっぱなしな気がする。


「人間に追い出された魔族が人間と知り合ってていいの?」

「あぁ、魔族を追い出したのは貴方ではないと言って許してくれたな」

「へぇ、優しい魔王さんなんだね。おじいちゃんの知り合いかぁ。僕も会ってみたいな」

「それは少し難しいかもしれないな。なにせもう少しで大厄災が来ると言われている。預言者が正確な日時を出したら、その前に討伐されるか、自害を見守られる。その代わりそれ以外は不干渉。それが魔族と人間の取り決めだからな」


・・・え?

英雄の軌跡8

「ルークは我武者羅に聖剣を振るった。敵対する帝国兵士はルークの強さに恐れをなして中々攻めてこようとしないが、それでも戦局というのは移り変わるものだ。何人かの帝国兵士を殺した後に周りを見回すと敵の兵士の死骸ばかり。そこで日の光を反射している指輪やらペンダントが転がっており、ついつい手に取ってしまう。指輪やペンダントの裏には二つの名前が刻まれていて、それがまたルークを陰鬱な気分にさせる。もういっそのこと全人類共通の敵か何かがいれば分かりやすいのかもしれない。皆が認める諸悪の根源でもいればこんな気分にはならなかっただろう。しかし王国を守ったことに変わりはない。ルークは少しばかり晴れやかな気分になった、その時だった。帝国兵士がやってくる方から悲鳴が聞こえた」

                               ルークの伝記

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