第46話 朝のお客様からのタワマンをまさかの方法で
チュンチュン、チュンチュン……
(あれ、朝か、なのは良いが、ここはお城の天守閣のはず)
そう、アイリス城の五階でまた小中大と並んで寝たのだが、
なぜか公園の端でしか聞こえない怪鳥の鳴き声が、と外を見ると!
「オマエガ、ココノアルジカ」
「うわーおドラゴン!」「ココニスマワセロ」
頭の上にはガーベラさんが立っている。
「おはようございますハルク園長」
「なんなんですかこれは」「移住希望のダークネスドラゴンです」
「ちょ、ボス級じゃないですか」「SS級レアですね、地域竜に出来ます」「ちょ!」
お耳カットできるのか?!
「おはようございます、エルフ族の長、リアリルです」「あっ、男前」
「ドワーフ族の長、グレダスじゃ」「うお、ダンディ」「褒め言葉かの?」「当然」
「ワレニナヲヨコセ」「ていうかドラゴンさん、喋れるんですね」「チョットワナ」
いやいや、カタコトだけどちゃんと会話できてるし!
「園長、ここでは落ち着かないので」
「うん、何も無い広場へ行こう」「乗って行かれますか?」
「ここ五階ですから、怖いって」「よし、抱きかかえてやろう」「フィーナさん?!」
起き上がったフィーナさんにお姫様抱っこされ、
そのままドラゴンの飛ぶ外へ、ぽーーーいっ、てえええええ!!!!!
「あぶないですってばああああ!!!」
それをガーベラさんが難なく『♪にゃんっ』とキャッチャ!
「ひええええ」
「フィーナおはようですわ」
「姫、おはようございます」「ハルク様は……」「こっちだよ~~」
一気に目が覚めるアイリス姫!!
「ハルク様が、ドラゴンに?!」
「こっちこっち、上だから!」「……ほっ、ですわ」
「姫、私達も」「怖いから歩いて行きますわね」「では私も」
おいおいおいおい、
あっさり城内の階段へ行っちゃった。
『チュンチュンチュン』
お城の屋根に、居た!
「お前、いつのまに中へ」「私がティム致しましたよ」
「エルフさんが?!」「はい魔法で、この鳥は卵が大変美味で」
「それでですか」「ただエルフは近づくだけで逃げるんです、でもここの中へ入りたそうにしていて」
エルフへの恐怖心より勝っちゃったのかあ、
でも鳥の餌になるようなものは無いんだけどな、
まさか人間やウェアウルフを喰うんじゃ?! ティムしてあるから大丈夫か。
「ガーベラさん、この鳥って」
「A級レアです」「何を食べるんですか?」
「雑食ですね、自販機で買えるパンでも大丈夫ですよ」
そんなこんな会話ののち、
ジェットコースターが見える広場へ着地、
うん、タワマン建てるならここだな、城とも程よく離れているし。
(みんなきちんと降りた、ドラゴンが伏せしてくれて良かった)
って、どっかから白いドラゴンも飛んできた、正門方向からか。
「アラ、コノニンゲンナノネ、ナマエヲツケテモラエバ、スメルッテ」
「ええっと、そういうシステムだっけ」「まずはお耳のカットからですね」
「あら懐かしいピッチフォーク」「そんなに日数経っていませんよ」「そうだった」
ガーベラさんから受け取る。
「ええっと、まず確認をいくつか、お食事は」
「ニクヲイッパイ、モッテイルンダロウ?」「ええ、あっそうか」
「園長、ドラゴン二体を養うくらいわは」「今までの魔石を考えれば、そりゃそうか」
クリスタルの数にばかり目を奪われていたが、
美味しいに限定しても肉の数は凄まじいはずだ、
現に来客用に出した数は半端なかった、今から出そうか。
「生でも良いですか?」
「モチロン」「ヤキタカッタラ、ジブンデヤクワ」
「えっ、どうやって」「ジブンデダ」「ジブンデヤケルワ」
あっ、空に向けて火を噴いた!
(消防車が来ちゃう)
そういえば火事があったとき、
どのAIアンドロイドが運転してくるんだろうか、
消防と救急は電話だと同じくくりだから、爆乳コンビかな。
「ではええっと、箱の画面を……ちょっと待ってて」
透明パネルを操作する。
「ドラゴンさん、この浮かんでるの見えますか、僕が指で弄ってるの」
「ミエナイナ、ナニヲシテイル」「エルフさんは」「わからないですね」
「ドワーフさんは」「箱は見える、閉じなくて良いのか」「閉じないで下さい、ガーベラさんは」「見えていますってば」
むしろ電脳内で繋がっていそう。
「うっわ肉めっちゃある! とりあえず30体ずつ」
箱から出すと、
えげつない魔物の死体が!
「オオ、コレハウマイヤツダ」
「ココナラ、オチツイテタベラレルワネ」
餌は大丈夫そうだ。
「後は住居か、今ここで住めそうな場所は」
「ング、アノシロノ、ウエダナ」「二匹は潰れちゃう」
「ワタシタチハ、タカイトコロナラ、ドコデモイイワヨ」
じゃあ、やっぱりタワマンかあ。
「うーん、タワマン購入にはまだまだ、買える七分の一くらいしかない」
「でしたら園長、クリスタルのローンはいかがでしょうか」「えっ、借金?!」
「はい、もちろん利息は必要ですが、頭金を一割で」「もし払えなければ」「新しい物を購入出来なくなりますね」
クレジットカードがストップされるようなものか。
「それでも更に払えなければ」
「今まで購入したものが崩れ去ります」
「ということはガーベラさんも」「砂になる瞬間、さよならくらいは言いますよ」
そんなあ、悲しいことを。
(ていうか、じゃあ買ったパンとかはいいのか)
きっと箱に魔石を入れ続けて、
全額返せば良いんだろうけど失った物は買い直しになりそうだ。
「ローンかあ」「リボ払いも出来ますよ」「悪魔め!」
「黒猫アンドロイドですよ、メス式の」「実際、ぶっちゃけ返せると思いますか?」
「ニャーレンジャーが頑張れば」「……うーん」「計算上はそれ程、時間はかからないかと」
具体的な計算が表示される、
ガーベラさんの仕業だな、でもこれなら……!!
「わかった、まさかの方法だったけど、タワマンをローンで、買うよ!!」
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一方その頃、辺境伯邸から向かってくるのは……
「この方向だ、ついて来い!」
「御爺様、父上は本当に大丈夫なのですか」
「ああ、秘宝が長く保管されていた地下室の真上だ、まだ持つはず」
獣道を縦一列になって進む馬の一行。
「スージー、しっかり俺に捕まっていろ」「はい、あなた」
「ケティもちゃんとついて来ているな?」「もちろんですクライヴさま」
「それよりクライヴ、秘宝の鍵箱はしっかり懐に入れておるな?」「お爺様、しかし中は空では」
前から来る魔物を槍で一閃するクライヴの祖父。
「開けたら目に見えない何かがあるやも知れん、
現に母上ハルカは見えない何かを箱から出して弄っておった」
「では、この十桁のダイヤルを揃えれば」「あるいは……先を急ぐぞ!」
ラストチャンスに賭け、
馬の一団は『禁忌の荒野』を目指す、
その先に『ざまぁ』が待っているとは知らずに……。




