第41話 新施設オープンからの僕を捨てた者達
「それではテープカットです!」
児童館のオープン、ビグベラさん司会の元、
ハサミを入れる園長の僕と、ガーベラさんとフィーナさんとウェアウルフの族長代理、
って爪で切ってるや、まあいいや、華やかな音楽と共に『にゃんこキッズ』たちも飛び跳ねている。
「オープンだぱっぱ、うれしいなぁ~」
「みなさんのおかげさま~、さまさまさま~」
「きちんと並ぶひら~」「割り込みはいけませんですのすの」
そう、はるにゃん、なつにゃん、
あきにゃん、ふゆにゃん、着ぐるみAIロボ、
その名も『にゃんこキッズ』すげえ適当に付けました。
(で、配るお菓子目的に長蛇の列ですよ)
ちなみに先頭に並んでいるのは……
「さあ、もうよろしいですの?」
「テープカットしないって言うから、なぜかと思ったら」
「姫、さあどうぞ」「詰め合わせですわあ!!」「まあ十二歳ですからね」
一番乗りのアイリス姫、
そりゃそうだ泊まってたんだもの、
続いてウェアウルフやオークやオーガの子供達も。
「って親は横取りしない! あと親は並んでも子供だけですから」
あと並び直されても区別つかないなコレ、
一応、受け取ったら児童館へ入れるように誘導してるけど……
にゃんこキッズも入って行った、中で子供達と遊んであげるんだろうか。
(めっちゃ可愛い声で、愛想も振りまいてるからなぁ)
後で、楽屋でお礼言わなきゃ、
と子供達にお菓子を配り終えると、
児童館に入る前に、することがあるのです。
「ではイザベラさん、ベラドンナさん、またよろしくお願いします」
「はい、今度は足の速い少数精鋭ですので早く戻ってこられるかと」
「途中での狩りも一応は致しますが、あくまで目的は」「エルフとドワーフだよね」
そう、それぞれ2体か3体のオークとオーガを連れて、
一旦それぞれの集落に戻り、そこからそれそれが崇拝している、
エルフとドワーフの集落へ、一応は手土産を持たせた、アップルパイとブルーベリーパイ。
(ケーキ自販機を児童館に設置しましてねえ)
ただ、オークとオーガに渡したら絶対食べる、
だから黒猫アンドロイドが大切に持っております。
「では行って参ります」
「失礼致しますね」「それはいいけどオークとオーガは」
「西門に」「東門に」「ほんっとに仲悪いんですねっ!!」
子供は仲良く遊んでいるというのに……
左右に走って行ったAIアンドロイドたち、
さあ児童館の中へ、と思ったら今度は裏門の方から二体走って来た。
「あっ、狩りに行ってたアラベラさんとミラベラさん、泥だらけですね、洗いに?」
「はい、それもありますが」「御指令通り見て参りました」「ええっと、ひょっとして」
「城塞都市ですが、魔物に取り囲まれています」「いつでも攻撃できるはずが、なぜか入るのを躊躇しております」
えっ、どういうこと?!
「それはなぜ」「わかりません」「結界魔法は切れていました」
「じゃあまだ切れてないと思っているのかな」「違う魔法の残り香はしました」
「何かの魔法の後、その余韻が、それで入れないのかと」「それじゃあ」「時間の問題ですね」「いかがなさいますか」
つまりこういうことか、
僕の所に小箱が来ちゃったもんだから、
あっちはもう聖域の効果が無くなっていて、何か換わりの魔法をかけたがそれもほぼ消えていると。
(それで、いつ魔物が城塞都市になだれ込んでも、おかしくない状況であると)
僕にそれを、どうするかっていう話か。
「フィーナさん」「どうした、私に甘えたいならまず姫を甘えさせてから」
「その交換条件は後で、なんか僕を追放した辺境伯が、実家なんですが、魔物に襲われそうです」
「持ちこたえられるのか」「どうでしょう、周辺の魔物は半端ないですから」「助けたいのか」「いや別に」
僕を捨てた者達だ、
もはや肉親の感覚すらない。
「では放っておけ」「でも罪の無い領民が」
「それはほぼ避難したようでした」「見えない屋内以外は、おそらく衛兵とその領主一家しか」
「うーん、ならいいか、って避難民がこっちへ来たらどうしよう」「ルートが無いので無理かと」「作りますか?」「いや、いいや」
それを作るくらいなら、
黒猫AIアンドロイドの本拠地というか、
拠点というか住居を造ってあげたいな、身体もすぐ洗えるような。
「ではハルク」「ハルク様」
「うん、滅びそうな実家は放っておいて、児童館に入ろう」
追放しておいて滅ぼされるとか、
そんなの助ける義理なんてないよねっていう、
それより僕は、今はこの公園でスローライフを楽しもうっと。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「ドラゴンが戻って参りました、次が最終便です!」
「……父上」「乗れる人数は限られておる、が、スミッペが新たなドラゴンを」
「あの大魔導師を送り届けに王都へ行って、また借りてくれるはずです」「だと良いのだが」
スージーが戻ってきた。
「どうだった」「はい、アヤッペさんはまだ瞑想中でしたわ」
「妹が居るのに戻って来ないはずが無いだろう」「ただ、呼びかけても返事が」「ケティ、瞑想とはそういうものだ」
「それはそうと見当たらんな」「母上ですか」「あの、ドラゴンの方へ行かれましたが」「スージー本当か? 致し方なしか」「父上……」
慌ててやってきた衛兵。
「魔物が、魔物が少しずつですが領内に! 城塞を破って!!」
「何っ?! クライヴ、スージーもケティも、魔物を討ちつつ護りを!
ワシも父上に加勢する、ここを護らなければ、我らに、未来は無いっ!!」
母親を除き一家総出で防衛に入る辺境伯家、
しかし、本当に一番大切な家族を追いだしたがために起こる悲劇……
その破滅が、ついにとうとう、本格的に始まるのであった、そう、クライヴたちが『ざまぁ』に向かう……




