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P.S.レンズ越しの後悔  作者: 文字打文
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プロローグ

 人生とはある日、唐突に大事が起こるものだ。

 校庭に犬が来てクラス中が騒ぎになったり、

 あるアイドルに熱愛報道が出たり、

 そうゆうことはたくさんあるのだ。


 だから急に殺されそうになることだってあるのだ。



---



 高校二年の夏、俺は時計が欲しいが為に、アルバイトを探していた。

 時計ってのはその人の品位を表すと考えてる。

 実際、格式の高い人達はそれなりに良い時計を持っているし、それがあるだけでオーラがまるで違う。

 つまり何が言いたいのかというと、

 男の子だからロマンのある物が欲しい、

 というわけだ。


 それにしても夏はとにかく暑いな。

 照りつける日差しは肌を焼くので、あまり外には出たくない。

 やっぱり休日というのは、家で寝転んでアイスを食べるべきなんだ。

 ゴロゴロして、スマホいじって、寝る。

 考えただけで最高じゃないか。

 だが希望のバイトを探すには自分の脚を使うべきだ。

 その方がぴったりなとこに出会えそうだしな。



---



 気づくと時刻は17時を指していた。


 数時間探したが、良さげなアルバイトは見つけることができなかった。

 もう少し条件を下げた方が良いのだろうか。

 俺の求める条件は時給2500円以上、土日祝休みありで、かつ綺麗な女先輩が職場にいることだ。

 いや、自分でもわかっている、

 これは無茶苦茶な条件だ。でも外せない条件でもある。

 バカと言ってくる奴がいるなら出てこい、回し蹴りをかましてやるぜ。


 だがまあそろそろ帰るとするか、足も痛くなってきたしな。

 

 今日は何も得れなかった。

 時間を無駄にしたような気がする。

 やっぱり時計は諦めるか。



 やっと家についた。

 我が家というものはやっぱり安心する、

 玄関前にいるだけなのに心が安らいでくる。


「お?なんだこれ」


 ポストを見ると黒い手紙が入っていた。

 なんの柄もない真っ黒な手紙、

 だがまるでどす黒い••••人の悲しさの権化みたいだ。

 なぜそう思ったのかはわからない、でもそう見えたのだ。


 そんなわけないと思いつつも期待してしまう。

 それは、もしかしてLove letterなのだろうかという考えが俺の頭の中にあるからだ。

 それなら心が踊る。

 この17年間、俺の聖なる棒は手入れだけがしっかりとされている封印されし棒と化していた。

 剥いてないわけではないぞ。しっかりとカメアタマさんはこんにちはしていますとも。


 Love letterなら断るという選択肢はない。

 楽しさに胸を詰まらせながら手紙を開けてみる。


「箱の中身はなんじゃろほいってうわっ!」


 手紙を開けた瞬間、筋肉が急に痙攣し始めた。

 痙攣は激しい物だったので、少し驚いてしまった。

 しかし、こんなときに痙攣しないで欲しいものだ。

 聖壇が待っているというのに••••。


 気を取りなおして、なんじゃろほい。


「....は?」


 思わず声が出てしまった。

 Love letterではなかったのだ。

 いや、そんなことに驚いたのではない。

 手紙の内容が意味不明だったからだ。


『今日の夜、お前は男に襲われる。

 だがその時、目の前には助けてくれる人が絶対に現れるだろう。

 頼れ、その人の組織でアルバイトをしろ。』


 いやいやいやいや、俺が人を手にかける?んなばかな。

 確かに回し蹴りが得意だが、そんなのを人に向けたからって死なせる程までの威力はない。

 当たりどころが悪かったらちょっと痣ができるかできないかぐらいだろう。

 なんて悪趣味なイタズラなんだ。


 こんなもの••••。

 

 破り捨ててやろうと思ったが、なぜかそうする事ができなかった。

 今日はなんか変だ。

 手紙が変に思えたり、破り捨てることもできないなんて。


 まあ、そんなこともあるだろう。

 人生は切り替えが大切だ、前を向きましょう、前を。

 俺は玄関を開け、服を崩し、

 さっさとベッドに入った。

 父さんと母さんは結婚記念日旅行で妹は彼氏の家にお泊まりだそうなので、

 注意は誰にもされなかった。

 

