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fallen  作者: 流転
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僕が決意を固めた後、折角なのでおじいちゃんと一緒に草原を歩き回ることにした。いままで何となく見ていても、自分が見落としていたことがあるかもしれないから。


叢がガサガサと揺れる。ヒョコっとティビが顔をのぞかせる。ウサギみたいなその動きが可愛くてもっと見たいと近づくが、警戒心が強いのかすぐに隠れてしまう。悲しむ僕と横で微笑むおじいちゃん。


「リュー、こういう時は餌で釣るのがいいぞ」


そう言ってティビの餌をばらまくおじいちゃん。


「え?ティビの餌ってあるの?」

「いや、私が自分で作ったのさ」


その後ピィーの鳴き声がする装置を使ってピィーと戯れるおじいちゃん。この装置も自分で作ったらしい。なんでも作っているのに驚いていたら


「この年になるとね、一人は寂しいものなんだよ」


と説明してくれた。僕もティビやピィーと触れ合いたいと思い、積極的にコミュニケーションをとろうと試みるが、見事にティビには避けられるし、ピィーは喧しい鳴き声をあげるのみだ。


「リューはな、自分の感情が表に出すぎなんだ。ティビとピィーからしてみたら大きな人間は脅威なんだよ。感情に振り回されず、相手の気持ちを汲み取る、それが相手を理解する一番の方法さ」


おじいちゃんが僕にやんわりと注意する。確かに僕は自分の気持ちが先走ったことが多々あった。視界の隅にあのハラウルが見える。いつもより近づいてるのでその全貌がしっかりと見える。前まではその獰猛な姿にしか目がいっていなかったが、今は違う。その体に紋様が刻まれているのを見て、胸が痛くなる。あのハラウルの過去や生い立ちをろくに知ろうともせずに一方的に憎んでいたり、ティビやピィーの立場も考えずに、仲良くなりたいと思いあがっていた。でも、それなら・・・・


「おじいちゃんはあのハラウルと長い付き合いなんでしょ?」

「長いというか・・・。まぁ、リューよりは長いかな」

「それじゃあさ、おじいちゃんはあのハラウルにどんな感情を抱いているの?」

「そりゃあ同情さ。あのハラウルは研究機関では孤独に生きてきて、今もこの草原で孤独に生きているからな。可哀想とは思うさ」

「おじいちゃんは僕に相手の気持ちを汲み取れって言うけどさ、あのハラウルの気持ちは汲み取らないの?あのハラウルも生物として生きたがってるだけなのに・・・」


ダメだ、こんなこと思うべきじゃない。僕は人間でハラウルは魔物だ。この世界での僕の理解者はおじいちゃんなのに、なんで今僕はおじいちゃんにこんな質問を投げかけているのだろう・・・。頭では理解しているが、おそらくハラウルの生い立ちを知ってしまったからだろうか。僕の本能が、魔物とも仲良くなりたいと願っているのだ。


「おじいちゃんが僕やティビやピィーを気遣ってくれているのは分かっている、そうだ分かっているんだよ。でもさ、僕ももう他人事じゃない、ハラウルの気持ちを汲み取ろうとしちゃったんだよ・・・。あ、あれ、僕こんなこと言うつもりじゃ・・・・」


感情が止めどなく溢れてくる。一度流れ出した本音は止まることなく、言葉の刃となって命の恩人に向かっていく。おじいちゃんは何も言わずにただ黙って僕の本音を受け止めていた。

呼び寄せの魔法

「この呼び寄せの魔法を唱えると、距離や質量に比例した魔力を消費することであらゆるものを目の前に呼び出すことが出来る。しかし消費魔力が尋常ではないので読者諸君に限らず、魔法使いの皆もきっぱりと諦めるよーに」

                           カカの魔法辞典改訂版

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