第37話 建てた巨大城からの愛の告白
「園長、クリスタル10万個ですが本当に」
「うん、溜まっちゃってるから仕方ないよ」
ということで公園の中心、
いや中心はタコ滑り台だっけ、
それより少しずれた広い敷地にこれからお城を設置する。
「ついに、ついに城を造っていただけるのですね」
「本当に一瞬で出来るのだな?」「はい、おふたりのお城です」
「嬉しいですわあ」「いや姫のだ、姫のお城だ、私は従者だ、侍女だ、最後はメイド扱いだったしな」
とはいえ忠誠心ばりばりな女騎士のくせに!
とスウェット上下の巨女を見ながら、僕は覚悟を決める。
「それで、さすがにここまで行くと条件があります」
「ほう何だ、行ってみろ」「あのその、僕の気持ちを聞いて欲しいんです」
「ハルク、やはり君は」「フィーナ、構いませんわ、それを言う権利を許しましょう」「姫……」
顔を少し紅らめるアイリス姫、
スウェット上下にお帽子を被って。
「真剣なのですね?!」
「はい、僕の気持ちは、本気です」
「それではその『告白をする権利』と引き換えに、その結果は、ふふ、その時に」
微笑むアイリス姫、
なぜだか楽しそう、ちょっと嬉しそうだ。
(さあ、とっておきのでかい買い物を……)
やはりというかお城にクリスタル100個で黒猫アンドロイドをつけられる、
五体までの特別価格、一体はコックにしよう、後はメイドでサイズは小、中、大、特大っと、
ニィナさんやライムさんみたいな巨女枠ね、だからセクサロイド機能付けるか聞いてくるなって!!
(うるさい画面だなあ)
見られるの僕だけで良かった、
ガーベラさんも見てるけれども……
「では、いでよアイリス城!!」
こうしてまばゆい光とともに設置されたのは、
巨大な五階建てのお城、そう、天守閣をしっかりと備えた!!
「な、なんだこれは、これが城か?!」
「ええフィーナさん、これはこういうお城です」
そう、日本の江戸時代のお城だ。
「こういう様式も、あるのですわね!!」
喜んで入っていくアイリス姫、
うん、ここはどっちかっていうとそうだな、
愛利清城といった感じか、まあ表記はどうでもいいや。
(問題は、この後だ)
玄関には猫アンドロイドが、
ってその姿は和装じゃないのな、
普通にコック服とメイド服、あとで着替えはいくらでもさせられるだろう。
「ようこそ、私はメイドの……」
「名前は後で、まずは天守閣へ、五階です」
「まあ、そんなに急がなくても逃げませんわ?」「姫、靴を脱ぐようです」
こうして和式エレベーターで五階へ、
って地下も二階まであるのな、拷問部屋か?
なんとなく木の牢屋で膝に石を乗せられたウェアウルフを想像した。
(ガーベラさんも、ちゃんとついてきています)
そして五階をほぼ丸々使った殿の間、
いやこの場合は姫の間か、竜と虎が闘う屏風が素晴らしい、
ジェットコースターでバンザイしているウェアウルフも見えるな。
(さあ、告白だ)
部屋の中央で俺は、
直立不動で声を掛ける。
「ではその、こ、こここ、告白をさせて下さい」
「はいですわハルク様、覚悟を持ってですわね?」
「その、正直に言います、真面目に……ぼ、ぼぼぼ、ぼくと、つきあってください!!」
そう言って数歩踏み出し、
震えながら腕を、手を差し出した相手は……!!
「……えっ、私か?!」
「はいフィーナさん、惚れてしまいました!」
「私か、私なのか、本当に私か?!」「はい、出来れば婚約を前提とした……」
しばしの沈黙のあと……
「あっはっはっは、そうかそうか、私にやられてしまったか!!」
「うわ、ちょっと、そんな背中をばんばん叩かないで下さいって!」
「本気なのだな?」「はい、かなり最初から、その気持ちが湧いていて」
さすがに年齢差が二桁だったら躊躇したが、
九歳差ならギリセーフということにしたんだ。
「なるほど、だからこんなに親切に、いやずっと姫狙いと」
「……元からターゲットをフィーナさんに、自分にずらそうとしていたくせに」
「だがここまでになるとはな、良い、では条件がある、私と一緒に姫に尽くせ」
僕の手をがっちりと握るフィーナさん!
「い、いいんですか?!」
「ああ、姫の家来として永劫尽くすなら、いくらでも愛してや」「ずるいですわ」
「姫?!」「わたくし、わたくし……ハルクさまの告白を、受けるつもりでいましたのにいいい!!!」「「えええええ?!?!?!」」
驚く僕とフィーナさん、
そんな天守閣から、最終章へ続く。
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一方その頃、辺境伯邸では……
「どうだ、解除魔法『アンロック』は」
「……今、やっておる、もうしばらくだ」
「今日中か?!」「ちょっと、せかさないでくださいます?」「スミッペ……」
宝物庫で鍵箱が空くのを待つクライヴ、
その一方でスミッペのメイドとアヤッペが、
金目の物を物色している、とくに宝石の類を。
「あの、何をなさっているのでしょうか」
「スージーだったわね、本当にもしもの時の、持って逃げる準備よ!」
「でもアヤッペ様は妹で」「ケティでしたっけ? 貴女も手伝いなさい」「はあ」
見やるクライヴ。
「ケティ、やってやれ」「はい、クライヴさま」
それとは別にすでに持ち運んだ宝物の、
空の箱や包み、あといらないゴミなどもまとめている。
「こちらはこちらで処分するわ、良いわね?」
「まあ良スミッペい、好きにしろ」「アヤッペ」「はい姉さま」
「おおおおおこ、これはあああ!!」「開いたか?!」「開きましたぞ、し、しかし!!」
見ると、中にはダイヤルが十個ある鍵箱が!
「まだあるのか、いや、この中に『秘宝』が!!」
持ち上げて振る大魔導師。
「……中は空じゃな」「えっ?!」
「つまり、この十桁の箱が秘宝でないとするならば」
「もう、中は……」「そういうことじゃ、では失礼する」「ちょ、ちょっと待て!!」
一気に青ざめる、クライヴ達であった。
(では、ならば『秘宝』はいったい、どこにあるというのだ?!)
まだ気付かない愚かな辺境伯家の者達、
果たして最終章では、どのような『ざまぁ』が……?!
みなさん作品ブックマーク&評価ありがとうございます、
最終章もがんばります、更に評判が良ければそのまま続きも?!