 今日は疲れた、このまま眠りにつこう。



---



 目が覚め、窓を見ると外は真っ暗だった。

 今何時なのだろうか。

 時計の2つの針は12のところで止まっていた。

 

「やべ、寝過ぎたか」


 夕御飯もまだ食べちゃいない。

 さすがにお腹が空いてきた、カップ麺あっただろうか。

 

 ピンポーンとチャイムの音が聞こえた。

 こんな時間に誰だろうか、もし宗教やテレビの集金だったら追い払ってやる。


「はいはーい」


 玄関を開けると、出てきたのは黒いフードを被った男だった。

 見た目は30代ぐらいで人生苦労してそうな顔をしている。


「随分みすぼらしい見た目だな、本当にこいつは対象なのか?」

「はい?」


 初対面でみすぼらしいとは何事だ。

 たしかに俺は髪も染めていなければピアスも開けていないフツメン童貞だが、

 こんな奴にみすぼらしいと言われる覚えはないぞ。


「名前はなんだ」

駿河波一(するがはいち)ですけど、あなたは誰なんですかね?」

「名前は....合っているな、なら死ね」

「え?」


 男の手をよく見るとナイフ持っていた。

 どうゆうことだ?

 俺は何を言われた?

 死ねと言われたよな。

 怖い、とにかく怖い。

 がくがくと足が震えていて、家の中に逃げようとしても動けない。

 アニメや漫画等でこうゆう時さっさと逃げろよと思っていたが、

 実際その場に立ってみると恐怖で足が言うことを聞かない。


 男は無言で俺の腹めがけてナイフを刺そうとしてきた。


 動け。俺の足、動いてくれ。  


「死ねぇ!」


 男はナイフを突き刺そうとしてきたが、俺はなんとか横に避けてかわした。

 だが無理に避けてしまったからか倒れてしまった。


「くっそ、めんどくせえ」

「なんなんですか、あなたは!」

「あ?それは言えねーよ。てか次は逃げんなよ、失敗したくねーんだ」


 どうしよう、このままじゃ本当に死んでしまう。

 俺は、死ぬのか。

 まだ童貞も卒業していないのに、せめて死ぬなら.....。


 いや違う、俺は絶対生きるんだ!


 なぜそう思ったのか、たぶん本能が生にしがみつこうとしたのだろう。

 俺の手は男の腕を掴んでいた。


「うぉっ、離しやがれ!」

 

 男は酷く動揺している。まるで打ち上げられたマグロのようだ。


「ふざけんな、なんなんだよ。

 なんで俺を殺そうとするんだよ!」


 掴んだは良いものの相手の力が強くて振り払うことができない。

 とにかくこのナイフをどかさなくちゃ、

 俺の命が危ない。


「君!これを使え!」


 男の後ろから声が聞こえた。

 女の人の声だ。

 それと同時に、俺の右手に何か投げられた。

 鍵だ。銀色で、持ち手の真ん中には赤い宝石のような物が埋め込まれている。

 まるで宝箱の鍵みたいだ。


「それを体にさし込め!」

「え、え!?」

「良いから!」


 俺は女の人の圧に気圧され、体にさしてしまった。

 俺の大事な太ももが....。


「ってうわ!」


 なんだこれ。

 脚を見ると銀色のメカメカしい何かで覆われ始めた。

 それに力が湧いてくる。

 

「う、うお!」


 男は驚いたような顔をしている。

 それは俺が男の腕を軽々とどかしたからだ。

 さっきまで抑えるのが精一杯だったのに....。


「君、その状態なら逃げれるだろう。こっちへ着いてこい!」


 家の門には長い黒髪で水色の目をした女の子が立っていた。

 その姿はキリッとしていて、

 学校にいたら絶対に生徒会長をやっていそうな見た目だ。

 そこで俺はふと、手紙の内容を思い出した。


『今日の夜、お前は男に襲われる。だがお前の目の前には絶対に助けてくれる人が現れるだろう。頼れ、そしてその人の組織でアルバイトをしろ』


 合っているのだ。

 人を手にかけ、助けてくれそうな人が現れた。

 俺は何がなんだかわからず、その人の後に着いていく。


「あの、すいません、

 今からどこに行くんですか?

