精霊トール
4か月の修業期間を得ました。
アカネと出会ってから4か月がたち、俺は魔術師としてのレベル上げに日々勤しんだ。
そして先日、やっとロキに次ぐ第二の精霊を呼び出すことができるようになったのである。
ユーナ先生を呼び、いつもと同じユーナ庵の中庭で召喚を実行する。
「今度はどんな魔人さんが出るのかな?」
「ユーナ、ロキは見た目邪悪だけど精霊だからねー。」
ロキというのは召喚士になって初めて召還した俺の精霊なのだが、見た目太目のおっさんで、酒好き、女好き、言葉遣いが汚い。
2体目の精霊はまともな人格者が現れてくれることを願う。
願わくば、木こりの斧のお話に出てくる女神さまのような精霊が出てきてくれるといいのだが…。
「ジョーお兄ちゃん、鼻の下が伸びてるよ。」
「ばかっ、声が大きい。」
中庭にはほかの冒険者もいて、顔見知りも当然いるが、ユーナちゃんはそんな事お構いなしに聞かれたくないことを大声で話す。
「魔法陣錬成、召喚!」
ロキとは違う魔力が魔法陣を伝って俺の中に流れ込み、糸がつながったみたいになる。
ユーナ先生によると、この糸が精霊と俺を連結させる「精霊回路」というらしい。
錬成陣から現れたのは、
ロキと同じ背格好の、違う顔のおっさんだった。
「お主がわしを呼んだ理由はだいたいわかる。わしの力を与えてほしいんじゃろ?
よいよい。力を授けよう。
わしの名はトールじゃ。」
「ジョーです。おちかづきのしるしにベリンの実をどうぞ。」
「おお。ロキが話していたのはお前じゃったか。ありがたく頂こう。
わしはホップの実が好きなんじゃが、もし人間界で見かけたらとっておいてくれんかの。」
この精霊は前のと違って礼儀をわきまえているようだ。
ホップの実、たしか町の西に採取ポイントがあったな。
この4か月で、なんとおれは町付近のエリア地図を作成していた!基本的に採取の依頼しか受けないため、稼ぎと効率追求のために趣味である地図作りをいかしてみた。
「ホップの実ですね、今度呼ぶときにお渡しします。
ところで、力を授けるってどういう意味ですか?」
「そのままの意味じゃよ。わしの岩をも砕くトールハンマーの粉砕の力をお主に授けた。
試しに何か硬いものを、拳で思いっきり殴ってみるといい。」
近くに手ごろな硬いものがなかったので、しばらく探していると、ユーナが厨房からカボチをとってきた。
「おかーさんには内緒ね。」
普通に殴っても、カボチという野菜は固くて手を痛めてしまう。
精霊トールから得た新しい力を試すにはちょうどいい相手だ。
「よーし、いくぞー」
「お兄ちゃん、がんばって!」
俺は腰を落として拳を振りかぶり、カボチに向かって、思い切り振り下ろした。




