第45話 住宅が間に合わないからの黒猫戦隊ニャーレンジャー
「勢いで建てちまったよ……」
「悪くないぱっぱ」「ありがとさまさま」
「嬉しいひらひら」「さすが園長すのすの」
夜、一角にゃんこハウスの隣、
なんとなく着ぐるみロボ『にゃんこキッズ』の家を設置した、
メンテハウスに近いし、もちろん正面から入った直なので、おもてなしがすぐに出来る。
(ていうか、姫とフィーナさんが居るから営業モードだ)
それはそうと確認をいくつか。
「ええっとまず最初に」「なにぱっぱ?」
「召喚したとき、あっさり受け入れましたが『春』なのに『ぱっぱ』って」
「桜が咲いたぱっぱ」「ああ、それで」「満開ぱっぱ」「てっきりパパ活かと……ぐあっ」
回転ローキックされた。
「一応、私の恋人なのだが何をする」「ダンスぱっぱ~♪」
「フィーナさん大丈夫、言うほど痛く無い」「ならば良いが」
「それより姫を中に案内したげて、ええっと、あきにゃん、ふゆにゃんで」「はいひら~」「いくすの~」
残ったはるにゃん、なつにゃん。
「おめー、客前で迂闊な事言うとまわすぞ」
「いや、もうすでに回し蹴りをされましたが、それより」
「まあ礼は言っておくわ」「あんま言う事聞き続けるとアタシら図に乗るよ?」
一応は園長に敬意はあるっぽい、
なつにゃんの警告はありがたく憶えておこう。
「ちなみにこの家が無かったら、どこに住む、休むつもりだったんですか?」
「ステージの楽屋かな」「奥で力抜いて待機するよ」「まんま着ぐるみじゃないですか」
「ただ、メンテハウス出来たじゃない? あそこで十分だったよ」「もちろん、こっちの方が嬉しいけどね」
さて、一番の疑問を聞こう。
「みなさんを召喚したとき、間違えて『R18』の所にチェックしたみたいで」
「あるね、『小説家になろう』とかのシステムで」「あー、前世の、それはともかく、今、それ外したら」
「変わるけど変わらないよ」「えっ?!」「声優表記は変わる、でも声は変らない」「つまりどういう」「答え合わせかな???」
なつにゃんがよくわからない説明を足した所で、
どこかへ行っていたガーベラさんがやってきた。
「状況がわかりました、エルフもドワーフも住む所を追われているようです」
「なんでまた」「大きな火山が噴火していて、その活動が住居に影響してきていて」
「それでですかあ、で、ドラゴンは」「エルフもドワーフも別々の種族を崇拝していて」
ええっと、オークがエルフを崇拝、
オーガがドワーフを崇拝していて、
更にそれらが別々の種のドラゴンを崇拝していると。
「で、その崇拝したドラゴンが助けてくれたと」
「というか事情があるそうで、とにかくドラゴンも二体、移住したいそうです」
「ドラゴン寮とか、ある?」「無理ですね」「県民会館じゃ無理かあ」「でもタワマンなら」「えっ中に?!」「屋上です」
なるほど、
ヘリポートならぬ、ドラゴンポートか。
「ちなみに必要魔石は」
「初回限定ならお得な99万9800クリスタルです」
「何をお得感出してるんですか」「どうしましょう」「今の残りは……うん、全然足りない」
42階建て、屋上カスタマイズかぁ、
明日、明後日には、とてもじゃないが間に合わないよねっていう。
「そこで提案なのですが」「はい」
「狩猟管理人の五体セットを買ってみては」
「ええっと、これか、赤青黄緑ピンク、なにこれ五人揃ったポーズつけて」
前世になにか記憶が。
「戦隊ものですね」「それだ!」
「公園管理人が十人を超えたボーナスです」
「いつのまに」「お買い得ですよ」「まあ、ギリ買えるね」
チーム名、個人名をお任せにしてっと、
おっと、また『R18』にチェック入れる所だった、
おまかせボタンの近くにあるな、間違えて押してもおかしくは無い。
(よし、購入っと)
小箱から出すと……
「アカベラニャー!」「アオベラニャー!」「キベラニャー!」
「ピンベラにゃあ!」「ミドベラニャー!」「「「「「五猫揃って、黒猫戦隊、ニャーレンジャー!!!!!」」」」」
「でたにゃあ負けないぱっぱ」「さまさま、いざ尋常に勝負さまさま」「いや客の居ない所でショーしないで」「見てるさま」
あっ、にゃんこキッズハウスの窓から姫とフィーナさんが見てるや、目の部分。
「でもガーベラさん、そんなに早くクリスタル100万近くも、集まりますか?」
「ボス級は100個、大ボス級は1000個の扱いになりますよ」「そんなのが居る魔境が」
「いまちょうど、物凄い数の魔物に取り囲まれている場所が」「あっ、ウチの、僕を追放した」「行かせてみますか?」
計らずともボーナスステージになってくれているみたいだ。
「罪の無い領民は助けてあげて」
「もう居ないようですが」「んー、じゃあ」
「ご家族は」「無理に助けなくて良いよ」「わかりました」「無理にはね」
そんなことより、
ドラゴンかあ、うん、話がわかる相手だと良いけれども。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「クライヴ、眠れないの?」
「ああ、外が騒がしいからな」
「あのクライヴさま、私、回復魔法役に」「行くな、明日朝から長旅だぞ」
ベッドで何とか落ち着こうとするクライヴ。
「食事も、もはや簡単なものだったからな」
「農園はどうなっているのでしょうか」「なあに、秘宝があれば復活する」
「それでクライヴ様、ふと思ったのですが」「なんだケティ」「ひょっとして、ハルクさまが」「様をつけるな!」
声を荒げるクライヴ。
「す、すみません、あのお方が生きているという可能性は」
「上空からドラゴンで落としたと聞いた、助かっているはずがない」
「ならば、衝撃でその『秘宝』が壊れた可能性も」「それは無いとのことだ、物凄く頑丈らしい」
(問題はそれよりも、無事に見つけられるかどうかということだ)
「スージー、馬の操作は」「乗馬程度なら」
「私は駆け馬もそれなりに」「ケティ、よし、現地に着いたら三人で探そう」
「しかし魔物が」「秘宝を開けたらそれで終わりだ、近くの魔物も止まるらしい」
(そして、出来るだけ早く戻れば、ここも……!!)
「クライヴ、いえクライヴ様、信じていますわ」
「私はがもう、クライヴさまについて行くだけです」
「ああ、いつ何時も、俺について来い」「「はいっっ」」
こうしてクライヴたちの、
辺境伯領最後の夜は、更けていくのであった……。




