プロローグ
中高校生になり、深夜アニメにドはまりした人たちの一部、いやほとんどは声優さんが大好きだ。特に最近の声優さんは、かわいいし面白い。アニメだけでなく、人気ゴールデン番組のナレーションをしたり、インターネットラジオをしたり、歌を歌ったりと幅広い。当然俺、宮本和見も声優さんの大ファンだ。
そんなアイドルみたいな声優さんの中で、群を抜いて大好きなのは、「工業したい!」とゆうアニメで、主人公の声を務めている大倉綾花さんだ。「なんだ、この売れなさそうなタイトルは」と思っていたアニメだったが、俺はこの人をインターネットラジオで知り、一目惚れした。いや、まあ、声で好きになったから一目惚れとゆう表現はどうかと思うけど、とにかく好きだ。もう、結婚しちゃいたい。まあ、無理ってことは分かっていたんだけどね。
でも、だからといって・・・
中学生だった時、大倉綾花が俺の生きがいになった。いてもたってもいられず、クラスでその話ばかりをしていた。そしたら、クラスのみんなが俺を敬遠し始めた。当然だ。バリバリ進学校で、深夜アニメの声優さんと結婚したいとすごい勢いで迫ってきたら、みんなひく。でも、当時の俺は感情を抑えられなかった。そして、次第に誰も俺に近寄らなくなり、一部の奴らに軽いイジメを受けた。典型的なイジメだった。上履きを隠されたり、机に「大倉綾花」とかかれたり、してもいないカンニングを密告され、先生からも問題児扱いにされた。
もうこんな奴らと一緒にいたくない。
それからというもの、俺は友達と話していない。
友達といえる人なんていないけど。
外出は、たまに、アニメや声優さんのイベントに出かけたり、アニメショップに行くことがあった。親に行先を訪ねられることがよくあったが、「友達の家行ってた」とごまかしていた。親も、あまりアニメは好きでないらしい。前に大倉さんのことを話したら、ものすごく微妙な反応で、こっちの心が痛んだ。だから、それ以来アニメについての話は避けている。
こうやって、俺の中学生活が終わった。
誰にもアニメのことを話せず、共感してくれる人も見つからずに、終わった。
とにかく、中学のやつらと同じ高校に行きたくない。そんな単純な理由で、俺はちょっと離れた工業高校に進学した。親にも、どうしても学びたいことがあると理由を作って、進学した。とにかく、息苦しかった。