第38話 マスコットお披露目会からの恋の行方
「それではハルクパークのマスコット四体に登場していただきましょう!」
魔石250個で設置した野外ステージ(楽屋付き)、
裏から出てきた四体のマスコットたち、着ぐるみっぽいがあれ脱げないんですよ、
ああいう形のAIアンドロイド、一角にゃんこをマスコット化した可愛らしいキャラクターだ。
(そして司会はウェアウルフ会館の管理人、ウーベラさんだ)
やさしい顔つきでお姉さんって感じの黒猫擬人化AIアンドロイドだが、
意外と容赦なく言う事きかないウェアウルフをジャンピングニーしたりする、
それはともかくステージ上、横一列に並んだ、ほんっと可愛らしい、手を振ってら。
「きゃあ、抱きしめたぁいですわぁ」
「アイリス姫、後でちゃんと最初に」
「もうハルク様、『姫』は付けないでくださいまし」
そう言っているアイリス姫は『様』を付けてるのにな、
と思いつつ腕を組んでの観戦、いやはやどうしてこうなった、
フィーナさんも満足そうに頷いている、いえね、結局あのあと姫の方から……
『告白致しますわ、このわたくしと、結婚して下さいませ!!』
と逆プロポーズ?
されてしまったんですよ、
なので献身的なフィーナさんは僕を姫に差し出すことに。
(いやいやいや、僕の意思はー?!)
まあこれについては、
後で改めて確認しないと。
ステージ上では自己紹介タイムか。
「ではまずピンクの首輪、『はるにゃん』ちゃん!」
「はるにゃんだぱっぱ、みんな、よろしくにゃ~~~ん!!」
角は触れても痛くないようになっています、
あれ自体がアンドロイドでもボディは着ぐるみだからね、
ちなみにCV青山ゆ●り、って前世の記憶にもないな、まあいいや。
(結局、声はランダムにしました)
ただ見ていて『ゆるキャラ』って単語は思い出した。
「続いて水色の首輪は『なつにゃん』ちゃんです!」
「なつにゃんさまさま、サーフィン行きたいさまさま~~!!」
夏だからサマーでさまさま言ってるのか、
あとサーフィンなんて異世界人にしかわからないだろう、
ちなみにCV金田ま●る、声優マニアだったらわかるんでしょうね。
(ウェアウルフ、オーク、オーガの子供も大喜びだ)
普段は仲が激悪なオークとオーガも、
子供となると訳が違ってくるんですよ、
まあおそらく、この公園だけの話なんでしょうが。
「そして薄茶色の首輪は『あきにゃん』ちゃーん?!」
「あきにゃんひら、大好物は石焼き芋だひら~ひらひらひら~~」
手をひらひらさせている、何気に肉球がリアルだな、
そしてなぜひらひら、あっ、落ち葉のイメージなのかも?
ちなみにCV一色ヒ●ル、と箱から出てる画面で確認しています。
(よーく見ると微妙に顔とか変えてるんだよな)
あと尻尾の長さとか太さとか、
あれ何気にちゃんと自分の意思で動かせて、
僕なんてしっぽ握手して貰った、いいでしょう、みたいな。
「最後はクリーム色の首輪『ふゆにゃん』ちゃんですよー!」
「すのすの、ふゆにゃんですの、みなさんとなかよくなりたいですの」
実は召喚した時の確認では口調は『ぶりぶり』だった、
おそらくブリザードから取ったのだろうが下品すぎるのでスノーからすのすのに、
ちなみにCVか●しま●の、なぜか声に大ベテランの風格を感じるのは気のせいか。
「はい、みなさん並んで、ポーズ!」
「ぱっぱぱっぱ」「さまさま」「ひらひら」「すのすの」
「お待ちなさい!」「きゃああ!! あ、あなたは」「悪の女幹部よ!!」
変装したイザベラさんきたあああ!!!
手下にベラクルさんベラーガガさんベラドンナを連れて、
その三人も悪の軍団風にコスプレしている、この展開は!!
(ショータイムの始まりだあああああ!!!)
という戦隊ショーみたいなのを楽しんだあと、
マスコットたちに囲まれご満悦の姫から離れて、
フィーナさんとこっそりお話を、いや姫に近すぎず遠すぎずといった位置で。
「フィーナさん……」「上手くやってくれ」
「しかし」「ハルクの気持ちはちゃんと受け取っている、
だが姫もハルクに夢中だ、ハルクが姫を愛した分、私もハルクを愛そう」
そうはいっても相手は、
姫はまだ十二歳だからなあ。
(なんだか面倒くさい構図になったぞ)
いや、嫌いでは無い、
ただ僕はフィーナさんに夢中、
フィーナさんは姫第一、姫は僕に夢中、いや今はマスコットに夢中だが。
「ハルク様! もふもふが! もふもふがー!」
「いや、だったら本物の一角にゃんこでもふもふしては」
「生臭いのはちょっと、ですわ」「いや臭いとか言わない!」
猫吸いって言葉がありましてね、
それはともかくこの奇妙な三角関係、
この恋の行方は、どうなっていくんだろう。
(それはともかく、オークとオーガのバトルを観なきゃ)
このあと、みんなで。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「ちょっと、私のコレクションの宝石類、どこへ行ったのよ!」
「母上、もしものためにひとつの箱に集めてあります、それよりどこへ」
「逃げるのよ、私だけでも実家へ帰るわ!」「いま、王都のドラゴンは席を外しています」
クライヴの言う通り、
逃げ遅れた住民、怪我の酷い衛兵、
俺はここで死ぬと居残った老人などをドラゴンで他の街へ運んでいる最中だ。
「ねえクライヴ、防御魔法はいつまで持つの?」
「さあ、それよりそのアヤッペは」「クライヴさま、瞑想中だそうです」
「お話中、失礼致しますわ」「スミッペ!」「ドラゴンが戻り次第、大魔導師様をお送りしてきますわね」
そこへクライヴの母上が。
「私も連れて行って頂戴」
「ならぬ」「あ、あなた!!」
「この家に嫁いだ以上」「ならたった今、離縁致しますわ」「もう遅い!!」
杖を渡す父上。
「これは……」「最後まで戦え、そしてクライヴ」「はっ」
「秘宝はハルクが持っているのかも知れん、王都のドラゴンが戻ったら、死体を回収してこい」
「いや、もうとても残っているとは」「秘宝だけでも見つけてくるのだ、良いな?!」「は、はいっ!!」
しかし彼らは知らなかった、
ハルクが実は捨ててきた荒野で生きていて、
今や快適な公園で暮らしているという事実を……!!




