第66話 事実上の処刑場からの超巨大公園
(話には聞いていた、『禁忌の荒地』という処刑場を……)
さっき通り過ぎた巨大廃墟、
ウィリパテル辺境伯領にあの城塞都市以外にも、
更に奥へ奥へと進んだ場所を無理に開拓しようとし、失敗した荒地だ。
(森をある程度、破壊した所で終わってしまったらしい)
理由は色々あったようだが詳細は知らない、
ただ、あきらかに周囲の魔物が強すぎたのが一番の原因らしいとは聞いた、
確かに危険な魔物を大量に倒す拠点が出来れば、現にあの城塞都市自体がまさにそうだった。
(つまり、欲をかき過ぎたということだ)
しかし素早いドラゴンで様子を見に行く程度はできる、
飛ぶ魔物が追ってきても城塞都市まで戻ればなぜか危険は無いという、
なぜなら謎の結界によって入ってこられないから……というのがついこの間までの話だ。
「追放という名の処刑、か……」
姪が冤罪で命じられたのが、
まさにその『禁忌の荒地』への追放だ、
表立って処刑と言えない罪の時に使う方便、しかし命はまず助からない。はずだった。
(アイリスから、そしてフィーナから直接、それも聞かないとな)
それにしても敵が、飛ぶ魔物が全然来ない、
かつてはあの城塞都市へは途中の魔物を避けるため、
ドラゴンの操縦が難しかったと聞く、それでも道沿いに飛べば安全だったらしい。
(下に道らしい道は無いのだが……)
考えられるのはひとつ、
やはり先導してくれているダークネスドラゴンのおかげだろう、
せめて同程度の格を持つ魔物でなければ、怖くて近づけもしないはずだ。
「……もうすぐ日が沈む頃になるぞ、本当にあるのか?」
そう呟かずにはいられない、
ただ、段々と目の前のダークネスドラゴンが近くなってきている、
速度を落としたのは目的地が近いからか、もしくは他の魔物から護るためか。
(今の時期、日が沈むと恐ろしく寒くなる)
公園となると夜は冷えるだろう、
本当にチラシにあるようなのが建っているならば、
寒さは気にならないくらい暖かいのだろうが、本当にあるのかどうか。
(……あれは、何か見えてきたぞ?!)
遠くにだか、
明らかに異質な建物が見える、
チラシにあった塔だろうか、周囲にも色々とあるようだ。
「本当にあったのか、いや、まだ油断は出来ない」
しかしぐんぐんぐんぐん近づいてくる、
迫れば迫るほど、その異常な大きさに目を見張る、
王城など比べものにならない、超巨大な塔、それは光り輝いているようだ。
(……なんと大きな公園、いやこれは、もはや街だ)
ダークネスドラゴンが高度を下げ、
公園の入口に着地したようだ、私の乗るドラゴンも続く、
両手で青い旗を持った黒猫獣人、赤い旗を持った黒猫獣人が降りながらこちらを見ている。
「こちらですよー」
「まずはこちらへー」
まずは私から降りる、
続いて王宮魔道士デュアル殿、
孫娘ターニャを私が受け止めて……
「ドラモンさん、お疲れ様でした」
「モウイイナ、カエルゾ」「はい、ありがとうございました」
塔の方へ飛び立つダークネスドラゴン、
そのまま頂上へと吸い込まれて行った……
あそこに住んでいるのか、それにしても塔が日に反射して、眩しい。
(などと思っている間に、後続のドラゴンも次々と到着だ)
降り場から公園を改めて見ると、
石碑に『ハルクパーク裏門』と書いてあり、
入口上部には街灯と街灯を結んで『ハルクパークへいらっしゃい』の幕が張ってある。
「さあ、まずはそちらの簡易管理棟で仮の入園証を、ラーメン一杯付きですよ」
「ラーメン?!」「あちらのお店です、冷えた身体には良い美味しさです、まずはここで軽く」
「良い匂いだが、食事か」「はい、人間族におすすめのお食事です、暖かいですよ、どうぞどうぞ」
簡素な小屋から出てきた新たな黒猫獣人、
皆が首からぶら下げる入園証とかいうのを貰い、
キャプテンベラに連れて行かれた店、『猫猫軒』と書かれている、小さなカーテンをくぐり扉を引くと……!!
「へいらっしゃい! お好きな席へどうぞ」
タオルを頭に巻いた黒猫獣人が腕を組んで待っていた、
私はカウンターへ、家族連れはテーブル席へ、キャプテンベラ氏は外で待っているようだ、
席数は全部で24か、カウンター8席、テーブルが4×4席、メニューが壁に書かれている、ラーメン、か。
「この、ラーメンというのは」
「普通のがラーメン、肉が多いのがチャーシューメン、ライスが無料で付きますよ!」
「ええっと、貴女が造るんですか」「へい、『ベラタイショウ』っつーもんです、お任せなら特製ラーメンをどうぞ!」
ということで出されるラーメン、テーブルにも、
手伝うのは到着した時に旗を振っていた猫獣人たち、
見た覚えがある、赤い布や青い布を首に巻いた、確か……
(エンシェントドラゴンに乗って来た猫獣人たちだ!)
ライスというのも配られ、
さあ、ラーメンとかいうのを……
あったあったフォーク、これでで食べよう、この木の棒は何なんだ? まあいい。
「では失礼して、いただこう」
……こう喰うのか?
ずるずるずると、すすってしまう……
「こ、これは……美味い!!」
これが、ラーメンというものか!!!




