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睡眠を邪魔するあいつ

作者: 須原綺奈子

 暇すぎて植物になりそうな生活を少しは改善してくれるもの、PS4。ただ、PS4があるからと言ってそんなにソフトを持っている訳でもなくすぐに飽きる。

 今日も小一時間ばかりで飽きたゲームを中断し、本体をスリープモードにして寝る体勢に入る。横になって少しすると電気を消した無音な暗闇の部屋の中で、「ピピピ」とPS4からうるさく音が鳴り響く。それと同時に本体に入っていたディスクがひとりでに出てきた。傍から見ると、勝手にPS4が起動しディスクを出した怪奇現象のように見えるが、原因を知っている私はPS4に劣らず部屋に舌打ちを響かせる。

 このPS4が初期型で約5年前の物ということもあり、最近不具合や誤作動が少なくない。勝手に電源が入ったり、再起動したりと中々気分屋なPS4である。

「またかよ、ええ加減にせぇよほんま」

 静かな睡眠を邪魔されイライラしながら、ディスクを入れ直し電源を落とす。スリープモードではなく電源を落としたのだから大丈夫だろう。その考えが甘かった。電源を落としたPS4は、寝ようと横になったばかりの私を再びあの音で起こしてきた。

「はー?まじでぶっ壊したろうかお前」

 機械にキレる持ち主を蔑むように、ディスクを吐き出す。あの時のPS4は絶対に「ほれw」と言いながら出してきた。許さない。電源を切ってもダメならと、今度はディスクを本体に入れ直さずケースにしまった。これで持ち主の完全勝利となる、はずだったのだがやはり起こしてきた。音だけで。ただ、私もそろそろいい歳なので無視して無理矢理寝ることにした。寝るまでに何回か音が鳴り響いたが、その頻度は次第に少なくなっていく。

 やっとの思いで昼まで寝ることは出来たが、このオンボロのせいで全く疲れが取れていない。起きた原因はもちろんあの音。PS4に殺意を覚えながら調べた結果、今回の件はディスクを入れるところにホコリが入って、それによる静電気で誤作動を起こしていたらしい。それなら掃除機で吸い取ればこいつに勝てるのではと思った私は、細い口の掃除機で本体ごと吸い取る勢いで掃除した。掃除機のコンセントを抜き勝ちを確信してコードを巻く。

「ピピピ」

「ぶち捻り踏み潰し叩き壊したろか」

 ネットに最終手段として書いてあった、電源コードを抜く選択を余儀なくされた。この方法は確実にPS4を殺すことは出来るが、負けた感が否めない。ただ今回は勝ちを譲ることにしよう。仕方なく裏のコードを抜き、小さなワンルームでの戦争は幕を閉じた。


 次勝手な行動とったらぶっ壊す。

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