第69話 辺境伯家の真実からの温泉へ
「なるほど、では指名された『後継者』が受け継がないと」
「街は一旦、滅びてしまうみたいです、その可能性も考えて派手にはしなかったのかと」
「いや、前の城塞都市は立派に派手であったが、そうか、そういうルールがあったのか」
実際にその『秘宝』を見せて貰う、
不思議な箱だ、これがこの街を造っているとは……!!
しかし何だ、蓋を開けていて、その上で何か指でつついているようだが。
「これ見えますでしょうか?」
「い、いや、何も見えないのだが」
「そうですか……引き継がせる条件に、この画面が見える人っていうのがあるんですよ」
何かが見えているらしい。
「どのようなものが、ハルク殿の目には」
「色々と操作が出来る項目が、あと購入画面ですね、
このタワーマンションも、瞬時に設置できましたよ」「瞬時……?!」
このような塔、
造るのに何年いや何十年かかるか。
「……わかった、とりあえず辺境伯家の真実はわかった、それでだが」「はい」
「元の領民がずっと避難したままだ」「あっそうですね、確かにそれはあります」
「どうする、元の城塞都市を直すか、それともこちらに」「うーん、どうしようかな」
考え込むハルク殿、
そこへ助言したのはフィーナだった。
「両方は可能か」「あっはい、道で繋げば、おそらくは」
「あっちにタワマンは」「そこまではどうでしょう」「こちらをある程度、大きい都市にすれば」
「本当ですかガーベラさん」「敷地内を全て使うと、衛星公園(大)を造れますからそこを前の場所に」
渋い顔のハルク殿。
「……遠すぎるし、あれはあれで戒めとして残しておきたいかな」
「廃墟をですか」「もちろんあそこに住みたい、戻りたいって声が多ければ」
「代替えが立派なら、文句は出ないと思いますよ」「だったらこっちに」「もう一棟建てますか」「ツインタワーかあ」
どうやら、
この塔をもうひとつ……?!
「ハルク様、魔物と暮らすのには抵抗がある方も」
「うんアイリス、だから元の城塞都市近くには人間だけを」
「そちらにも農園を」「そうだね、元に近い形にしてあげないと、尻拭いとして」
どうやら、
避難した元領民のことも、
きちんと考えて受け入れてくれるようだ。
「ではハルク殿、段階的に」
「そうですね、まずは早急に来る必要がある方のために、県人会館を」
「けんじ、ん???」「人間用の寮ですよ、ウチのドラゴンで連れて来ちゃいましょう」
こうして細かい話や募集内容などは、
私の滞在中に詰めることとなったのだが、
あんな事があったんだ、ハルク殿としては拒む事もできたのに、頭が下がる。
(やはり、領民に罪は無いからな)
そうこうしている内に、
フィーナが色々と持ってきてくれた。
「ダンバム殿、温泉用のタオルと着替えのスウェットだ」
「おお済まない」「下着は途中で買うか?」「少しなら持ってきている」
「ではダンバムさん、僕も準備を」「ハルク様、お手伝い致しますわ」「アイリスありがとう」
二人して奥へ行った隙に。
「フィーナ、結局、あのハルクという少年は」
「それは、今はあえて言わない、考えない、追求しない、だが、まあ」
「言い難そうだな」「私と姫が居るのに、猫獣人とだけわかる話を、そこから推測はできるが、言わない」
その会話をニコニコしながら聞いているガーベラ氏。
「いま、温泉へ行くと丁度良いタイミングですよ!」
「何があるというのだらろうか」「行けばわかります、お楽しみということで」
「ところでフィーナ」「なんでしょうか」「家族風呂と聞いたが」「私はもう身も心もハルクの物なので平気ですよ」
そういうものなのか。
「お待たせしました」「さあ叔父様」
こうして、またもエスカレーターとかいう乗り物で今度は下へ、
またもやフィーナが壁を操作し透明にしてくれた、夜景が綺麗だ、
アイリスが私の方へやってきて、巨大な回転籠を指す、あれも夜になって光輝いている。
「叔父様、今度ジェットコースターも乗りましょう、あの速いのですわ」
「……凄いな、訓練か何かか」「公園の遊具ですわ」「危険は」「無いそうですわ」
「さあ地下5階に到着しますよ、改札で胸のカードをあててください」「わかったガーベラ殿」
進んで行くと、
三人の着飾った黒猫獣人が敬礼していた。
「王城よりようこそ!」
「お待ちしておりました~」
「安全は保障しますよ、ムムムムム~ン!」
最後のはエンシェントドラゴンに乗っていた……!!
「渡辺さんと矢部さんと條辺さんです」
「ガーベラ殿、彼女達は」「鉄道警察官、上位衛兵ですね」
「温泉はスタジアム行きだからこっちよ、お姉さんに任せて!」
一番背の低い黒猫獣人が先導してくれる、
それは良いが胸が大きすぎる獣人に緊張してしまう、
いや獣人だ、獣人だから気にする必要は無いのだが、獣人なのに。
「さあ、こちらの車両へどうぞ!」
「おお、貸切か!」「人間用車両ですぅ~」
「オーク、エルフ、人間、ウェアウルフ、ドワーフ、オーガと六両編成ですよムムムン」
種族によって乗る場所が違うのか、
トラブルが無くてなによりなのだが、
黒猫獣人は? と思っていたら我々と同じ車両か。
(それにしても明るい、そして目移りする)
立派なソファー、
また『テレビ』とかいう額縁もある、
あとチラシも貼ってあるな、『キクコベラのお姉ちゃんカレー』とかいうのが気になる。
「それでは出発よ!」
ちっちゃい猫獣人の声ののち、
鉄の箱が動き始めたのだが……
(これを引っ張っているのは、魔物なのだろうか???)
とにかくこれから、
アイリス達と温泉だ、
そこで待ち受けているのは……?!




