表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
並行世界  作者: さと
1/4

序章 ~井戸に落ちちゃいました~

はじめまして。よろしくお願いします。

 パラレルワールド(parallel world)とは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。


「異世界(異界)」、「魔界」、「四次元世界」などとは違い、パラレルワールドは我々の宇宙と同一の次元を持つ。SFの世界でのみならず、理論物理学の世界でもその存在の可能性について語られている。


  ~出典:ウィキペディア~



 見たこと有る山並み、見覚えの有る地形が目の前に広がっている。ただ、文明の痕跡が無いだけ。いや、物事は正確に伝えよう。俺の背後には井戸がある。先ほど○子の様によじ登ってきた井戸だ。元々、この井戸は農機具や古物を突っ込んであった納屋の片隅にあったのだが、今は納屋はない。勿論母屋もない。回りを見渡しても目に入るのは人の手が入っていない大自然とと井戸だけだ。


 なぜ、こうなった?



 ◇◇◇


 俺の名前は、吉村凌。ぎり30代。両親は鬼籍入りしてるし、嫁は無し。所謂自由人。京都から出身県ではあるが、過疎の進んだ山陰にある人口3千数百人の町、町起し協力隊に登録しJターンしてきた、田舎暮しに憧れたアウトドア好きな一般人だ。


 町起し協力隊に登録後、半年ほどは現職会社員のまま、アルバイト扱いで週末週一で京都にある町のPR物産コーナーに詰め、町の諸々を役場の担当から教わり、また、現状の問題点を提議し、協力隊員としての今後の活動方針を詰めていった。登録後4ヶ月経過した時に、町の空き屋バンクに手頃な物件があり、購入。町に引越後、DIYで改装する事とし、その様子をブログにUPする事も協力隊員の業務の一貫として町駐在隊員としての本契約も結んだ。


 そして、円満退職後、4月1日に町に移住。3日ほど町の式典やら地元の企業やら挨拶回りを役場の職員に連れ回された。本日4月4日、やっとこさ本腰を入れて購入した物件の改装計画を建てるため、母屋や納屋の中を引っくり返していた。

 元の持ち主は、高齢で施設に入っており、九州に住んでいる息子夫婦はが屋敷田畑の維持を嫌って空き屋バンクに登録した物件で、価格は捨て値・家財道具農機具一式装備の現状引き渡しの条件で有ったため、生活感満載の物件だった。


 俺は母屋を一通り確認し、納屋の中を確認しようと電灯のスイッチを入れたんだ。そうしたら目に飛び込んだのがさ、径4尺位かな?井戸の井側の上で白蛇と白蛙が睨み合っている姿。白蛇だったら岩国とか観光地で見たことあるけど、白蛙?アルビノ蛙だよ?俺は即座にどこの博物館に持ち込むかまで考えたよ。丁度白蛇もとぐろを巻いて、今正に白蛙に飛びつこうとした処。バネが伸びるとこ。思わず白蛙に喰われる前に捕獲しようと手を伸ばしたんだ。井戸を跨いでね。

 結果、白蛇が食い付く前に白蛙は俺の手の中に。でもさ、運動不足が祟って、俺はバランスを崩して井戸の中に頭っから。


 落ちていく最中、手の中に包み込んだ白蛙が一声鳴いた。



 ◇◇◇


 気が付いたら白い靄の中。水に浮かんでるようにたゆたってる?


 白蛙が目の前に居る。


 宙に浮いてる割にはどっしりと脚を踏みしめて。


 うん、夢だ。寝よう。


『申す…』


 目をつぶると、渋い声だが夢だろな。頭に響く。井戸に落ちたし、病院の中かな?幻聴だとすると、麻酔を使われるほどの怪我だったんだな。麻酔も覚めかけだろうから、次に自覚するのは激痛だろうから、身体が休めるうちに休んでおかないと。


『申す…申す…』


 何時の時代や。頭の中に直接響いて来るわ。前に車にはねられた後の麻酔からの覚醒時はこんな感じは無かったが。


『申す…朝臣凌』


「夢にしても何時代や?」


『夢やあらしません。先程はほんに助かりましたわ』


 思わず目を開き、靄の中で正座する。あれ?宙に浮いてるのに、道場で正座しているかの様な姿勢を保つ。


『驚かせてすんませんな。あんさんのおかげでこっちに帰れましたわ』


「あの…蛙だよね?夢だよね?」


 目の前の白蛙、蛙姿のまま子供位のサイズになっていて、立烏帽子に束帯姿。ついでに白髭、手には笏。思わず頭を下げたくなりそうな威風を払っている。でも、蛙だよね?


『麿はこの世の神々の使い、神使の白蛙だわ。あちゃらの神使の白蛇から助けてもろうて、ほんにおおきに』


 博物館?


