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fallen  作者: 流転
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リューが失踪してから2度目の春が来ようとしていた。俺はもう少しで3回生になるというのに、リューは未だに姿を見せない。周りはそろそろ研究室や進路について悩みだしていた。かくいう俺も母親に叱咤された後、真面目に勉強に取り組み、今は周りと一緒の状況にある。将来はどうするか、なんて考えながら帰路についていた時、突然街中に女性の悲鳴が轟いた。


「キャアー!」


何が起きたか分からなかったが、悲鳴が聞こえた方から人々が逃げてくる。


「ちょっ、押すなよバカヤロー!」

「逃げろって!」


瞬時に周りが喧騒に包まれる。人々が逃げまどい視野がひらけたその先に、血を流し倒れ伏す女性と、その女性の近くで包丁を持ち佇む男がいた。


「やべーって。誰か110番しろよ!」

「これは動画のネタになるぞ!」


気付けば今まで逃げてきた人たちは包丁男からある程度距離をとって安心したのか、今度は見世物を見るような目でその包丁男と女性を見始めた。その誰もが、女性を助けるよりもこのショーの行く末に期待を膨らませているように俺には見えた。


「っ!ざっけんなゴラァ!」

「うわっ、何だよお前!」


急いで近くにいた動画をとっているやつを殴りつける。


「動画とってんじゃねぇ!まず110番しろよ!」

「は?なにこいつ糖質だろ」


男の減らず口を聞くことなく、包丁男に接近する。あの女性はまだ生きている。急いで助けないと!


「おらああああああ!」


雄たけびを上げ包丁男の注意をこちらに向ける。血で濡れた包丁がこちらに向けられるが、不思議と恐怖は感じない。この男より、今周囲でこちらを囃し立てている野次馬の方が本当に同じ人間なのだろうかという恐怖に駆られるから。


横なぎに振るわれた包丁をよけ、包丁を持つ手首を鷲掴み、そのまま包丁男を殴りつける。その反動で男は包丁を落とす。すかさず足で包丁を遠くに弾き飛ばし、女性の安全を確保する。


「もっとやれー!」

「いいぞー!」


後ろで野次馬の鳴き声がするが、もう包丁男に抵抗の意思は見られないし、これ以上殴る必要もない。包丁は遠くに弾き飛ばしたし、脅威は完全に取り払われた。この状態でさらに包丁男を殴るやつがいたら、そいつはきっと自分が正しいと信じてやまない思い込みの激しいやつか、それとも頭のねじが外れているサイコパスだろう。


ファンファン、と遠くからサイレンの音が聞こえる。ヒーローは遅れてやってくるとは言うが、助けるのが遅かったらこの女性は助からなかっただろう。周りの野次馬を一瞥する。こいつらはその自覚があるのだろうか、と。

防御の魔法

「この防御の魔法を唱えると、一時的にあらゆる攻撃を無力化できる。しかし消費魔力が尋常ではなく、ナイフやフォークを口に持っていくことさえも防いでしまう。また殺意のこもっていないモノは通してしまい不倫は防御の魔法で防ぐことは出来ないので、読者諸君はきっぱりと諦めるよーに」

                           カカの魔法辞典改訂版

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