第71話 お風呂上がりのカレーからのまさかの再会
「いらっしゃいませー!」
「お米が美味しいカレーはこちらですよー!!」
大爆笑の風呂上がり、
スウェットとかいう着心地の良い服に着替えたのち、
同じく温泉に入っていたダークネスドラゴンで一足飛びに塔の屋上まで帰して貰った。
(夜風が気持ち良い、と思ったがやはりこの時期はまだ寒い)
そして夜食をいただきに皆で商業施設区域という場所へ、
広告にあったカレーが食べたいという私の希望を聞いて貰い、
お店に来たら入口でまさかの二人が客寄せをしていた、侯爵家の姉妹だ。
「貴殿らは!」
「スミッペでーす!」「アヤッペでーす!」
「「お米普及アイドル、ラブライスでえええっす!!」」
丁度良かった、
連れ去られたこの二人の事情聴取もあったのだ。
「ガーベラ殿、彼女たちと話がしたいのだが」
「わかりました、しかし今は仕事中ですから後でホテルの部屋に」
「そ、そうか」「叔父様、カレーライスをいただきましょ」「「ありがとうございまぁす!!」」
痛々しい露出した服装の二人を横切り、
店に入ると可愛らしい黒猫獣人少女が迎え入れてくれた、
先頭のフィーナや我々に微笑みかける。
「いらっしゃいませ『お姉ちゃんカレー』へようこそ!」
「うむ、四人だ」「ではテーブル席にご案内致しますねー!」
メニューを見ると、
どれも1.5クリスタルの値段だ。
・キクコベラお姉ちゃんの愛情たっぷりハートカレー
・キクコベラお姉ちゃんによる女教師手造り風カレー
・キクコベラお姉ちゃんによるお助け女神の魔法カレー
・キクコベラお姉ちゃんによる悪女が何か仕込んだカレー
・キクコベラお姉ちゃんによる食べると17歳の気分になれるカレー
・キクコベラお姉ちゃんのシークレットまかないカレー
・キクコベラお姉ちゃんの娘がこっそり造ったカレー
※コールスローサラダも0.5クリスタルで付けられます
……娘?
私は店員少女に聞いてみる。
「この、娘というのは」
「わたしです、ホノカベラと言います!」
しっぽをくねくねさせている、
ネコミミもひくひくと、可愛い。
皆が選んでいる間に水を透明なコップに汲んで配ってくれている。
「じゃあ僕はホノカベラカレーで、あっ、みんなにコールスロー付けてね、それは僕が出すよ」
「園長さんありがとーだいすきー!」「ははは、可愛いなあ」「ハルク様、正妻はわたくしですわよ?」
「ふむふむ、では私は悪女カレーで」「わたくしはハートカレーですわ、叔父様は」「では同じハートカレーを」
注文を受けてくれたのは良いが、
少女は手鏡のようなものに指を何度か突いただけだ。
「注文遠しましたー!」
「はぁあ~~~い、お姉ちゃん頑張りまぁ~~っす」
やけに色っぽい声が奥から聞こえた、
待っている間にテレビとかいうのを見ると、
おお、王宮魔術師デュアル殿が孫娘ターニャ氏と観覧車とかいうのに乗っている姿が!
『……というような様子で王都からの視察団は数日滞在する予定だそうです、
では次のニュースです、皆様お馴染みお笑い黒猫獣人グループ・フラミンゴ倶楽部は、
リーダーのナンブベラさんが方向性の違いにより脱退を申し出たため、四人組から三人組に……」
そうして待ったのち、
胸の大きな母性溢れる黒猫獣人がやってきた、
三つの皿を一度に器用に持って、あと娘さんも一皿持ってきた。
「うふふ、お待たせしました、お姉ちゃんのカレーよ」
「アイリスから先でお願いします」「最優先事項ね、どうぞ」
「美味しそうな匂いですわあ、叔父様も」「う、うむ、独特な匂いだな」
嫌いじゃない。
「ふむ、見た目は普通のカレーだが」
「あっダンバムさん、これ、福神漬けとらっきょです、お好みでそうぞ」
「ハルク殿、かたじけない……このスプーンで食べるのか」「先割れですね、ハートのハンバーグを刺すのに良いですよ」
そしていただく、
暇なのか持って来てくれた大人の黒猫獣人が微笑みながら見ている。
「キクコベラです」「うむ……う、うまい、美味しいぞこれ」
「ありがとうございます、愛情たっぷり注いで造りましたから」
「あっ! ホノカベラちゃん、このカレー、具がお魚だね」「おいし~れすよ~」
そしてフィーナは……
「なるほど、普通のカレーに見せて、ライスの中に激辛のドライカレーが仕込んである」
コールスローサラダとかいうのも美味い、
カレーの合間に食べると格別だな、良い夜食だ、
やはりボリュームがあるので更にハルク殿がすすめてくれた赤いのや白いのも……
「これは、この店は王都へ戻ったら、知合いにお奨めしておこう」
「ふふっ、ありがとうございます、やはりお米の美味しさは格別ですから」
それにしてもキクコベラ殿、
猫獣人しかも子持ちなのに、
妖艶すぎる……いかんいかん、仕事を遂行せねば。
(今日は、今夜はあのふたりの尋問で仕上げとするか)
エルフやドワーフはもちろんのこと、
オーガやオーク、ウェアウルフにまで愛想を振りまいている、
あの侯爵令嬢のふたりに……ハルク殿から経緯は聞いたが、連れ去られた後、いったい、何があったのか。




