第47話 一気に近代化からの禁断の愛の巣
「42階建て都市型公園マンション、そもそも都市公園ってなんですか?」
「都市の中に造られた公園、もしくは公園そのものが都市機能を備えたという」
「えっガーベラさん、そもそも公園に住んで良いんでしたっけ」「何を今更、こちらを」
画面に公営団地の紹介が、
なるほど、あったなあUR賃貸とか、
続いて都市公園法が映される、公共施設のオンパレード。
(野球場、サッカー場、陸上競技場、巨大プール……)
まあジェットコースター造っておいて何だが、
公園といってもそんなにお堅いもんじゃないっぽい、
みんなの広場だからね、そしてこの場合の『みんな』は獣人、亜人、魔物も含むと。
「じゃあ、あくまでも行政が公園内に建てたマンションということで」
「そもそもがこの領地の主が、ハルク園長ですから思うがままにやって良いですよ」
「タワマンもカスタマイズできるね、コンビニはもちろん、レストランとか美容室とか」「オプション分もローン払いですよ」
お調子に乗ってあんまりテナント放り込むと不味いな。
「地下駐車場とかもあるけど、地下五階までってそんなに車、要らなくない?」
「違う施設にできますよ、地下闘技場とか」「いや鉄骨渡りとかさせたくない」
「すまない、話を聞いてほとんどわからないのだが要望が」「ドワーフのグレダス=ダンディさん、どうぞ」「苗字をくれるのか!」
なんか喜んでるな。
「要望って」「ドワーフの工房が欲しい」「だそうですガーベラさん」「他の施設を新たに造る余裕は」
「出来れば住居の地下が良い」「なら地下駐車場を潰すか、商業エリアもある地下二階までのだけ残して」
「では三階から五階の地下は」「ドワーフ工房で」「地下五階は半分残した方が」「なぜに」「地下鉄を造れますよ」
うわーお、それは凄い。
「じゃあ三階から五階まで『ドワーフ工房』で」
「カスタマイズは」「僕じゃ出来ない、お任せで」
「それだとドワーフショップ、ドワーフ鍛冶相談所、ドワーフ博物館も設置されますが」
グレダスさんを見る。
「何かよくわからんが、要らない部屋は倉庫に使う」
「あっ、じゃあいいか、エルフの皆さん、要望があれば」
「出来れば高い所が」「じゃあ最上階以外を」「上は誰が」「僕とか姫とか僕が夢中な愛するフィーナさんとか」
そう言っているタイミングでようやくやってきた、
いや、姿が見えたから、あえて口に出して言ってみたんですけどね!
「私に夢中なのは良いが最優先は姫で頼む」
「そうですわ、正式な婚約の儀式を致しましょう」
「ガーベラさん」「結納でもしますか?」「結婚は早くて三年後ですよ」
と言ってはみたものの、
この公園の法律は僕だから、
僕が良いと言えば結婚も……
「とにかくタワマンを建てます、あっ屋上設定しなきゃ」
「このままだとヘリポートですからね」「ドラゴンの巣に……屋根いります?」
「アルトウレシイ」「エアコン付けます?」「ナニカシラソレハ」「寒い時は暖かく、暑いときは涼しく出来ます」「マカセタ」「オネガイ」
ええっと、ドラゴンの種族を聞かれたぞ?
「おふたりとも、ダークネスドラゴンですか?」
「オレハソウダ」「ワタシハ、ホーリードラゴン、ヨ」
「ああ、だから禁断の恋的な」「ダカラ、アタラシイスヲ」「ココナラ、ジャマサレナイミタイネ」
地域猫ならぬ地域竜扱いにしたら出入り自由だからね、
あと住民登録しても大丈夫らしい、すでに県人会館に居る連中は登録済だ。
「あっ、そういえばドワーフやエルフの他の皆さんは」
「早く到着された方々は公民館で待機していますが、もうすぐ80人の容量オーバーかと」
「じゃあ急ごう、テントじゃ可哀想だ」「オット、ダイジナコトヲ、ミズバハアルノカ」「ええっと」
竜の巣に水飲み場はあるな、
でもお風呂やシャワーは無さそうだ。
「園長、でしたらタワーマンションの前に大きな噴水を」
「設置できるの?」「はい、一番大きいのだとドラゴン二頭同時に」
「通行人に迷惑な気も」「逆に観光資源になるかと」「まあいいや、クリスタル溜まったら屋外プールも買おう」
玄関前噴水はタワマンの一部扱いだから、
ローンに含まれるみたいだな、よしっと。
「住居は地上五階から十四階がドワーフエリア、
十五階から二十四階がウェアウルフエリアにして、とんで上部が……」
「最上階はスカイレストランとかいかがでしょう」「そうだね、展望エリアも、じゃあ四十一階が丸々、僕と姫とフィーナさんの住居で」
そうなると、
お城はもう完全に観光施設にして良いかも。
「それじゃあ一気に近代化するけど、タワマンとドラゴンの愛の巣……設置、っと」
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一方その頃、辺境伯邸からやってきた道中では……
「はぐれたか、ついにワシとお前たちだけだ」
「御爺様、後ろから大量の魔物が」「もう半分を過ぎておる、夕方には到着せよ、ワシはここに残る」
「し、しかし」「後ろの一団を処理したらワシも向かう、じゃがクライヴ、お前たちは明るい内に『禁忌の荒地』へ」
……処理し切れる訳がないのは、あきらかだった。
「そんな、御爺様」「スージー、ケティ、孫を頼む、もうすでに辺境伯家当主じゃからな!」
「はい、遅く到着しても魔法で照らして、探してみせます」「では回復魔法を」「いらぬケティ、クライヴに取っておけ」
大量に押し寄せてくる魔物たち!
「行け! 行って必ず見つけてくるのだ、そして秘宝を……でやあああああ!!!」
その声を後ろに馬を走らせるクライヴたち!!
「くそっ、これも全て、きっとハルクのせいだ、アイツ、黙ってこっそり秘宝を……絶対に許さねえ!!」
ついに三人だけとなってしまったクライヴ、スージー、ケティ、
彼らが向かう先は魔物が巣食う荒地、そこでハルクの死体を見つけ、
秘宝を探して蓋を開け、辺境伯邸に戻る……それを命がけで遂行するつもりだ。
(ハルクの死体を見つけたら、蹴って踏みつけてやる!!)
そう誓ったクライヴであったが、
本来ならここから到着する前に、とっくに全滅するような状況であった、
そう、本当なら……いつのまにか周囲で魔物を狩ってくれている、五体の黒い影の存在を、彼らは知らない。




