14.起床
目を開けると、真っ白な天井が目に入った。僕はベッドに横になっていた。僕は体を起こして周りを見渡した。
どこなのか全く分からない。少なくとも僕の家ではない。どうしたものかと考えていると頭に違和感を感じ触ってみる。何かヘルメットのようなものを被っていた。僕はそれを取って眺めたが、それが何なのか全く分からない。ヘルメットのようなものは大きな機械に繋がっていて、それはまた隣のベッドにいる人のヘルメットに繋がっている。いったい何の装置なのだろうか。
僕がそんなことを考えながらベッドから降りると同時に、部屋のドアが開いて誰かが入ってきた。
「2人ともおはよう。いやおかえり?それより、どんな夢を見ていたんだい?」
外国人が流暢な日本語を使いながら、軽いノリで聞いてくる。それがこの部屋にはとても不釣り合いで不愉快にすら思えた。
「すいません。どんな夢だったか覚えていないです」
僕はそう言いながら、その男の横を通りすぎ部屋を出た。部屋の外には、また1人の男が気まずそうな顔をして立っていた。
「娘は夢で何か言っていたかな」
「自分で聞けばいいじゃないですか。でも、そんな顔で聞くってことは、どんなことを言われるか分かっていそうですけど」
僕はそう言い捨てて、部屋を出て、建物を出た。見覚えのない場所だった。ついさっきまで、近所の近くの公園にいた記憶があるのに、どうしてこんなところにいるのだろうか。そんなことを考えながらあてもなく歩いた。
しばらくして、僕はある忠言を思い出した。「夢に呑まれてはいけない。夢が夢であることを忘れてはいけない」誰からの忠言だったかは忘れてしまったが、なぜか強く心に残っている。なぜだ。
僕は何か重要なことを忘れてしまっている気がする。僕がどうしてこんなところにいるのか。
「あ、思い出した。僕は彼女を夢から醒まさなきゃならないんだ」
ここはまだ彼女の夢なのだろうか。いや、きっとここはまだ彼女の夢のなかだ。感覚が全く変わらない。視覚も聴覚も嗅覚も触覚も。
でもさっき、試験室から出てきた。あれは夢が彼女を夢から醒ましたいという僕の意志に影響を受けたのか。それともやっぱりあれは現実で、彼女も僕も夢から目を醒ましたのだろうか。
僕はここが現実なのか夢なのかが分からず混乱していた。
ここが現実か夢かを証明する方法はあるのか。もし試験室から出てきたのが夢から醒めるという夢だったら、ここはまだ夢だ。もし現実なら、どうやってここが夢でないと証明する。
そんな考えが僕の頭のなかをぐるぐると回る。
「そうだ。さっきの建物に戻れば…」と思うも、あてもなく歩いたせいでどうやって戻ればいいのか分からない。
時間が経つにつれて、考えるのにも歩くのにも疲れてしまった。頭痛もする。どうすれば、ここがどこなのか分かるのか。
そんな状態で出した僕の答えは死ぬということだった。
「そうだ。1回死んでしまえばここが夢か現実かが分かるじゃないか。夢ならば醒めるし、現実ならそれで終わりじゃないか」
僕は目的も忘れ、車道に見る。車は通っていない。辺りを見渡して高い建物を探す。近くに大きなマンションを見つけ、僕はそこに向かって走り出す。
マンションの最上階につき、僕は下を見る。ここからなら確実に死ねそうだ。そして僕は柵を乗り越えて飛んだ。自分がいる目的を忘れ、自分がいるということに気づかずに大きく飛んだ。
そして、真っ暗な世界で起きることのない長い眠りについた。




