プロローグ
ガァシャアァァァァーーーーン!!!
うっ、痛てぇ...
ヤバ、体が動かねぇ。
「おい君! 大丈夫かぁ!? すぐに救急車呼ぶからな!!!」
「...うっ、...」
大丈夫な訳がない。
俺は今、交通事故に遭った。
が、正直助からないと思っている。
「...くそ、意識が...」
ああ、意識が薄れていく。
そして、意識がなくなった。
高野 将也 高校2年の生涯 これにて終了。
「......うっ、痛ってぇぇ...」
んっ!? 意識が...ある...
手が動く
足も動く
バアッ────
俺は咄嗟に起き上がり、周りを見渡した。
見渡す限り、何もない大地。
ここがどこか分からない。でも、ここは俺が元いた場所ではない。
っと、ここでとある仮説が思い浮かぶ。
「...まさか、ここは異世界?」
「って事は、俺は転移した?」
「って事は、俺って今最強?」
やべぇやべぇやべぇ、なんかオラ、ワクワクしてきたぞ!
俺は妄想を思い浮かべる。
魔術師になって、冒険して、ハーレムになって、あんなことやこんなことして...
うわー、ちょっと、俺死んで良かったぁ!
次々と妄想が思い浮かぶ中、突然、天から声がした。
「やあ!ワシは神だ。
1つ言っておく。お主はたった今死んだ」
ですよね!ですよねぇ!
それで冒険するんですよねぇ!
「本来、ワシはお主を天国に送るつもりだった。しかし、生憎今は天国で色々と面倒なことが起きててのう、ちょっと入れれんのじゃ。」
だから冒険しろと!いいねぇ!俺運良いわぁ!
「しかしお主はまだ若い。
だから、前世で楽しめなかった分、ここで街を開発をして、好きなように暮らすがよい」
ん?今予想外なワードが出て参りましたよ。
街を開発? 冒険じゃないのか?
「あの、街を開発って何ですか?」
俺の質問に神は答える。
「言葉通りの意味じゃ。お主はこれからこのゲームの世界で、好きなように街を開発するのじゃ。
都会にするのか、田舎にするのか、はたまたごちゃ混ぜにするのか、お主の好きなようにするがよい」
どうやら、ここは異世界ではなく、ゲームの世界。
一応、死後の世界と繋がってはいるみたいだが。
「えっ、じゃあさ、なんか魔術師とかになって、冒険して、魔物をいっぱい倒して、ハーレムになって...というのは...」
「ん?この世界は街を開発するための世界じゃ。
冒険なんかせんと、楽園を作る方が楽しいに決まっとる!」
ええっ、そんなぁ!
まあ、でも街の開発か...ちょっと楽しそうだな!
よっしゃ!俺の手でメガロポリスを作り出してやる!
「では、ワシは忙しいのでそろそろ行くわ。お主、片手でグーからパーに開く動作をしてみよ」
ん?こうか?
ヴヴン────
「うお!なんだこれ?」
「メニューじゃ。それを使って開発を進めるのじゃ。分からんことはヘルプでこのゲームの管理人に聞くと良いぞ!」
「管理人?管理人なんているんですか?」
「ああ!」
「それはなぜ?」
「おっと、もう行かねば、すまんのう。また会おう!」
そう言って神は消えた。
「とりあえず管理人を呼ぼう。えっとヘルプは...」
ポチ──
「どうも、管理人です。」
また天から声がした。
「あのー、俺、神様から街を作れって言われてるんですけどー、具体的にどうすればいいですかー」
「その事は神より伺っております。それではルール説明と参りましょう。
まず目的は、ご存じ開発です。
それに当たって、いくつか注意点がございます。
1つは、開発は遊びではなく経営です」
「経営?」
「はい、これからあなたには3000億円の資金が調達されます。」
さっ、3000おくぅ~!?
なんだよそんな額。俺が生きていたら、生涯収入の何倍あるんだ!?
ああ、笑いがとまんねぇ。
管理人は俺の顔を伺いつつ、話を進める。
「これは開発の基盤となる資金です。何事をするにもこの資金が必要となります。
但し!これにも1つ注意点が...」
「ごくり」
「もし、赤字経営が続き、資金が底を着いた場合、
速攻で地獄送りになります」
ぬわぁぁぁ~!地獄!
破産した次は地獄!それは辛い!
でもな、俺、経営のこととか全然分からないし、たぶん聞いたところでちんぷんかんぷんだよな。
ということで、質問してみる。
「俺経営の事全然分かんないっす」
「そこはメニューから通知を経てお教えしましょう。
また、この世界の経営制度は、基本日本と似ていますが、独自の制度も導入しているのでご了承下さい」
つまり、何かあると、その都度教えてくれるらしい。
それはありがたい。
管理人はさらに話を進める。
「あともう1つ、開発をする上で資金と同じくらい大切なものがございます。」
「ごくり」
「それは、資材です」
「資材ですか」
「はい、資材は木材等をいくつか使用して作られます。
勿論、資金は必要です。
そして、資材は、全ての建築物の建設に必要となります」
つまり、開発は資材と資金を使って行われると。
そんでもって、どちらか片方でも不足すれば何も出来ないということだろう。
「今のところはそんなもんですかね。
とりあえず、まずあなたの生活を整えなさい。
話はそれからです。」
と、ここで1つ疑問を持つ。
「俺って、いつまでここにいるんですか?」
管理人は答える。
「資金が底をつかなければ好きなだけ。あなたはこの世界の住民であり、創設者です。
この世界において、あなたは歳をとりません。」
「あっ、だから俺の体、成長しているのか。」
そう、俺は今20代頃の体つきをしている。
恐らく、歳をとらないから、必要な分だけ歳をとったのだ。
すると次の瞬間、管理人が驚くべき事を口にする。
「そして、もし、貴方が資金を30兆円にまで増やしたとき、元の世界に帰る権利を差し上げましょう。」
おお!それは凄い!まあ、帰るかどうかは分かんないけど。
それ以前に30兆円まで資金を増やせるとは思えないけど。
「それでは、私から伝えることは以上です。」
管理人の声も途絶えた。
うん、いい。よっしゃ!俺はここで理想の楽園都市を作ってやる!