『動機はどうあれ、恩を受けたことには代わりおまへん。主上にあらせられても、朝臣の氏と共によきに計らえとのありがたき宣下が…心せよ』


「はひ?」


 白蛙はいつの間にか手に持っていた巻物を広げつつ俺を見る。あ、指に水掻きがあるわ。


『吉村の凌、その身を擲ち、神使を助けること、誠に天晴れ。よって、この世における再生と朝臣の氏を授く』


 白蛙は巻物を巻き取ると『ほれ』と、俺に手渡す。反射的に掴むと巻物は崩れる様に光を放ち、俺の手に染み込むように消えていった。白蛙は、その様子を確認すると、脚を崩し、いきなりだらけた態度に取って替わった。


「え~と、どういう事?」


『あんさん、麿を助ける時に井戸に落ちたのは覚えとりますか?井戸に落ちる時に頭ぶつけはって、頸がコキって曲がりましてな、そのままぽっくり逝きはったんや』


「じゃ、ここは彼の世なんですか?三途の川は見えないようだけど?」


 俺が辺りを見回す姿を眺めながら白蛙はケロケロ笑っている。いや、笑うところじゃないし。結構重大な話やし。


『あんさん、逝きはる時に神使たる麿を抱えとりましたな。よって、あちゃらの輪廻から外れて…まぁ理由はどうあれ、始末しようとしてた麿を助けて逝ってもうたから、あちゃらの御上もよう拾わんやろし、解りやすう言うとな、三千大千世界で流浪の霊になるとこやったんを、御上が憐れに想われたんかただの気紛れか、こちゃらの世に転生させえとの事で。有難いお話やで、ほんま』


 今、さらっと重大な事言ってない?ってか、解らんし。


『せやかて、あちゃらとこちゃら、同じ時の流れを保つ世としても、各々の御上の采配で流れが違いますのや。あちゃらの御上は、あんさんもよう知ってはる世の流れで積み重ね、人族至上主義の世界となっとる。こちゃらの世界はな、あちゃらの世界で言う≪ふぁんたじぃ≫な世界なんだわ』



 ◇◇◇


 その後、白蛙からこちらの世界についていろいろと説明があった。元居た世界とこちらの世界、宇宙の構成や地球自体の構成はほぼ同じ。原初の光が生れた時に別れた、並行世界だと言う。白蛙曰く、並行世界を司る神々、その中心たる主上の意向により、長い年月をかけて独自の世界観が生れた。


 こちらの世界の文明度は元の世界で言う中世。やはり人族が多数を占めているが、そこは白蛙の言う≪ふぁんたじぃ≫な世界。人の区分には、亜人・獣人・魔人も含まれていて、魔術がある世界。

 神々の力に及ばず、時空の狭間に落ちた人が隣の世界に転移する事は50年単位で侭有ること。ただ、文明・生活環境の違いから長生きは出来ていないらしい。特に、この4~500年ほど、転移の頻度が上がり、この調査の為に白蛙が元の世界に出向いた時に俺が巻き込まれた。


 神々や、神使は俺の居た世界を見るだけだと、水の中を覗くような感覚で見ることは可能。だけど、実際に見て体験するには勝てない。だから十万年前までは、神々はお互いの世界を行来しつつ、お互いの進化の様子を確認し、また、進むべき道を模索するために相談もしていたのだが、元の世界の主上が、人族至上主義を唱え始め、お互いの往来も途絶えた。

 この度も、主上より往来の申し入れを行ったが、拒否をされ、であればと白蛙が自発的に申し出るに及び、転移を行ったらしい。で、転移直後に神使の白蛇に睨まれて硬直したんだと。流石、蛇と蛙の力関係。



 ◇◇◇


『あんさん、これからこちゃらの世界に転生させるが、何か希望は有るかや?』


「初心者サービスパックでお願いします!」


『ゲームのし過ぎかラベノの読みすぎちゃいますか?』


「いや、せっかく生き返るんだったら早死にしたくないし!」


 さっき、転移者の寿命の話も出てたし。俺TUEEEしてみたいけど、死んじゃ意味ないし。せっかくだから長生きしたいし!


『あんさんの事やから、てっきり俺TUEEEEEしたい言いはるか思いましたわ。麿の顔見て博物館!って思念が飛び出る様なお人やし』


 そう言ってケロケロと笑う白蛙。普通に笑われた。やっぱ、神様の御使いだから懐が深いのかな?でも、だらけきって腕枕で話をしてるんだが、この白蛙。


『まぁ、逝った事をぐずぐず言わはるよりええですな。では、あんさんの思ってはる物と同じかどうかは解らへんですが、あちゃらの世界で言うとこの≪初心者フルパック≫って感じどすかな』


 初心者フルパック?課金パック並かな?うん、理解が現実に追い付いてないのは理解した!


『追々、使い方は解る思いますわ』


 俺と白蛙を包み込む靄が濃くなっていく。


『ステータスと思えば自分の事が良く解るよって』


 身体が重力を感じ出す。


『あんさんの身体は、こちゃらの世界に適合するようにしてますわ』


 俺を中心に靄が渦を巻き出す。


『朝臣凌、苦も楽も人生楽しみなされや』


 俺は身体を引き伸ばされるように足元から渦に吸い込まれる。


『『そなたに幸あらんこと』』


 幾人もの声が響き、俺は意識を手離した。

拙い作品ですが、頑張ってみます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