表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/22

提案

 核攻撃とともにアリスは皆を強制転移させた。


「いやぁぁぁぁ!!アリスぅ!!」


 ミュラの絶叫が、崩壊する箱庭中に響く。

ミュラは転移術のせいで透けている腕をアリスに伸ばしたが、届かず。

 アリスはいい笑顔のまま口を動かした。


「ア」「リ」「ガ」「ト」「ウ」


「サ」「ヨ」「ナ」「ラ」



 アリサが全て話し終えると部屋はシンと静まった。

あまりに壮絶な前世に皆、特に日本側は唖然としていた。


「…………イナバ、私ね」


 沈黙を破ったのはアリサ。俯いて言葉を発する。


「私……怖い」


「怖い?」


「だって、ミュラやロストは絶対私をアリスって扱うでしょう?…私はアリスじゃないのに!確かに私の前世はアリスかもしれない。けどッ!!」


 嗚咽が混ざる。


「私は……アリサ・フォン・キャンベラーよ!!堅苦しい家が嫌になって方舟に移住したキャンベラー家の次女、アリサよ!アリスじゃないの!いつか皆が私を私と見てくれなくなりそうで怖い……!!」


「アリサ……」


 イナバたちは何と声をかけていいか分からず、ただただ彼女を見やることしかできない。


 その時。


 勢いよく扉が開かれた。


 入口には老爺と、黒い戦闘服の男たちがいる。


「「デウゴス!!!?」」


 とっさに戸村は9mm拳銃を構え、天皇陛下をかばうように前に出る。拳銃は国連日本海軍で将校に支給されるものだ。


「まあそんな刺々するな。アリサに提案があって来たのだ」


「提案……?」


 おうむ返しにアリサが眉をひそめて言うとデウゴスは

「ああ」

と頷いた。


「貴様、今はアリサだが、昔はアリスだったな?」


「だったら何よ」


「それを踏まえてだ、……貴様、私に協力しないか?」


「「「はあッ!!?」」」


 敵、しかも前世アリスを殺した張本人に協力を持ちかけられれば、誰だって困惑するだろう。 


「ばっかじゃないの!?第一私にメリットは無いわ!」


「……では、私の協力に応じて私の目的を達した暁には、時間を巻き戻してやってもいいぞ。巻き戻すとしたら1000年前、貴様がアリスだった頃」


 デウゴスにそう言われて、アリサは呼吸することさえ忘れていた。

アリサが必要ない今、アリスになってもいいのではないか。


「「アリサ!!!!」」


「アリサは先王陛下じゃない!!」


 イナバはデウゴスに叫ぶ。


「確かに魂は陛下と同じかもしれないけど、今はアリサで他の誰でもないよ!」


「あらイナバ良いこと言うじゃない」


 それはミュラの声だった。

ロストも「ええ」と賛同する。


「私は今を生きるわ」


ミュラは顔を少し俯かせたが、やがて顔を上げてアリサと目を合わせて言う。


「どういうこと?」


 アリサはミュラの言ったことの意味が分からず、少し呆然としたように言うと「言葉通りよ」とミュラは笑った。


「私方舟に来てから、何度も何度もアリスが来て欲しいと思ったわ。でも最近になってようやく気付いたの。私は過去にとらわれたままだったってね。だからもう過去なんてどうでもいい。アリスと会えないのは、まあ寂しいけど……



……私は今を生きたいから!!!



……だからアリサ、アリスになりたいなんてそんな悲しいこと言わないでよ」


「ミュラ…!!」


 アリサたちはデウゴスに対峙する。


「「デウゴス!!私たちはあなたに協力なんてしない!方舟を崩壊させたりなんかしない!!!」」


「何故、こうも思い通りにならぬ……!!」


 デウゴスは怒りに震えながら呟き、そして消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