エピローグその1
気が向いたらここに更新していきます。
10年後。
あいつがすべてを終わらせた世界は、あんなことが起こる前であろう喧噪の日々を取り戻した。
とはいってもクズみたいに利権争いや領土争いをしてるばかりなわけなのだけれど。
こんなことになるならあいつもきっと命を賭けてこの世界を守ろうとしなかったのだろう。浅ましい現場を見てきた私は不意にそう思う。
仲間はみんなそれぞれの道を歩み、私は警官として世界各国を飛び回っている。
結局あいつのおんぶに抱っこだったなと自傷気味に笑いながら逃げる犯人を追いかける。
十年という月日は我ら人類には忘れ去ることができる時間なのだろう。そんなことを考えながらドロップキックで犯人をゴミ箱に入れて近づく。
ひょっとすると私達は間違っていたのだろうかと思ってしまう。こんな人類なら滅んでよかったのかと考えてしまう。
その度にあいつのあの言葉を思い出す。
俺が守りたいのはそんな奴らのための地球じゃない。笑顔を浮かべる子供たちのための地球を守りたいんだ。
氷山の一角をこのまま消し去ってもらえればよかったのにと思うのは甘えだろうかと頭からゴミ箱に突っ込んだ犯人の腕をつかんで手錠をかける。
そのままひっ立たせて連行する。
嘘と偽りで塗り固められた世界に戻ってしまったのは人の業なのだろうかと考えながら歩いていると、先に歩かせていた犯人が何者かに撃たれた。
スローモーションで見える倒れる姿。即死だと分かっていながらその体を抱きかかえた私は反射的に撃ったと思われる方向を見たところ、そこには誰も見えなかった。
「……口封じ」
すぐさま思い当る節を口にする。頭を撃たれた犯人の体温は冷たくなっていく。
私は博愛主義者ではないけれど、こうして目の前で人が死ぬというのは悲しくなる。
あいつが、そうだったように。
犯人が死亡したことを連絡してからその遺体を運ぼうと抱えたところ、目の前に人がいた。
「…………」
そいつは古ぼけたローブを身にまとってそのシルエットを隠して立ったまま。
私が警戒していると、不意にわたしが抱えていた死体が浮かび上がりその人の前に漂う。
この現象に嫌というほど心当たりのある私は反射的にホルスターからマグナムを引き抜いたところ、その死体が砂となった。
「!!」
「あいつはまだいないのか……そっちの方が都合良いがな」
聞き覚えのある声。いや、絶対に聞こえてはいけない声。
それは私を見つめてから両手を上げてこういった。
「まぁまだ準備期間なんでね。しばらくは束の間の平穏を楽しめよ。また会う日まで」
反射的に引き金を引く。しかし放った弾はそれに当たることはなかった。
『終わる世界を見せてやるよ。お前らが生きている間にな』
笑い声と共に響くその声に危機感を感じながら、私はいつものように歩き出した。
完




