三号館。 金糸雀。 作者: caem 掲載日:2026/02/26 見たことはなかった 鳴き声さえ 聞いたこともなかった この季節といえば 鳩やメジロや鶯だろうに たった一羽の金糸雀(カナリア)を見掛けた じつに可愛くて いったい どこから逃げたのだろうかと 心配していた その金糸雀(カナリア)は 人差し指から逃げ出さなかった つんつん つんつん くちばしを突っついていた やがて わたしの掌に包まれていた 柔らかくて温かい たぶん 誰かに買われていたのだろうか やがて 冷たくなる それだけは 避けたかった ひとまず 鳥籠に閉じ込めていた