 それに、何をしに行くんですか?」

「行く場所は私の職場だ、君に事情聴取する」

「え、ちょっと怖いこととかは嫌なんですけど」


 何だよ事情聴取って。

 手紙には頼れと書いてあったけど、変なことには巻き込まれたくはない。


「怖いことなんかじゃない、とにかくついてきてくれ。

 君は今、危ない状況なんだ」


 危ない....か。

 俺はいつのまにか追われる身になっているようだ。

 これからどうしよう。

 不安になって後ろを見たが、どうやら男は撒けたようだ。


「着いたぞ、ここだ」


 おー、これが職場か。まるで事務所みたいだ。

 白で覆われた四角い建物に、

 でかでかとした窓、

 それに外付けの階段が備えてある。

 あんまり大きくはないな。

 

「君なにか、失礼な事を考えてないか?」

「いえ、なにもありませんよ」


 笑って誤魔化したが、バレていないことを願う。


「紹介しよう、ここが私の職場の

 異変対策活動本部、通称ACAの日本隊第二支部だ」


 長いな、何言ってるのか全然わからん。

 けど異変がどうとかって、このメカメカしいロボットみたいな脚も関係しているのだろうか。

 それに日本とも聞こえたな、世界中にこんなものがあるのか?

 

「いや、そんなことはどうだっていいんだ。

 今は君に色々聴かなければならないんだ。

 ほら、二階へ上がれ」


 俺はそれに弱々しく返事をする。

 なんかこの人、圧があって怖いな。

 階段は随分長い間使われているせいなのか、ギシギシと今にも壊れそうな金属音をたてていた。

 落ちないか不安なのだが。


「よし、ここだ。入れ」


 なんかこう、言いなりになっている気分だ。

 これが犬の気分か、わんわんお。

 中は意外にも綺麗だった。

 ソファに囲まれた机、事務用のデスク、フロアライト、

 そのどれもが豪華ではないにしろ、美しく見える。

 しっかり手入れがされているんだろうな。

 

 だが一番、目についたのはそのソファに三人の人が座っていることだった。

 一人はジト目な女の子。緑色の髪をしていてピンをつけている。

 なんか明後日の方向を向いて呆けているが、頭大丈夫なんだろうか。

 見た目的には俺と同じくらいの年齢に見える。

 二人目は爽やかそうなイケメンの男。

 灰色の髪をしているが好青年って感じだ。

 こういう奴を見るとムカムカしてくるぜ。

 お、目があってしまった。睨んでたのバレただろうか。

 なんと、こいつ笑顔で返してきた。

 自分のひねくれが悲しくなってきた。

 三人目の子はお嬢様系お姉さんって感じだ。

 正面で見ても、横から見ても、下から見ても、

 良い女だ。

 かわいい、しかもおっぱいがでかい。

 金髪で長髪だし、完璧だろ。

 

「自己紹介は軽く済まそう、

 私は橋本環奈だ」

「あの美女有名人と同性同名じゃないですか。

 すごいですね」

「嘘だ」

「えぇ....」

「本当は月ノ江羽海(つきのえうみ)だ、

 そしてピチピチの高校三年生だ。」

「そ、そうなんですね。俺は駿河波一、高二です」


 なんかやばい人かもしれない。

 ビシッとしていて、こうゆう冗談とかは絶対言わない人だろうと思っていたが、

 まさか自己紹介でいきなりかましてくるとは。

 末恐ろしい人だ。


「じゃあ、さっそく聞こう。そこに座れ」


 デスクには対面で話せる物と事務作業に使えそうな物の二つがある。

 俺は対面用の物に座り、前には羽海が座っている。


「駿河くんはさっきの男と面識はあるか?」

「いえ、ありません。玄関を開けたらいきなり襲われて....」

「そうか」


 そうだ、なんだってあの男襲ってきたんだ。

 今考えても意味が分からない。

 俺は人に恨まれるようなこともしてなければ、

 もっとも殺されそうになることなんかもしてないしな。

 

「それはまずいな」


 羽海さんは頭を抱えていて、深く考えているようだ。

 そんなにまずいことなのだろうか。

 不安になってきた。


「よし」


 なにか決心がついたのか、キリッとした顔に戻っていた。

 意外とこれが可愛い。

 ぜひお嫁さんにしてやりたいぜ、グフフ。


「駿河くん、君を保護することにした」

「はい?」

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