第44話 公民館と猫ハウスからの大量予約
そして夕方。
「あえて庶民的な公民館を設置してみました!」
「昭和な感じがじますね、公衆電話はありませんが」
「ていうか電話とか設置できるの?」「住宅が増えれば園内限定で」
入口横には栓で抜く自動販売機があるな、
中は普通の古い公民館、とはいえ平屋でも広く天井高い、
購入画面では最大八十人収容ってあったっけ、まあこんなもん。
(一気に人口が増える訳じゃあるまいし)
あくまでも会議する場所であってですね、
いや会食も可能か、一応は簡単なキッチンがある、
だったら近くに喫茶店かレストラン、いやそれよりも主目的はその隣に造る……!!
「ええっと、おっ、住まわせる魔物が選べる!」
「サイズの大きな魔物にも合わせないといけませんから」
「一角にゃんこ、っと……あれ? 通らない」「フォレストホーンキャットですよ」
ガーベラさんに正式名称を教えて貰い、
入力すると……出た出た、にゃんこハウスだ、
ちゃんと角が屋根から飛び出ているのは避雷針かな?
(窓が目になっているな)
内部は成猫が子猫を連れて入るのに丁度良い大きさ広さだ。
「あんまり広いと猫は嫌がるんでしたっけ」
「オプションの猫ソファーを設置すれば、それほど気にならないかと」
「ええっと、あったあった、クリスタル20個で、うん、親猫が子猫を授乳させるのに良い囲みクッションだね」
おっと外が猫の声で騒がしい。
「「「みゃあみゃあみゃあ」」」
赤青黄色の首輪子猫、
フィーナさんが姫と一緒に連れてきた、
って姫はイエロ(まだ焦げ目付き)の背中に乗ってきたな。
(遊園地のパンダカーみたいだ)
そして猫ハウスへ。
「これは効果てきめんだな」
「猫やみつきチュルチュルゼリーですね、特大の」
「ここで良いか」「あっはい、あと二個出してあげよ」
壁に面したエサ皿に入れてあげる、
一匹一個、あと母猫用の皿にも、って今だすとまずいな、
子猫で奪い合いに……上に穴があるのは何だろう、あ、ひょっとして!」
「ガーベラさん、これ上から」
「定時に餌が出ます、材料は狩りで手に入れた魔物肉で、加工して」
「それが切れたら」「有料餌ですね」「あそこの水場は」「減ると自動で補充されますよ」
早速、飲みに行ってら……ぬるそうなお湯、
これでいちいち足湯まで飲みに行かなくていいな、
と思ってたら母にゃんこが子猫を咥えて入って来た!
(しかも二匹で、まずは一匹ずつ置いて、あっ、猫ソファーに乗せた)
そして出て行ったエルザとスザンヌ、
餌で釣っている感じじゃなかったけどな。
「ガーベラさん、あれって自主的に連れてきたんですか?」
「成猫に関しては説明しました、なんとか伝わったようです」
「あっ、まだ猫ハウス、この一件しか出してないや」「確かに十一匹は、隣に造れば出入口で繋げられますよ」
連結するように設置、
そしてオプションで内部通路をっと、
出来た、通路といっても猫窓だ、透明な扉を頭で押して入るやつ。
「ええっとフィーナさん、手本を」「手本とは」
「頭から突っ込んで、くぐってください」「こうか?」
「ええ、僕も真似して……」「わたくしもですわあ」「「「みゃあみゃあみゃあ」」」
子猫もついてきた、
そうやって遊んでいるとガーベラさんの動きが止まった。
「通信です、エルフとドワーフの代表が出発するそうです」
「えっ、もう?!」「はい、しかも大量に」「それって何人?」
「二百十五人と三百四十人ですね」「多すぎだよ……」「もはや移民ですね」
いったい、何があったんだろう。
「とりあえず代表してエルフ五名、ドワーフ六名が先発隊として、急いですぐ来ると」
「走ってくるんですかね、背負う訳にもいかないし」「いえ、背負ってきますね」「五、六人も?!」
「背負うのはイザベラ、ベラドンナではなく」「オーガとオーク?」「いえ、ドラゴンです」「な、なっ、なんだってーーー?!」
それなら、すぐ来られるねっ!
でもいったい、なんでまた……??
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一方その頃、辺境伯邸では……
「駄目だ、もうここは駄目だ」「父上!」
「明日朝までごりぎり持つかどうかだな」「お爺様!」
魔物に襲われ続けている城塞都市、
もはや要塞と言われた外壁はボロボロで、
今は辺境伯邸をなんとか防衛している最中だ。
「クライヴ、夜明けと共に残った馬で『禁忌の荒地』へ走れ」
「しかし父上、そんな道は」「ワシは一度、馬で行った事がある」「お爺様」
「もうすっかり消えかけて獣道同然だが、開拓しようとした時の道が残っているはずだ」
後ろから休んでいた衛兵がやってきた。
「クライヴ様、交代いたします!」
「息子よ、明日朝まで休め、そして秘宝を」
「しかし父上もお爺様も、その後は」「帰ってくるまで、何とかしよう」「うむ、任せろ」
その言葉にスージーとケティを見るクライヴ。
「……どうする、ここで待つか」
「お伴致します、攻撃魔法でお力に」
「私も回復魔法で」「そうか」「一緒に行く衛兵も、残った馬の数だけ付けよう」「父上……」
こうして望みを託されたクライヴ達であったが、
それを『ざまぁ』によって打ち砕かれるという事を、
今はまだ知らないのでいた、辺境伯邸で過ごす、最後の夜を迎える……。




