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シャボン玉の気持ち

作者:
掲載日:2015/01/03







「ねぇねぇ、これ買わない?」

「シャボン玉? わぁ、小学生以来かも」





友達以上、恋人未満。 そんな関係の僕ら。




友人の家で鍋パーティー、買い出し係に君と二人でお買い物。 あれやこれやと買い物カゴに物を入れる君、それを僕は冗談混じりで返却する。 手間のかかる子供みたい、楽しそうにウキウキしてる。 そんな君がたまらなく可愛いなんて、口が裂けても言えないし。 口元が緩むのも必死に止めてるんだ。


周りからは、やんちゃな妹としっかり者の兄、みたいに見えたりするのかな? まぁこの関係でも十分楽しいんだけど。 ……恋人同士とかに、見えたりするのかな? まぁ見えたとしても、実際そうではないのだけれど。








「へへぇ、さっそく開封!」



袋を僕に持たせて、君はシャボン玉を取り出した。 本当に子供みたい、でもその嬉しそうな横顔は女の子だからさ。 すっごい、ドキドキしてしまいます、ごめんなさい。


「いくよ? すぅ……」


歩きながら、君はシャボン玉を作り出す。 連なって出てくる透明なシャボン玉は、見ていて嫌じゃない。 嬉しそうにはしゃぐ君がいるのだから、なおさら嫌じゃない。 綺麗だね……





「やる?」



君はそう言って、僕にそれを手渡してきた。両手が塞がってる、そう言えば代わりに持ってくれる。 何気ない優しさなのか、それとも当たり前の行動なのか。 どちらにしろ、これは…… 自分の唇を軽く触った。



そういうの気にしないのかな? 異性なんですけれど、いいんでしょうか? 僕だから、なのかな。 そうだとしたら、果たして喜ぶべきなのか落ち込むべきか悩むところですね。



「やんないの?」

「いや…… じゃあ、ちょっとだけ」


不思議そうな顔してる。 これは多分、気にしてないんだね。 ははっ、少しショックです。 僕はドキドキしてるというのに。 ……じゃあ、失礼します! 僕は心の中で謝って、ゆっくりと息を吐いた。






小さなシャボン玉が、空へと登っていく。



「わぁ、すごいすごい!」

「……次、もっとすごいことしてあげるよ」



君の喜ぶ顔が嬉しかった。すごいって、僕に言ってるのかシャボン玉に言ってるのか分からないけど、嬉しかった。



「すぅ……」




大きく息を吸って。 心の中で、あることを願う。 君に言いたい、一言を唱えた。






好きだ!










「…はぁ、はぁ、はぁ」

「うわぁ! でっかいシャボン玉! すごいねぇ!」



空へと登る、大きなシャボン玉。 君は上を見上げて、笑っている。 僕の気持ちを込めたシャボン玉。 喜んでくれて、何よりです。 そのシャボン玉に、勝手なんですが君への気持ちを込めました。





あのシャボン玉が、空高くまで行ったら告白しよう。 ……なんて、無謀なことは言いません。 シャボン玉はいつか必ず弾けてしまいますから。それにそんな勇気も標準装備されてない草食系男子ですから。だから、小さなお願いだけしてみた。












あのシャボン玉は、僕の中で膨らんだ、彼女への気持ちです。 だから、あれが弾けたら…… ほんのちょっとでいいので。 弾けて散らばった僕の気持ちが、少しでも彼女に伝わりますように。










そんなこと思いながら。 空に昇って行く透明な気持ちを、君の隣で眺めてた。








ありがとうございました

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