第7話 寝不足の朝からの魔物ホイホイ
「う”う”う”~~~……熟睡できなかったよぅ……」
結局、体感で三十分毎に起こされた、
そのたびに扉を開いて閉じてまた眠り、
何度も何度も繰り返しで、気が付いたら外は朝、絶望的に寒い。
(やはり、多目的トイレで眠るなというお叱りか)
異世界だからって許される事じゃなかった、
いやほんと、多目的の意味を取り違えてはいけない、
良い子は真似しちゃいけないよ! っていうやつだ。
「一応、BBQの火を入口に近づけたんだけどなぁ」
と喋る口の中も寒い外、
かじかんだ手で小箱を懐から出す、
蓋は開けたまま……これを閉じれば、魔物はまた集まってくるんじゃ?!
「その前に、食事をしないと」
まだまだ残っている魔物肉、
追放される前も高級品としてたまに食べていた、
それがある意味、食べ放題に近い状況だ……さあ焼こう。
(マッチと薪は、まだまだ残っている)
この食材無しBBQセット、
もっと大量に買ってタコ滑り台や、
誰でもトイレを囲んで燃やせば……いや、多分煙にやられる。
(追放されたのは助かったが一炭化酸素中毒で死亡、は勘弁だ)
さて、お肉をまんべんなく、
網の上で転がしに転がし続けて、っと……
「……焼けた、いただきまーっす!」
はふはふと食べる、
トングが熱い熱い……
喉が乾いたら水飲み場でがぶがぶ、コップが欲しい。
(ていうか、お腹いっぱいで温かくなったらこれ、寝ちゃうな)
そしてそのまま夜になったら凍死コース、
これは絶対に今日中に魔石500個にしなければ!
ということで食べ終わって水で顔を洗い、眠気を一時的に取る。
「さあ、やるぞー!!」
ピッチフォークを一応構え、
小箱をゆっくり、ゆっくりと……閉じる!
(うわ、四方八方から魔物が向かってきた!!)
おそらく焼いた魔物肉の煙が目印になったのだろう、
あと匂いか、いやほんと一気に来る、凄い凄い凄まじい、
でも残り262個のために、もっともっともっと引きつけて……
「……もうちょっと、あとちょっと……よしっ!!」
パカッ!!
(小箱を開けた!!)
その直後……!!!
「敵が止まったあああああ!!! ってあれ、暗い?」
真上を見ると……!!
「うわあああああああワイバーンの口があああああ!!!」
まさに真上から、
俺を喰う寸前だった!!
怖えええええ!! いや本当、あと一秒遅かったら食われてた!!
「四方八方を気にして、真上をスルーしてた、恐ろしい」
そんなことより魔物退治だ、
まずは真上のコイツから、眉間に……えいっ!!
ピッチフォークを刺すとあっけなく縦に裂けて魔石が、ぽろり。
「よし、どんどん行こう!!」
眠くなる前に合計500個にして、
溜まったら東屋で速攻で眠ってやる、
ちゃんとエアコンをつけてなっ!!!
(俺の公園生活は、そこからが本当のスタートだ!!)
……その前にトイレ行こうっと。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「おはようございますクライヴさま!!」
「なんだ新しい衛兵副隊長か、こんな朝からどうした」
「城壁を修復するゴーレム達の動きが、全て止まりました!!」
ふうっ、と息を吐くクライヴ。
「またか」「……またか、とは」
「大ババア、いやハルカ大婆様が亡くなった時も、
しばらく止まっていた、喪に服していたのだろう、三日でまた動き出した」
理由はわからなかったが、
城壁から出る魔法壁も少し弱くなった程度で、
すぐに元に戻った、今回も同じように、すぐ回復するだろう。
「で、では」「ああ問題ない、あの強固な城壁が三日で崩れる事も無いだろう」
「わかりました、では原因は」「愚弟が死んだからだろう、家の者が死ぬとそうなるのかもな」
何はともあれ、
これでハルクの死は確定か。
「……おはようクライヴ、私のクライヴ」
「おはようございますクライヴさま」「おお起きたか」
「はい、私のあの汚らわしい過去が、終わったのですね」「なんだか安心しました」
その言葉に軽く口付けを交わすクライヴ。
「よし、弟なんか最初から居なかった、かのように盛大な結婚式を開くぞ!」「「はいっっ!!」」
しかしこの時、
城塞都市の人間は誰ひとり知らなかった、
警備ゴーレムが、もう二度と動かないという事実を……!!!




