第39話 オークとオーガの十五番勝負からの更なるお客様
「勝者、男鹿の里~、男鹿の里~」
「ただいまの決まり手は渡し込み、渡し込みで男鹿の里の勝ちです」
観客がぐるりと取り囲む相撲場、
ここでオークとオーガの真剣勝負十五番、
そう、相撲対決である、一番勝つと魔石一個、勝利チームは更に魔石二十個だ。
「次の取り組みは前頭七枚目、奥野海と大王雅になります」
正面桝席で観戦する僕ら、
相撲場限定自販機で買った焼き鳥の美味いこと美味いこと、
ただ四人座敷に巨女のフィーナさんが座るとちょっと狭いかな。
「ガーベラさん、相撲館はクリスタル何個でしたっけ」
「50万個ですね、吊り天井で二階建て、一万人収容で地下は焼き鳥工場です」
「お客さんがもっと増えないと」「その件なのですが、新たな情報が」「ほうほう」
話している間も取り組みは進む、
ちなみに行事はアイリス城のメイド『ミニベラ』さん、
アナウンスは同じくメイドの『ラジベラ』さんだ、小さいのと大きいの。
(土俵下審判に『ミドベラ』さんです)
そして喧嘩になった時に止める警備員が『ビグベラ』さん、
小、中、大、特大のメイド四人で運営しています、えっ土俵に女性はいいのかって?
あくまでAIアンドロイドですよ、判定する機械を置いているようなものです、実際ロボだし。
(にしても、あのミニベラさんが手に持っている軍配、クリスタル12個もしやがった)
予備と合わせて24個である、
それはともかく、新たなお客さんの話だっけ、
ちなみにアイリス姫は自販機で買ったいちご大福に夢中だ。
「実はオークの集落、オーガの集落の奥にはそれぞれ亜人が住んでいまして」
「あー、獣人じゃなく」「はい、エルフとドワーフです」「ファンタジーの定番きたこれ」
「オークもオーガもそれぞれ崇拝していて、少人数ですが連れて来たいと」「呼び水になるといいね」
僕も焼き鳥ばっかりじゃなく豆大福食べよう、
と手を伸ばしたらフィーナさんに三個まとめて取られた!
「ちょ!」「ハルクのものは私のものだ」
「だからって」「なぜならハルクは私のものだからだ!」
「まあ、そうですが」「あら、ハルク様は私のものですわ」「姫、どうぞどうぞぞうぞ」
うーん、まったくもう面倒くさい三角関係だ、
姫は僕に夢中、僕はフィーナさんに夢中、フィーナさんは姫が全て、
これどう落ち着けば良いんだろう、アイリス姫の成人待ちかなあ、あと三年。
「それでオークの長も、オーガの長も園長の許可が出たらすぐにでも連れてきたいと」
「あっ、じゃあいいよ、むしろできるだけ沢山連れてきてって、エルフとドワーフの寮も必要かな」
「わかりました、公園のスペースはまだまだ余裕があります、それと人手が増えれば」「農園だよね」
故郷の城塞都市でも街を取り囲むように、
農園が沢山あった、高い壁とゴーレムに守られた……
黙々と多種多様な作業をしていたゴーレムだが、今にして思えばみんな、みーんなAIアンドロイドだ。
(そうなると、あっちのガーベラさん達は今頃、どうなっているんだろう?)
いや名前は違うだろうけど。
「勝者、奥野華~、奥野華~」
「ただいまの決まり手は二枚蹴り、二枚蹴りで奥野華の勝ちです」
取り組みが進んでいる、
小結、関脇、大関、横綱のラスト四戦はとんでもなく盛り上がりそうだ。
「育てるのは稲でしょうか小麦でしょうか」
「とりあえず任せるよ、ていうか農園の設置方法は」
「整地と同じですね、ただクリスタルは普通の整地よりはるかにかかります」
このあたりは仕方ないっていうか、
もはや魔石は勝手に稼いでくれている、
狩猟管理人も更にふたり増やした、『アラベラ』さんと『ミラベラ』さん。
(今もどこかで勝手に狩りまくっています)
いや、どこかと言っても実は、
こっそり我が故郷、城塞都市の様子を見てきてって言ってある、
もし道を繋ぐにしても、とりあえずあっちが今、どんな感じか知っておかないと。
「そうだハルク、良い考えがあるぞ」
「なんですかフィーナさん、僕の愛しの」
「オークとオーガ、どっちが勝つか観客に賭けさせるというのはどうだ」
ええっと、八百長という言葉がありしてねえ、
と言った所で通じるかどうか、うーん、チーム戦のスポーツならまだ、ねえ。
(そう、公園のスポーツ施設って、まだまだいっぱいあるんだよなあ)
にしてもオークとオーガ、
大人はバチバチなんだけれども、
子供同士は普通に仲良く遊んでいるや。
「働かせるにも、子供の託児所は必要ですよね」
「公園で託児所といえば、あれですよ」「えっガーベラさん、あれって」
「画面を開いてみてください」「あっはい、じゃあ箱を」「では失礼して……これです」「あっ、これかあ」
うん、公園施設といえばこれがあったや、
子供も意外と多いことだし、今夜にでも設置するか!!
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一方その頃、辺境伯邸では……
「王都のドラゴンが、借りられないだと?!」
「はい、正確にはあと二往復しか出来ません、他の場所へ行かせる余裕はもう」
「では一往復に減らせ、その一回分で『禁忌の荒地』へ飛ぶ」「いえ、最終便には辺境伯夫人の予約が」
(母上、最後に逃げるつもりだったのか)
歯ぎしりするクライヴ。
「ではその前の便は」「もう満員です」
「降ろせ!」「いえ、王都からの要人が中心です」
「それは、まずいか……ドラゴンをもう一匹呼ぶように」「お金がもう」
(あの役立たずアンロックじじいに使った分か!)
「王都に借金しても良い、なんとか手配しろ」
「わ、わかりました!」「クライヴ」「クライヴさま」
「大丈夫だスージー、ケティ、魔物はまだ入ってこられない」
こうして追い詰められていくクライヴたち、
そしていよいよ、決定的な、致命的な事件が、
辺境伯に待ち構えているのであった、そう、まさに破滅へと導く……。
ポイントありがとうございます、
嬉しいのでそろそろ一日三話更新になりそうな気配!




