カスハラ
掲載日:2026/10/13
十年ぶりに東京に帰ってきた男は、帝都銀行の自動ドアをくぐった。来月の欧州出張に備えて、ユーロを買っておきたかった。
男は、帝都銀行ではもう七年前から外国為替を取り扱っていないことを知らなかった。
番号を呼ばれて窓口に行くと、若い女性の行員が、能面のような笑顔で迎えた。
「いらっしゃいませ」
「ユーロください」
「え?」
「外貨を買いたいんです」
「え?」
「外為は、やってますか」
「え?」
「ですからぁ……」
「ちょっと! 声を荒げないでください!」
能面が般若になった。
気づくと、左右には警備員が立っていた。
能面が、ニヤッと笑った。
「ガイタメってなんだろう……あとでこっそりAIに聞こうっと!」
男は連行された。




