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僕の日々は緩やかに過ぎていった。本を読んだりおじいちゃんから話を聞いて、この世界について少しづつ知識をつける。水汲みや畑仕事、料理などの家事全般はおじいちゃんがしてくれる。まだ僕は一人でお使いを任せてもらえていない。食材の買い出しはおじいちゃんが王都まで出向いているそうだ。毎日墓参りをすることも忘れない。あぁ、そうだ。最近は体から魔力を練りだすのが上手くなっている気がする。僕の体から水色の魔力が溢れるのをおじいちゃんがほめてくれる。
「いいぞ、リュー。その調子だ」
「ありがとう、おじいちゃん」
おじいちゃんの魔力の色は赤色をしており、それが情熱を感じさせる。外からはティビのやピィーの鳴き声がする。ピィーは渡り鳥で、僕がこっちの世界に来てから2年が経とうとしていたが、丁度この時期にお墓がある方角の海の向こうの帝国からやってきているそうだ。
いつもと変わらぬ日々。少しづつ成長する僕をおじいちゃんが微笑みながら見守る、そんな日々。おじいちゃんとも大分仲良くなったし、そろそろ聞きたいことを聞かないといけない。それがおじいちゃんが答え辛い質問でも。覚悟を決める。
「おじいちゃん」
「なんだい?リュー」
「おじいちゃんは僕のことを見ても驚かなかったよね?」
「・・・」
「あの時のおじいちゃんは苦しそうな顔をしてたから聞けなかったけど。今はその理由を知りたいんだ」
「・・・」
「ほら、僕とおじいちゃんも大分仲良くなったし・・・。駄目、かな?」
「・・・いいだろう、リュー。いや、私もいつかは話そうと思っていた話題なんだ。丁度いい、話をしようか」
おじいちゃんがゆっくりと口を開く。
「呼び寄せの魔法については本を読んで知っているね?」
「うん、大量の魔力を使って物だけではなく人でさえも別の場所に呼び出せるって魔法。おそらく僕が呼び出されたのはその魔法のせいだっておじいちゃんは言ってたよね」
僕がこの別の星から来たという事はおじいちゃんは分かっていたらしい。少し前に、魔法辞典を読んでいた時にこの魔法が僕がここにいることと関係があるのではないか、と思ったら、おじいちゃんは僕の疑問に工程の意を示していた。
「でも、あの魔法は必要な魔力量が質量や距離で変わって、魔力持ちの血を媒介にしないととてもじゃないが使えないって」
「実はな、リュー。別の星から人がやってきたことを見たのはリューで2人目なんだ。だからあの時は驚かなかった」
「えっ」
「そしておそらく呼び寄せの魔法を使ったのは神だ」
突拍子な発言に耳を疑う。僕で、二人目?
英雄の軌跡6
「ある日、ルークは傭兵として帝国との戦に参加することになった。帝国はラスティ王国の王都まであと一歩というところまで迫っており、今回の戦は最後の砦と言われているクラークの砦を守るためのようだ。砦の中では兵士たちが険相な面構えをしており、開戦の火蓋が切って降ろされるのを待っている。ルークも聖剣を握りしめる。怒りに身を投じれば、人を切ることに躊躇などない。戦の前に物思いにふける。冒険者登録をしたところで結局真に怖いのは魔物より人間なのだ。」
ルークの伝記




