第64話 これはもう立派なざまぁからのハルクパークへいらっしゃい
「こんにちは~スミッペでぇ~す」
「みなさぁ~ん、アヤッペでぇ~す!」
「「ふたり合せて、ラブライスでえぇ~~っっす!!」」
野外ステージで決めポーズを取るふたり、
ぱらぱらとまばらな拍手、二人の顔は引きつった笑顔、
しかし覚悟を決めてか、冷や汗をかきながら客席に話しかける。
「実は私達、『お米普及アイドル』としてデビューします!」
「それでは聞いて下さい、初公開の新曲です、ふたりで練習しました!」
「せ~の……」「「お米はおいしいよ」」「ミュージック、スタートゥ!!」
フリフリの際どい衣装で踊る、いや踊らされている二人、
アイリス姫を陥れたスミッペ(34)とアヤッペ(39)の熟女だ、
なんでも二人とも実年齢を十歳もごまかしていたうえ年上のアヤッペが妹を名乗っていたとか。
(沢山の男を騙し続けた結果、そういう設定になったらしい)
それにしてもキツい、キツ過ぎる、
あの年齢でアイドル衣装しかも露出がヤバ過ぎる、
上も下もちょっと覗けば見えてしまう、人によっちゃ見ているだけで拷問だ。
「園長、宣伝が上手くいくと良いですね」
「ガーベラさん、まあ、これから本格的にお米を作って行きますからね」
「コンテナハウスがあれだけ積み重ねてあるんです、輸出できますよ」「それにはまず内需から」
そう、農地スペースが園内で済む立体型の稲作ハウス、
天候を気にしなくて良く収穫サイクルも早い、ただ問題は、
こっちの世界でもっとお米の料理を定番化すること、そのための広報活動だ。
「ハルク様、なかなかの恥辱行為ですわね」
「ふむ、これはもう立派な『ざまぁ』と言えるな」
「アイリス、フィーナさん、気が晴れたなら良かったです」
やってる方はもっと拷問だろうなあの二人、
エンシェントドラゴンの呪いで嘘をついたり、
反抗的な態度を取ると身体が腐りはじめる、事実上の死刑執行中だ。
(これでもう、いつでも殺せるからね、使えるうちはコキ使ってやろう)
ちなみに住居は六角堂を与えている、
狭いがエアコン完備なのでありがたく思えっていう、
お風呂? 足湯で十分ですよ、食事もコンビニおにぎりを放り込んでます。
「それで園長、王都の件ですが」「はいはい」
「まず園長から、国王陛下が正式に辺境伯に任命したいそうですよ」
「何を今更」「ハルク、貰える者は貰っておけ」「はいフィーナさんっ!」
僕はもうフィーナさんに絶対服従である。
「続いてアイリスさんの件ですが、冤罪が正式に晴れ、あの踊っている二人の処刑は辺境伯に任せるそうです」
「絶賛公開処刑中だねっ!」「これもハルク様のおかげですわ、もう一生、このアイリスはハルク様をお支え致します」
「姫、このフィーナ、これからもこの身が滅びるまで、姫に尽くします」「では一緒にハルク様を喜ばせましょう」「御意」
うん、相変わらず僕はフィーナさんの言いなり、
姫は僕の言いなり、フィーナさんは姫の言いなりっていう、
三すくみというか永久機関というかWin-Win-Winというか、そういう関係だ。
(あっ、歌とダンスが終わった!)
観客に手を振りつつ裏の控室へ。
「はい、では第一部の『ラブライス! ショー』が終わりました、このあと第二部は『にゃんこキッズ』による……」
司会のマイクベラさん(相変わらず良い声)を聴きながら、
僕らも控室に、って入ると土下座させられているスミッペとアヤッペ、
その先は『にゃんこキッズ』の面々だ、着ぐるみ四体が横にならんで見下ろしている。
「ねえアンタたち、あれで会場温めた気になってるの?」「「申し訳ありません」」
「なんかこうねえ、空気を掴めてないのよ、空気は読むだけじゃダメ、掴んでこそなのよ」
「あと踊り、私たちのダンスと被ってる所あったけど、あれどういうつもり?」「あとパンツ見せ過ぎ!」
こえええええええええ!!!
これがアイドルの後輩いびりというやつか。
「まだまだ未熟で先輩方にご迷惑を」
「誠心誠意、勉強させて頂きますのでどうか、ご容赦を」
「いいこと? この世界は芸歴がナンボなのよ……ふう、まあいいわアタシたちのお尻拭いて」「「はいっっ」」
あーあーあー、
大変だなこれは、
しかも着ぐるみは半永久的に稼働するから、ラブライスは永遠に後輩だ。
「えっと、アイリス、フィーナさん、彼女達に『ざまぁみろ』でも言っておきますか?」
「ふふん、ざまあ無いですわ」「練習で蹴られていたのを見たからな、これで良い、ハルクありがとう」
「まあこの二人、いつまで持つかわかりませんがお米普及に一役買ってもらいましょう」「園長さあ」「はるにゃん?」「私に生やすってどう?」「何をー?!」
ガチャッ
「にゃんこキッズの皆さん、出番でーす」
ということで邪魔しちゃ悪いので退散、
客席の一番後ろでガーベラさんとお話の続きを。
「王都からの視察団が来るそうですよ」
「じゃあ人間のお客様が本格的に」「なんでもアイリスさんの叔父さんが」
「えっ王宮騎士団のダンバム叔父様も?!」「ずっと心配なさっていたそうです」
身内が来るのかあ。
「……ハルク」「はいフィーナさん」
「私は病死したアイリス姫の母に、幼いころから世話になっていた」
「そうだったんですか」「死に際、アイリス様を頼まれた、その瞬間、私はアイリス様のものだ」
初めて聞くなこの経緯。
「そうだったんですか」
「もしハルクが私のものだというのであれば、これからも一生、私に協力してほしい」
「それはもちろんです、だって僕はもうフィーナさんに逆らえませんから」「うむ、嬉しいぞ」
僕に抱きつくアイリス姫。
「あら、わたくしだってハルク様のものですわ」「アイリス……」
「このアイリス、これからもずっと、永遠にハルク様のご命令に従いますわ」
「ははは、つまりは」「ハルク様の正妻はわたくし、側室はフィーナ、三人、家族ですわ!!」
その様子を見て頷くガーベラさん。
「では園長、これからも家族経営、お願いしますね!」
「あっはい、とりあえずは人間のお客様を迎えるにあたって、『ハルクパークへいらっしゃい』の幕と、
あともうひとつ、建てたいお店があるんだ」「それは何でしょう?」「お箸の普及にもなる、そのお店は……」
こうして僕たちの公園造りは、
まだまだ始まったばかりなのだった、
幸せな都市型超巨大公園のお話は、まだまだ続く。
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一方その頃、ハルクパークから遠くもなく近くもない、名も無き小さな公園では……
「寒い……ハルク、寒い、寒いよぉ……」
「スージー、また食べられる草を取ってきたわ」
「ありがとうケティ、あぁハルク、会いたい……ハルクに会って……謝らなきゃ……」
特別編おしまい。
このあとは特別編まとめ。
評価や作品ブックマークが増えると番外編がはじまるよ!




