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fallen  作者: 流転
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俺が探偵になると心に決めてから、世界はまた変わった。今まで惰性で受けてきた授業は将来のために、何ともなしに過ごしてきた日々はリューを探すために使うようになった。とりあえず行動をしないことには、なにも結果は生まれない。


「引き払われてると思うが、リューが住んでたマンションに行ってみるか」


無駄足かどうかは行動してからじゃないと分からない。リューの住んでいた部屋はやはり引き払われていた。大家さんに話を聞くと、リューが失踪してから少ししてリューの両親が引き払ったらしい。やけに対応が早いのが気になり、なんとか大家さんに連絡先を教えてもらおうと試みる。


「大家さん、リューの両親の連絡先を教えてくれないですか?リューが失踪した手がかりが少しでもほしいんです!」

「そう言われてもねぇ、個人情報だからねぇ」

「そこを何とか!」

「熱意だけ出されてもね、大人の社会ではやってけないんだよ」


そういわれて軽く一蹴されてしまった。学生の身分では、親友の両親の連絡先を掴むのでさえ不可能だと知り軽く絶望する。帰路のさなか、満員電車で横から聞こえる下世話話。耳に入ってくるのは、やれ包丁男が警察に取り押さえられたのだの、やれ女性を救ったヒーローがいるのだの。気になりSNSで調べれば、昨日の出来事が拡散されていた。ご丁寧に動画まで添えられていて、胸糞悪くなる。SNS上では女性を気遣うような言葉が述べられているが、果たしてこの中で実際にあの状況に出くわしたら一体どれほどの人が俺と同じことが出来るだろうか。


苛立ちを隠せぬまま昨日の事件について調べると、もうすでに包丁男の住所が特定されており、何が正義かわからなくなる。まるで正義は我にありというような警察と動画撮影者、そして住所特定者。俺は女性を助けるために包丁男を殴った。その行動は自分では正しかったと思っているし、後悔もしていない。しかし、包丁男のあの深海の様な生気のこもっていない目がフラッシュバックする。気付けば俺は包丁男を殴った右手を抑えていた。不思議だな、あの時は極限状態で痛みを感じなかったのに、今になって痛み出した。

英雄の軌跡7

「帝国と王国の思惑が重なる戦場にて太鼓の音が鳴る。それが開戦の合図だった。数多の帝国兵がクラーク砦に殺到する。王国最後の砦を守るためにルークは聖剣を振るった。その剣はかつての村の仲間をだれ一人として守れなかった剣。折角の聖剣を魔物を切るためではなく人間を切るために使っている。これが魔物相手だったのなら楽だっただろう。人間の命を守るという大義名分の元に魔物を切るだけなのだから。しかし今は王国の人間を守るために帝国の兵士を殺して回る。戦場に於いて大義名分だとか理由だとか目的だとかは一切意味を持たない。否、戦を肯定する行為はほかならぬルーク自身が許さなかった。」

                               ルークの伝記

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