第67話 多彩な移動手段からの感動の再会
「本当に、お代は良いのか」
「はい、ウェルカムラーメンライスに関しては園長の奢りだそうです」
「確かハルク=ウィリアヒル辺境伯」「就任式とかまだ詰められてないようですが」
猫猫軒から出ると、
様々な乗り物が用意してある、
そのうち二つは、古代遺物とされる……?!
「これはまさか」
「はいパトカーです、この中で一番偉い方はこちらの中へ」
「伝説の『クルマ』というやつか!」「あと黒猫型オープンカーも今日のために御用意致しました」
それぞれ運転する場所に黒猫獣人が座っている。
「あとこれは」
「籠屋ですね、ウェアウルフ、オーク、オーガそれぞれ四体ずつが担ぎます」
「揺れそうだな」「ちゃんと上からロープが、あくまで観光用です、あっチップとして魔石が四つ必要です」
結局、私と王宮魔道士そしてその孫娘三人がパトカーの後部へ、
前に乗っている黒猫獣人は事務方の騎士団員みたいに色々と着飾っている。
「では私たち、蘭&来夢にお任せ下さい!」
「公園内で安全運転なのでシートベルトは大丈夫よ」
「シート……ベルト?」「一応、御付けになられますか? 横から引っ張るやつです」
屋根の無いオープンカーとかいう『クルマ』には残りの子供二人を含めた四人が乗り、
あとの六人は二人ずつ、四体の魔物に担ぎ上げられる籠へ……いやウェアウルフは獣人扱いしている国もあったな。
(馬が引いている訳でもないのに走りはじめた!)
音もなくスムーズに、
これがかつて王都に一台だけあったという……
それが二台も、走っていると遠くにもっと凄い物が見えた。
「あ、あの回転しているのは」
「ジェットコースターと大観覧車です、
後者は頂点が丁度、タワーマンション屋上のドラゴンの巣と同じ高さなので運が良ければ見えますよ」
黒猫獣人が運転しながら解説してくれている。
「あれには乗れるのか」
「はい、オープンし立てなのでクリスタル、つまり魔石ひとり一個です」
「カーテンが閉まっているのもあるようだが」「ベッドタイプでして、カップルや夫婦にお奨めです」
隣の胸の大きな黒猫獣人も話し掛けてくる。
「他にもグラススライダーやイベントも盛り沢山だから、お子様にお奨めよ」
「……それにしても、本当に高い塔だな」「ハルクパークレジデンス、姪っ子さんがお待ちよ」
「本当に、本当にアイリスは無事か!」「園長の正妻として、いえもちろん入籍はまだですが、間もなくです」
そう言ってくれた運転手の言う通り、
巨大噴水が見えるとその先に塔の入口が見える、
大きくて立派な、まさにこれは『神の塔』と言える代物だ。
「この噴水だけでも、いくらかかっているのか」
「運が良いとドラゴンの水浴びが見られますよ、もっとも最近は温泉が好きなようですが」
「到着したわ、ささ、降りて降りて」「おお、扉が勝手に!」「叔父様!!」「そ、その声は!!!」
降りた私の胸元に飛び込んできた姪のアイリス!
「無事だったか、元気だったかあ!!」
「はい、わたくし、辺境伯家に嫁ぎました!」
「また十二歳だろう」「でも十三歳の誕生日に、早めの結婚式を挙げますわ!!」
遅れてやってきたのは……!!
「ダンバム殿、お久しぶりです、御無沙汰しております」
「おおフィーナ! 貴殿も無事で」「はい、間一髪、助かりました」
「それでここは」「姫のための楽園です、その対価に私はここの園長を生涯、本気で恐怖するほど愛する事になりました」
確かフィーナも側室になったと聞いたが。
「詳しい話を、聞かせて頂こうか」
「叔父様、とりあえず中へ」「ああ、透明のドアが自動に!」
入ると少年と黒猫獣人が立っていた。
「ようこそハルクパークへ、園長のハルクこと、
ウィリパテル辺境伯に内定を頂いております、
ハルク=ウィリアヒルです、ダンバムさんの話は伺っております」
ということは確か十五歳か。
「王宮騎士代表、ダンバムだ、このたびは大変だったと聞く」
「でも、こうやってハルクパークを造れたのでもう平気ですよ」
「それで、ここはどうやって」「古代遺物の『秘宝』ですね、とりあえず僕たちの部屋へ」
他のみんなは別の入口へ案内される。
「私以外の皆は」
「商業エリアですよ、申し遅れました、公園管理長のガーベラです、
皆さんを案内しているのはキャプテンベラ、この『ハルクパークレジデンス』の管理長です」
そっちもそっちで気になるのだが。
「さあ叔父様、私の、私たちの部屋へ」
「ダンバム殿、まだ少し明るさが残っているうちに景色を」
「そ、そうだな」「ええっと義理の叔父さんになるんですよね、ではエレベーターで」
それにしてもこの室内、
快適過ぎる……いや本当に、
清潔すぎてびっくりする、まさに神の仕業か。
(ここは本当に、現世なのであろうか)
異世界と言われても、
疑えなくなるような内部だ、
果たして姪の住んでいる場所は、どのようなものなのか……?!




