その名はファイ
申し訳ございません。間違えて即投稿してしまいました。まだ途中です
「私はファイ。よろしくね」
スライムを倒し終わってからの休憩時間。見渡す限りの草原に尻をつき、湿気の多い不快な風を浴びていると、女神さまが自己紹介を始めた。
「火の女神よ」
差し出された手をおずおずと握り返し、頭を垂れる。
「俺のせいで女神様をこんな世界に……大変申し訳ございません」
「いいのよ。仕事に飽きてたところだから」
まるで女神のような――実際女神だけど――笑みを浮かべたファイ様。なんと神々しい。
「これからどうしましょうか」
俺が訊ねると、ファイ様は遠く、遠く、豆粒のように小さななにかが見える方角を指さす。
「あっちの方向に街があるわ。なかなか大きな街よ。そこで拠点を構えて、異世界を堪能しましょう」
「はあ」
なにか考えがあるのだろう。俺をここに転生させてくれようとしたのだ、きっとこの世界に詳しいのだろうと推察する。なにも知らない俺からしたら、それに従うのが至極当然といえる。
しかし。
「遠すぎませんか? 歩いて向かったら何日かかるか分かりませんよ?」
6年以上引きこもりだった俺には、スタミナなぞない。1時間も歩けないだろうことは断言できる。
そんな俺に、豊満な胸に手を置いたファイ様は得意げに笑む。
「女神様に任せない」
なんと頼もしいのだろう。思わず膝まづき、拝んでしまう。
「うむ苦しゅうない。崇める心を持つ人間は嫌いじゃないわ」
「ありがたや」
本当にファイ様には申し訳ないのだが、それでも仲間として一緒に――強引だが――来てくれたことに感謝。
「じゃあ行くわよ。ほら、手につかまって」
「あ、はい」
少し躊躇してからファイ様の手を握る。顔が熱くなるのを感じた。