第一章1 自己紹介
俺、新天地へ。
なんか、しょうもない理由で、来てしまった工業高校。正直、楽しみとかそういった喜びの感情はなく、かといって、悲しいわけでもなく、なんともいない感触だった。
入学式を終え、教室に行ってみると、ほかの生徒たちはそれぞれ同じ中学の人と話していた。当然、友達なんていない俺は、その輪の中にはいなかった。仕方なく、ラノベでも読むかとカバンをごそごそと漁っていると、
「か、和見君」
家族以外から名前を呼ばれるのが久しぶりすぎて
「ふぇえ」と甲高い情けない声が出てしまった。
話しかけてきたのは、唯言葉だった。この生徒は、同じ中学の女子生徒だった。
何故?どうして顔知ってる奴がいるんだ?てか、なんで話しかけてきたんだ?
いろんな疑問が沸いたが、相手の出方を待ってみた。
「あのね、」
言葉がそういった瞬間
「席つけー」
担任が登場した。
その言葉に彼女はそそくさと席に戻った。
担任から、軽い自己紹介とか連絡とかが始まった。どうやら、工業高校はレポート命らしい。一枚でも未提出があったら進級できなくなかもしれない。そう伝えられたが全然頭に入ってこなかった。言葉のことで頭がいっぱいになっていたが、それに加え予想もしてなかった生徒の自己紹介が始まった。
「えー。青木大輔でーす。アニメとか好きでよくインターネットラジオとか聞いてまーす。アニメに影響されて、ここ来ました。よろしくお願いしまーす。」
「はっ?」
と思わず口に出そうだった。
今までアニメ好きの人なんて自分以外見たことなかった和見にとって衝撃だった。
その後よくよく聞いていると、どうやら他の奴らもアニメ好きがいるらしい。もちろん、普通にスマホやパソコンに興味があるという人もいるが、とにかく衝撃だった。
普通な自己紹介を考えてた俺は、軽くパニックになった。自分も、アニメ好きでアニメ仲間で語りたい。その想いはあった。でも、またいじめられるのではないかとも思った。
悩んでいるうちに、自分の番がやってきた。
「えっと、宮本和見です。まあ、少しならアニメも見たりします。えっと、良かったら話しかけてください。よろしくお願いします。」
控えめに。でも、好きなことは隠したくない。そんな想いがこもった自己紹介だった。
たった少しの自己紹介だったが、緊張した。恐ろしく緊張した。
ああ、やってしまった。なんて思っていると、自己紹介も残り一人となった。
「えっと、唯言葉です。アニメ大好きです。男女とかオタクとか関係なくはなせたらなあ・・とか思ってます。よ、よろしくです。」
俺は、何がなんだか分からなくなった。
あれ、あいつ同じ中学だよな。中学でアニメ好きなんていなかったような。ん?でもアニメ好きって言ってたし、は?どうなってんの?
そんなことを考えているうちに、一番始めのホームルームが終わった。
第1章2辺りから、文字数を増やしていく予定です